【対談】ランサーズ×Hamee、提携の先に見るECの未来
6月8日付で業務提携をした、ランサーズ株式会社(以下、ランサーズ)とHamee株式会社(以下、Hamee)だが、今回の提携に伴い、ランサーズが提供する、メールマガジン(メルマガ)を無料でメディア化してくれるサービス「Propag」が、Hameeのネクストエンジンの新サービスとして導入されることが発表された。その第一弾として8月9日ネットショップ5,000店と連携したショッピングメディア「ColorfulL(カラフル)」を発表した。
そこで、なぜ業務提携に至ったのか、そして両社が提携の先に見る戦略とは何か、ランサーズ株式会社 事業開発部 部長 平井 聡氏と、Hamee株式会社 取締役 鈴木 淳也氏のお二人にお話を伺った。
・貴方のメルマガがメディアに!Hamee「Propag」導入
https://ecnomikata.com/ecnews/9449/
ネクストエンジン、Propag導入でEC業務をトータル支援
ー今回、業務提携に至ったきっかけは何でしょうか。
平井氏
「ランサーズは、仕事を求めるフリーランサーの方々に企業様が手軽に仕事を発注できる日本最大級のクラウドソーシング「ランサーズ」を展開しております。「ランサーズ」では、記事制作やコンテンツ制作も手掛けているのですが、最近、EC事業者様が”メディアコマース”というある一定トレンドワードに対して敏感になってきており、”コンテンツマーケティング”の市場が非常に活気づいてきている印象が見受けられるのです。
しかし、多くのEC事業者様がそうしたコンテンツマーケティングに興味を持ちつつも、多岐に渡るEC店舗運営の業務に追われて、そこまで手が回らず挑戦できていない。こうした背景の中で、社数にして2500社、EC店舗数でいうとおよそ1万7千店と、日本国内において最も導入されている一元管理システム「ネクストエンジン」を展開するHamee様に、EC事業者様に向けて何かできないかと、ランサーズから提携の話をさせていただいたことが始まりでした。」
鈴木氏
「Hameeは、EC店舗の業務を支援する一元管理システム「ネクストエンジン」を提供しています。EC事業者様のバックヤード業務全般の支援を行っていくなかで、ネクストエンジンユーザー様の状況を見ていると、スピードが速いEC業界の中で着実に成長されるユーザー様もいらっしゃいますが、伸び悩み、EC業界から撤退されるユーザー様ももちろんいらっしゃいます。
こうした状況を目の当たりにしたときに、なんとか撤退されるEC事業者様をゼロにできないかと考え、そのためにはバックヤードの支援だけではなく、売上に直結させるフロントヤードでの支援をしたいという想いがありました。ただ、Hamee自体はバックヤード業務の支援を専門としているので、なかなかフロントヤードの支援をしたくても実現できなかったところに、ちょうど良いタイミングでランサーズ様から業務提携のご提案がありました。」
ーランサーズがコンテンツマーケティングのノウハウを持っていることと、Hameeのネクストエンジンが国内で一番導入されているという実績を合わせてユーザーへ提供していく、両社の良い部分を存分に活かせる業務提携なのですね。EC事業者にとってのメリットとしては、具体的にどういったことがあるのでしょうか。
平井氏
「集客の施策として、需要が高まってきているコンテンツマーケティングを取り入れたいとお考えになるEC事業者様は多くいらっしゃいます。そこで、今回、ネクストエンジンの新サービスで「Propag」をショッピングメディアとしてネクストエンジンユーザー様に提供することにより、マーケティング支援という形でランサーズが力になれるかと思います。
そして、まだネクストエンジンを導入されていないEC事業者様が、コンテンツマーケティングを行えるからネクストエンジンを選ぶ、というように、導入を検討される際の選択肢として「Propag」が存在できれば嬉しいですね。」
鈴木氏
「EC事業者様は日々売上を上げるために、そして自社の良い商品を知ってもらうために、メルマガの作成に労力を注ぎ、頑張っておられます。ですが、昨今ではメルマガの開封率が低下し、商品情報はインターネットで検索するということが主流になっています。
このような背景からオウンドメディアやコンテンツマーケティングの需要は高まっていますが、いきなり新しい手法に変えて集客をするといってもなかなか難しいのが現状です。そこで「Propag」を使えば、EC事業者様は普段行っているメルマガ配信という作業を変えることなくコンテンツマーケティングが始められるので、それまでのトータル的な支援に加え、販売促進活動をも支援させていただけます。」
メルマガをメディアへ、コンテンツマーケティングの重要性
ーEC店舗様のお声を聞かれる機会も多いかと思いますが、やはりコンテンツマーケティングの重要性というのは感じられますか?
鈴木氏
「HameeもEC店舗を運営しているのですが、いちEC事業者の視点からしても、コンテンツマーケティングは重要だと思います。ユーザー様からすれば、コンテンツマーケティングのような手法があることは知っているけれど、自社のリソースでそれが立ち上げられるのかというと、誰がやるの、どうやるのという会話になって、結局、自社では無理だねという話になり、実行に移らないのではないでしょうか。だからこそ、ネクストエンジンにコンテンツマーケティング機能が加わり、2500社が新しい販促・集客に挑戦することはとても大きいことなのです。」
ーメルマガをWEBコンテンツ化してショッピングメディアにしていけるサービスってあまり聞いたことないですよね。あるようでなかったというか。
平井氏
「そうですね、多くのEC事業者様が時間を割いてメルマガを作成していますが、実際、お客様の手元で埋もれてしまっているという実情があります。そこで、メルマガをメディア上でコンテンツ化し、ストックしていくことにより、新しい価値を生み出せるのではないかと思います。また、最終的にはショッピングメディアとしてメルマガを購読して頂いているユーザー様以外のお客様にも情報発信を行うことができるので、今までリーチできていなかった顧客に対してリーチができるはずです。」
ーメルマガはそもそもが開封率が良くないことと、既に会員になっているユーザーに対してしかリーチができない。そこで、新たなユーザーを獲得するためにも、「Propag」を使い、メルマガをコンテンツ化し、情報発信していくことが狙いなのですね。
鈴木氏
「ネクストエンジンは導入前に無料で30日間全ての機能を体験してもらうことができますが、なかには利用していただいても契約にまで至らない企業様もいらっしゃいます。しかし、新サービスのコンテンツマーケティング支援機能の提供により、無料で自社のコンテンツメディアを立ち上げる事ができるのできっと新しいカタチでネクストエンジンを利用しようとお考えになるEC事業者様が増えるはずです。」
サービス開始は8月!ECの自動化で変える未来
ー最後に、まだ6月に業務提携をされたばかりで、ネクストエンジンの新サービスとなる「Propag」ことショッピングメディアのサービスの提供も8月からということですが、今後どのような展開をされようとお考えですか。
平井氏
「今回の協業でご提供するショッピングメディアがネクストエンジンユーザー様にとって、お客様との接点を作る入口としてご活用いただければと思います。それに伴って、マーケティング活動を身近にし、ネクストエンジンのサービスロイヤリティを引き上げ、ショッピングメディアをいち事業として成り立たせていき、ネクストエンジンをご利用のEC事業者様の送客のご支援をしていくことが直近の目的です。その先、ショッピングメディアで、ある一定のPV数が獲得できれば、Hamee様と協業で広告モデル事業を手掛けたりなど、メディア事業でマネタイズしていきたいということは考えています。」
鈴木氏
「Hameeの社名は、「happy mobile, easy e-commerce」の頭文字をとったもので、これは会社としてのビジョンでもあります。そういったビジョンを掲げている背景の中で、ネクストエンジンの使命としては、EC事業者様の全ての業務を自動化し簡単にしていくこと。もちろん、バックヤード業務はどんどん自動化を進めていきますが、集客・送客も自動化できるようにしていきたいと考えているので、最終的には、EC事業者様は商品を作るだけというような、一番簡単なカタチでECをしてもらえる環境を整えていきたいですね。」
今回両社の提携で注目したいポイントは、「通常業務のリズムを崩すことなく、コンテンツマーケティングを取り入れられること」「EC業務の自動化を期待できること」である。
新しいサービスやシステムは試してみたいが、自社ECサイトの業務量と人件費を考えるとなかなか難しい、というのがEC事業者の本音だ。また逆に、自社ECサイトのスタイルを崩したくないので新しいものに挑戦できずにいる、というEC事業者もいることだろう。
しかし、成長スピードの早いEC業界においては、新しいものに挑戦し、時代に合わせたサービスを展開していくことが重要なのではないだろか。だからこそ、EC事業者の業務を自動化することを目指す両社の取り組みは、ECの未来に変化をもたらすものとなってくるのではないかと思う。
まだ今はスタート段階であるが、今後どのようにこのサービスが拡大し、ECの未来が創られていくのだろうか。楽しみだ。