【比較してみた】大手小売と3大宅配会社業務提携 徹底比較!
メルカリとヤマト運輸の提携は、売主の手間を減らし、出品者の増加を狙う
楽天と日本郵便の提携は、ネット通販を使う人の受け取る手間を軽減し、利便性を高める
ローソンと佐川急便の連携は、ローソン自体が物流拠点にもなるサービスを検討中
【検証】小売業界が、物流業界に風穴をあける。
小売業は、ただ小売をしていればいい、という時代は終わった。小売業が、これまでの宅配のあり方に大きくテコ入れして、物流業界に今、大きな風穴を開けている。そうした各社の取り組みを比較して、今の時代の小売と物流との関係性について考えてみたい。
メルカリが、ヤマト運輸との連携で、もたらすこと。
まずは、メルカリだ。メルカリは、スマートフォン上でフリーマーケットができるアプリ。一般消費者間で行われるこのやり取りの利便性の向上に、同社とヤマト運輸との連携が、一役買っている。
一般消費者である出品者が、何かを売ろうと思っても、面倒であれば、フリマをやりたいとは思わないだろう。そこで、メルカリは、購入成立した時点で、アプリ上でQRコードを出品者に発行し、ヤマト運輸直営店で、このQRコードを読み取るだけで、送り状が印字されるようにしたのだ。入金時には、販売手数料と送料が差し引かれ、また、送料に関しても、ヤマト運輸は全国一律にする事で、送る際の手間を軽減している。
楽天が、日本郵便との連携で、もたらすこと。
続いて、楽天だ。同社は、日本郵便と手を組んで、ECならではの懸念点を解決しようと、「はこぽす」というシステムを取り入れた。渋谷郵便局、世田谷郵便局をはじめとする、東京都内の郵便局25局に、受け取り専用ロッカー「はこぽす」を設置。楽天市場に出店する300店舗に限り、楽天市場で購入した商品を、上記の郵便局にある「はこぽす」で、自由に受け取れるようにした。
これは、例えば、帰宅の遅くなったOLが、商品をすぐに受け取ろうと思っても、受け取れない場合、あるいは、自宅で受け取れるけれど、受け取る際に、顔を見られたくない場合などの一般消費者の細かな気持ちに配慮したのである。
ローソンが、佐川急便との連携で、もたらすこと。
最後に、ローソンだ。同社は、佐川急便の親会社SGホールディングスと業務提携をし、6月には共同出資の会社、SGローソン株式会社を立ち上げる程の力の入りよう。新会社は、まず東京都世田谷区を中心とした約20店舗で新サービス「SGローソン マチの暮らしサポート」の開始するとしている。
具体的には、配達物が不在で届けられない時に、近くのローソンで受け取ることができるよう、検討している。ローソンは、都心部では特に、駅の近くに存在することが多いので、これが実現すれば、帰宅時、最寄りの駅の近くのローソンで受け取って帰るということが、可能になりそうだ。
同サービスは、小売、物流としては、さらに一歩踏み込んで、一般消費者に、荷物と一緒に、店頭販売商品やローソンフレッシュという商品群を、提案する事も考えている。一般消費者にとっては、そこまで、やってもらえるサービスがあるならば、これほど、便利なことはない。これが具現化されれば、これまで、コンビニに通うことの少なかった、年配者のような顧客を、新たに、取り込める。
具体的な確定した内容は、6月の新会社誕生のタイミングで、明らかにされることになると思われるが、いずれにせよ、従来の型にとどまらないサービスになると言えよう。
【まとめ】小売と物流の一連の提携劇は、今の時代を象徴。今後も加熱しそう。
今までは「お店で商品を買う」という行動が常識だった。が、今や、誰でも簡単に、スマホなどで物が買える時代だ。
それゆえ、店が“物を売る場所”、という役割にとらわれることなく、“物流拠点”となったり、物流もまた、“宅配物を届ける”以上の役割が求められるようになったということだ。
もはや、小売だけでも、物流だけでもいけない。両者が垣根を越え、手を組み、新たな目線と切り口で、模索することが急務だ。
今回の小売と物流の一連の提携劇は、今の時代を象徴する必然的な事であり、今後更にこうした提携は、加熱するものと思われる。