PB「ZOZO」の今後と「ZOZOARIGATO」の背景。現場担当者が今だからこそ語る本音〜後編〜

西村 勇哉

2019年1月の決算発表会で計画を下方修正をした株式会社ZOZO。理由の一つとして挙げられたのがPB「ZOZO」の不振だ。当初予算が200億円だったのに対し、見込みは30億円と大幅なビハインドだ。その一方で、「ZOZOARIGATO」という新しい会員サービスもスタート。しかし恒常的な割引がブランドイメージを悪くするのではないかと、「ZOZO離れ」と揶揄されている。

プライベートブランド「ZOZO」と「ZOZOARIGATO」は今後どのように変化していくのか。

株式会社ZOZOのZOZO商品開発本部 本部長 木地谷 真治氏とEC事業本部 ディレクター 松田 健氏にお話を伺った。

〜前編〜→https://ecnomikata.com/original_news/21722/

「ZOZO」の生産遅延は解消されたのか

――「ZOZO」をスタートしてから様々な課題があったかと思いますが、今はどのように壁を乗り越えようとしていますか?

木地谷:まだまだ課題は多くあるのが正直なところです。一番の課題だったのが、生産管理と品質管理です。PB「ZOZO」が弊社の初めての本格的なモノづくりということもあり、採寸用ボディースーツ「ZOZOSUIT」やビジネススーツは大幅な遅延と一部不備が出てしまうなど、多くのお客様にご迷惑をおかけしました。

生産面は急ピッチで体制強化を進め、今では品質・生産の面ではお客様に安心してご購入いただけるような体制に改善しております。

ファッションを楽しく、と考えていても、大前提として、最終的にお客様に良い商品を届けることができないと本末転倒ですから。

ZOZO「2Bスーツ」


――PB「ZOZO」のビジネススーツの配送遅延の理由はどこにあったのでしょうか?

木地谷:まず一人ひとりの体型に合ったサイズの服を製作すること自体、前例がなかったことが要因です。

S・M・Lの3パターンであれば作る型も少ないので作るたびに効率化されていきます。しかし「ZOZO」の場合は、その都度、異なったサイズの型から製作を行うので、生産体制を整えるのに時間がかかってしまいました。

今回の商品遅延・一部サイズの不備により失ってしまった信用を取り戻すのは簡単ではありませんが、今後は通常の納期・品質が担保された商品をお届けできるよう、お客様とより誠実に向き合ってまいります。

――当初予定していたより反響も大きかったのでしょうか?

木地谷:そうですね。「ZOZOSUIT」もPB「ZOZO」のビジネススーツも予想以上の申し込みをいただきました。

これに関しては非常にありがたいことだと思っています。私たちが考えている以上に多くのお客様が期待していただけていたということだと思いますので。

それだけに商品遅延などでご迷惑をおかけしたのは非常に申し訳ないと感じています。

――今後はさらにラインナップを増やすとのことでしたが、新商品に関しても商品遅延の心配はないのでしょうか?

木地谷:そこに関してはノウハウの蓄積と反省を踏まえた今の生産体制があります。お客様にこれ以上ご迷惑をおかけせずに商品を発送することができる体制が整ってきています。

やはりファッションが楽しくなると、どんどん色んなアイテムに挑戦したくなる人が増えるんですよね。そのお客様のニーズを汲み取ってベーシックアイテムを拡充すると同時に、自分に最適なサイズの体験や、ファッションの楽しさを提供していきたいと思います。


「ZOZO離れ」の実態に迫る

――また2018年12月末から開始した「ZOZOARIGATOメンバーシップ」も様々なメディアに取り上げられていますよね。今までにZOZOTOWNではやってこなかったサブスクリプションサービスですが、どのような考えが背景にあり、サービスのローンチに至ったのでしょうか。

松田:創業20周年を迎えた当社は、「第2の創業期」と捉え、改めて企業理念である「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」を念頭に、「ファッションを楽しみながら社会貢献もできる新しい仕組み」として、社会貢献型の有料会員サービス「ZOZOARIGATOメンバーシップ」を開始しました。

単なる商品の値引きではなく、「お得になる金額分」をどう使うのかをお客様自身でお選びいただき、ありがとうの気持ちが行き交うことを目指したサービスです。

大前提として、ZOZOTOWNはECモールですので、集客を行うことは大事なミッションの一つだと思っています。その中でも、他のECモールさんや実店舗でも行われている有料会員サービスで、もっとZOZOTOWNらしさを出した施策をしようということで始めました。

ZOZOARIGATO会員は、弊社負担の10%割引でZOZOTOWNの商品をご購入いただけます。そして割引した金額分は自分のお買い物の値引きだけでなく、慈善団体への寄付やブランド様に還元することができるので、よりファッションを楽しみながら社会・業界に貢献していく新しいサービスだと捉えています。


――10%割引というフレーズが一人歩きしてしまっている印象ですが、、、

松田:お客様がサイトを訪れた際の分かりやすさを一番に考えて、このような表現にしたのですが、ブランド様に対して、サービスの目的や内容について十分な期間をもった説明に至らない点はありました。お騒がせしてしまったことに関して、大変申し訳なく思っております。各ブランド様には単なる割引ではなく、寄付やブランドに還元をする社会貢献型サービスです、と説明をさせていただいております。ご理解していただいているブランド様は非常に多いですね。

――常に割引されている状況を良く思わないブランドさんもいると思いますがいかがでしょうか。

松田:2月下旬より、各ブランド様からのご意見・ご要望を踏まえ、「ZOZOARIGATO」のメンバー特典価格の表記方法は選択可能となりました。

今後もブランド様・お客様にとってより良い施策になるよう、サービスのチューニングは必要であると考えています。

ZOZOTOWNはブランド様に支えられているECモールですが、商材がファッション専門です。ファッション以外も取り扱う総合ECモールと比較すると、店舗数も限られていますので、引き続き、ご出店いただいているブランド様との関係構築は非常に大事だと考えています。

――多くのメディアで「ZOZO離れ」と言われていますが現場の方々は実際どのような関係なのでしょう?

松田:最近のメディアの記事を見ていると、正直少し心苦しいですね。

実際、ZOZOTOWNとブランド様の現場担当者同士の信頼関係は非常に深いと僕は思っています。

当社の社員はファッションが大好きなんですよね。社員は今後のファッション業界がどうなっていくべきかを真剣に考えていますし、日頃お世話になっているブランド様に対しても、担当者様は敬意をもって一緒にお仕事をさせていただいています。

ブランド様も、もちろんファッションが大好きなんです。オタク同士がずっと好きなことについて話をしているイメージです。実際、私達とブランドさんはファッションオタクなんで(笑)。

ただ私達の施策があまりにも前例がなく、賛否両論が出やすいのも確かかなと思います。その中でもネガティブな意見が目立ってしまっていますが、もちろん評価していただけているブランド様も多数いらっしゃいます。

――ZOZO離れの理由の中でも最も多く見るのが、安売りすることでアパレルブランドの印象が損なわれるのではないかという考えも目立ちます。運営する立場の方々はこの意見をどう受け止めているのでしょうか。

安売りを正当化するわけではありませんが、プライス・プロモーションは業界ではよく使われています。

基本的に割引額はブランドさん負担でしたが、その額を純粋にZOZOTOWNで肩代わりしていますし、寄付やブランドさんへの還元なので安売りのイメージも普通の割引よりお客様の印象もかなり違うと思っています。

ZOZOTOWNとブランド様がなぜか対立構造で描かれることが多いのですが、それは本意ではありません。

私たちは今まで接点のなかったお客様を集客し、お客様とブランドを繋げていくことがECモールとしての責任だと考えています。その責任に対する努力として「ZOZOARIGATO」は、今後もブランドさんとの関係構築をしっかりとしていきながら、良い形にしていきたいと考えております。

ファッション好きが業界をさらに盛り上げる

――どうしてもZOZOは前澤社長の発信力が強く注目が集まりがちですが、現場の方々は自身の仕事を通して、業界をどう変えていきたいと考えているのでしょうか?

松田:やはり私達はファッションがとても好きで。そして好きなことを仕事にしています。だからこそファッションを盛り上げたいという想いもやる気もとても強いです。

今は様々な娯楽コンテンツが増え、ファッションにかける時間やお金はどんどん減ってきていると思います。そのような時代でも多くの人にファッションに興味を持ってもらい、楽しんでもらえるよう努力していきたいですし、ZOZOTOWNにはその役割があると感じています。

木地谷:松田が言う通りだなと思いますね。ファッションを通して、ワクワクや楽しさをもっと提供していきたいです。楽しみが増えるだけで人間明るくなるじゃないですか笑。

PB「ZOZO」もより便利な商品にならなくてはいけないと思いますし、「ZOZO」だけではなく、ZOZOTOWNがより信頼性の高いファッションECモールに成長していくことで、サイズの不安や体型に合う服が見つからない人が減り、ファッションを楽しむ人が増えるように頑張っていきたいですね。


記者プロフィール

西村 勇哉

メディア運営事業部 編集チーム所属
見た目はヒョロイのに7歳から空手を習っています。
他にも水泳、サッカー、野球、弓道の経験有り。
たまにメルマガに登場しますが乃木坂46の話しかしません。

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