楽天役員が語る「店舗とのコミュニケーション」施策
楽天市場、二人三脚での歩みとさらなる進化
7月8日、楽天株式会社(以下「楽天」)の本社、楽天クリムゾンハウスにおいて3回目となる情報共有会(通称「R-Camp」)が開催。上級執行役員 兼 ECカンパニー シニアヴァイスプレジデント 河野奈保氏とECカンパニー 事業開発部 シニアマネージャー 石角 裕一氏が登壇した。
今回のテーマは「店舗さんと楽天市場〜二人三脚での歩みとさらなる進化〜」。「普通ならば、”出店者様”という風に呼ぶべきなのですが、ここでは楽天市場と店舗さんの関係を知っていただきたいので、資料の方も社内で普段使っている”店舗さん”としています。」と石角氏。
そして、「儲かるのが全てではない私たちは店舗さんを元気にしたいんです」と「Empowerment -インターネットを通じて人々と社会に力を与えること-」をミッションとして、二人三脚で店舗の成長を支えてきた楽天市場としての取り組みを解説してくれた。
楽天市場と出店者のコミュニケーション
楽天市場では店舗とのコミュニケーションを大切にしており、成長に合わせた幅広いコミュニケーションの場を提供している。
①ECC
楽天市場にはECコンサルタントと呼ばれる専任のコンサルタントが各店舗につき、新規出店者をサポートしている。
②Rakuten DREAM
2005年から全ての出店店舗へ毎月配布しており、楽天市場に出店している店舗を様々な切り口で特集している。そして、2016年、動画版Rakuten DREAM Onlineへとリニューアル。
③楽天大学
EC黎明期であった2000年、なかなか社内で仕事内容が理解されにくく、孤独になりがちであったEC担当者を救うべく、「楽天大学」が開設。スキルの提供や専門分野のサポートだけでなく、「楽天大学」では店舗同士のつながりも生み出している。
「楽天大学」内のEラーニング形式の動画コンテンツ「RUx」では楽天 Shop of the Year(楽天SOY)受賞店舗によるノウハウの提供なども行なわれている。将来的には動画を見ながら店舗同士がチャットを使ってコミュニケーションを取るようにできれば、としている。
④楽天市場 EXPO(夏)、楽天新春カンファレンス(冬)
楽天市場 EXPOや楽天新春カンファレンスは楽天が今後どのような動きをしていくのか、出店店舗に理解してもらうために行なわれており、その上、店舗同士のコミュニケーションの場として活用されているのである。
⑤SOY TRIP
今年で11回目となる楽天SOY受賞店舗の海外研修プログラムだ。今年は97店舗でシリコンバレーで研修が行われたそうだ。
⑥R-Nations
楽天出店店舗による出店店舗のためのコンサルティングサービスだ。第1期目はコンサルタント1名につき5店舗、25店舗限定で試験的に行われている。中国のTmallにおいてはすでにこういった取り組みが行われており、楽天出店店舗同士でもそういったやり取りがあったそうだが、楽天市場として本格的に取り組んでいく。
⑦商品企画に対する新たな取り組み
楽天市場ユーザーに対して「あなたのアイデアを大募集!『こんな商品あったらいいな』を教えてください」という企画を実施しており、これらのアイデアをもとに人気ショップでの商品企画を行うそうだ。
「違反点数制度」のその後
会の後半に行われた質疑応答では、店舗とのコミュニケーションに対する質問とともに9月から実施される「違反点数制度」や先日行われたセールについての質問も。
「レビューへの傾聴施策」と「違反点数制度」の導入が発表されて以来、楽天市場へは様々な問い合わせが届いており、中でも多いのは「このケースは違反になるのか、ならないのか」という具体的なケースを挙げたもの。これに対して、多かったものはQ&Aにするなど、施行までの2か月でしっかりとしたルールを作り上げていくという。
この件について繰り返し言われていたのは「ペナルティを与えるのが重要なのではなく、ルールを守っている店舗を優遇していくことが重要なのです。」ということ。違反しているのは一部の店舗であるにもかかわらず、ルールを守っている店舗が報われないというのは正しくないということだ。
また、先日行われた楽天スーパーSALEに関しては、やはり今回も好評であったという回答が。以前のセールと異なる点として、エントリー制を廃止してからというものの、セールのルールがわからないという問い合わせが減ったという。楽天市場ではセール初心者向けの「スーパーSALE 徹底ガイド」なども作成しており、問い合わせをする時間を買い物の時間に充てられるような、そのような取り組みが進んでいるようだ。
今月から全国で行われる楽天EXPOについての案内も行われ、今回の会は終了となった。楽天市場が重要視している出店者との関係性が語られた今回であったが、「レビューへの傾聴施策」と「違反点数制度」がどのように影響していくのか。今後のR-Campでも語られることだろう。