楽天がナショナルブランドを支える“戦略パートナー”に! 豊富なアセット活用で企業のマーケティングを一気通貫で支援
楽天グループ株式会社が持つさまざまなアセットを活用し、ナショナルブランド(全国展開する大手企業のブランド)のマーケティング戦略立案から販売促進までフルファネルのソリューションを提供する組織「アカウントイノベーションオフィス(以下、AIO)」が設立されて5年が経過した。マーケティングや販売促進などにおける最適解を導き出し、課題解決につなげることがミッションだ。AIOはこれまでどのような形でクライアントに寄り添い、大手企業の“戦略パートナー”として歩みを進めてきたのか――。組織を統轄する楽天グループ株式会社 アカウントイノベーションオフィス ジェネラルマネージャー 堀川直裕氏(以下、堀川)にAIOの概要や取り組み内容、支援における成功事例などについて話を聞いた。
1億以上の会員基盤×70超のサービスで新価値創造
――まずはAIO設立の背景や目的について、改めて教えていただけますか。
堀川 当社は「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」をミッションに掲げ、創業以来、日本各地の小規模な商店などをはじめとする事業者様のECビジネスをサポートしてきました。この基本姿勢は昔も今も変わりません。
その一方で、消費者の購買行動はECの普及で大きく変わりました。食品や日用品をオンラインで購入する機会も増え、大手企業様が販路のひとつとして「楽天市場」を活用いただくことも多くなりました。
そこで、当社が持つ1億以上の会員基盤と70以上の楽天のサービスを掛け合わせ、ナショナルブランドのマーケティングや販促のDX推進をサポートしようと、2019年に立ち上げたのがAIOです。
――どのようなサービスを提供されているのでしょうか。組織の強み・特徴なども含めて教えてください。
堀川 AIOでは、楽天市場に出店している/出店していないにかかわらず、楽天グループの多様なアセットとビックデータを活用したマーケティングや販促の支援を行っています。営業機能とマーケティング機能が同じ組織内にあるため、クライアントの要望を高い解像度で共有し、スピード感を持って対応できる点が強みです。支援の幅は限定的なものではなく、大手企業様の“戦略パートナー”としてさまざまな面でサポートさせていただいております。
――組織の立ち上げから5年が経過しました。進捗はいかがでしょうか。
堀川 クライアントは食品、飲料、日用品、化粧品、家電などさまざまで、当初想定していたよりも多くの企業様にご利用いただいております。入口としてはやはりECの売上増加に向けたご相談が多いのですが、そこから派生して「認知を高めたい」といったアッパーファネルのお話や、「スーパーマーケットやドラッグストアでの販促企画を一緒に考えてほしい」「楽天のアセットを新商品開発に活かしたい」などといった声もいただくようになりました。立ち上げから5年が経過し、提供できるサービスの種類や質・幅は確実に高まっていると実感しています。
ブランドの魅力を引き出す豊富なソリューション
――多くの企業の支援をされていると思いますが、成功事例があれば教えてください。
堀川 大手化粧品メーカーの日本ロレアル株式会社様(以下、日本ロレアル)は、ECで商品を販売することでブランド価値が毀損してしまうのを危惧されていました。楽天市場に「出せば売れる」ことが明白であるにもかかわらず、ECビジネスに飛び込めない状況でしたので、「Rakuten LUXURY BEAUTY」という高級コスメブランドだけを集めたサイトを作り、そこに公式ショップを掲載していただきました。
イメージとしては、デパート1階の化粧品売場を楽天市場内に再現したという形でしょうか。ブランド棄損が行われないような環境を整備することで、積極的なマーケティングを展開できるようになり、着実に売上げを伸ばすことに成功しました。今では楽天市場内に18ブランドの公式ショップを構えていただいており、そのいくつかはチャネル別売上げがナンバーワンになっています。
――O2OやOMOの一環として、オフラインイベントにも参加したそうですね。
堀川 楽天市場で食品を取り扱うブランド様や店舗様に声をかけ、10月に代々木公園で行われたグルメフェス「食いしんぼう祭」を開催しました。目的は二つあって、一つは「楽天市場=食」の想起を促すこと。もう一つは、このカテゴリに特化したプラットフォームをイベントという形でオフラインにもつということです。食いしんぼう祭は、初回から大きな成功となりましたので他の地域での展開を検討しています。
またAIOでは「フルフィルメントプラン」として、EC運営へかけるリソースが不足している企業様向けにブランド公式店の代理運営サービスも行っています。楽天市場における店舗運営に必要な受注管理、カスタマー対応、ページ作成、広告運用、データ分析などのソリューションを一気通貫で提供していますので、運営ノウハウやリソース面で出店をためらわれているのであれば、ぜひ一度ご相談ください。
楽天経済圏をフル活用してクライアントと“協働”
――クライアントビジネスを最大化させるため、常にAIOが心がけていることや、大切にしている姿勢・考え方などはありますか。
堀川 AIOのビジネスを語る上で欠かせないキーワードが「Walk Together」です。どのクライアントと仕事をするときでも、双方の担当者が1対1、要は点と点のお付き合いでは事業はなかなかスケールしませんよね。
やはり経営層から現場担当者までが定期的に顔を合わせることが大切で、プロジェクトの成功には何が必要で、その実現のために何をどうすれば良いのかということを、全員が共有する必要があると思います。クライアントとAIOがひとつのチームとして“協働”していくという姿勢は常に意識しています。
――AIOのサービスは、どのような企業が利用すると効果が出やすいのでしょうか。
堀川 ECを中心にビジネスを最大化させたい、もしくはECの数字がもっとほしいという企業の皆様にとって有益なサービスだと思います。楽天市場内にブランドショップがなくてもマーケティングや販促支援のサービスは受けられますので、ぜひご相談いただきたいですね。
――最後に、AIOの今後の目標や計画、将来の展望などがあればお聞かせください。
堀川 AIOは「ナショナルブランド×楽天経済圏」という図式で、今後も大手企業様のビジネスをエンパワーメントさせる取り組みを加速して参ります。現在はECが中心ですが、もっと発展的に取り組んでいきたいですね。
そのためにはジャンルやカテゴリを深耕していく作業が不可欠ですが、当社だけで実現することはできません。各ジャンルをけん引するリーダー企業様や、ナショナルブランドをお持ちの企業様と一緒にマーケットを共創したいと考えています。
一例にはなりますが、前述の日本ロレアルとはビューティ領域における顧客体験のさらなる向上を目指すパートナーシップ契約の締結に向けて協業していくことでも合意しており、既存の枠にとらわれない取り組みも広がっています。楽天の豊富なマーケティングデータやAIテクノロジーと、日本ロレアルの専門的な知見を組み合わせることで、日本のビューティ市場に新たな価値を提供できると考えています。
これからも楽天市場が魅力的なプラットフォームであると認知していただけるようプレゼンスを高め、企業様がマーケティングや販促を考える際にまずAIOとのコラボレーションを検討する「当たり前の存在」になることを目指したいと思います。