イオンに「はこぽす」設置、日本郵政との協業強化へ
日本郵政株式会社(代表:長門 正貢 以下、日本郵政)とイオン株式会社(代表:岡田 元也 以下、イオン)が記者会見を行い、新たに大きく4つの協業を推進していくと発表した。日本郵政とイオンは2006年9月より協業関係にあり、今年で10年目を迎える節目を前に提携関係を強化する形だ。
この協業により進められる協業事業は以下の4つ。
(1) オムニチャネルにおける協業
(2) イオングループ店舗への郵便局出店
(3) みまもりサービス分野の協業
(4) アジア圏内を中心とした海外物流の協業
注目すべきは、「(1) オムニチャネルにおける協業」と「(4) アジア圏内を中心とした海外物流の協業」だろう。
オムニチャネルの推進として、イオン店舗への受取りロッカー「はこぽす」を設置し、お客様の受け取り利便性の向上にむけた検討を行っていくという。両社はこれまでもミニストップでのゆうパックの引き受け、受取り、郵便物の差出をはじめ、物流において協業しており、今回はこれをさらに強化していく形だ。
また、イオンのタスマニアビーフのタスマニア島から日本への輸送手配を、2016年7月9日現地発分からトール社が行うこととなる。トール社はアジアパシフィック地域の物流に強みを持つ日本郵便の子会社だ。国内の郵便物が減少傾向にあるなか、日本郵便にとっては海外での収益拡大、イオンにとっては物流事業を委託することによってコストの削減を図るものとなる。両社は今後もアジア圏の物流について協業検討を行っていくという。
EC事業が盛り上がりを見せる一方で、再配達の問題が深刻化している。「はこぽす」の設置拡大はお客様の利便性向上に留まらず、物流の負担を軽減するという点でも大きな意味を持っていると言えるだろう。イオンとしても、お客様がイオンを訪れるきっかけが増え、日本郵政、イオン、お客様の三者にとって有益な動きと見ることができる。EC事業者としても、商品が届くまでがサービスととらえれば、宅配受取の利便性向上は、顧客満足度の向上にもつながってくることだろう。