ZOZOを裏で支える影武者たち。彼らはファッション業界をどう変えていきたいのか? ~前編〜

西村 勇哉

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アパレルEC業界を牽引している株式会社ZOZO。同社代表取締役社長 前澤氏の考え方はSNSやメディアを通じて知っている人も多いのではないか。

では現場担当者がどのような想いのもとファッション通販サイト「ZOZOTOWN」の運営を行なっているのか、プライベートブランド「ZOZO」は今後どのように信頼を取り戻していくのか、知っている人は多くないのではないか。今回はZOZOの現場担当者が、日々業務とどう向き合っているのかを株式会社ZOZOのZOZO商品開発本部 本部長 木地谷 真治氏とEC事業本部 ディレクター 松田 健氏にお話を伺った。

後編はこちら→https://ecnomikata.com/original_news/21723/

ZOZOTOWN・ZOZOの中の人は何を思い、何を考えているのだろうか

――ZOZOTOWNを運営している社員の方々はどんな人が多いのでしょうか?

松田:働いている社員は、アパレル関係の仕事をしたいという人や、元々ZOZOTOWNのユーザーだった人などファッションが大好きな人が集まっています。

年齢も近く、飲みの場でもファッションのことで盛り上がれる人達が多いと思います。ZOZOTOWNのお客様も、出店していただいているブランド様も“ファッションが好き”ということが共通点になるので、非常に大切にしている要素かなと思います。

  EC事業本部 ディレクター 松田 健氏

――そんなファッション好きの皆さんはZOZOTOWNをどのような考えのもと、業務を行なっているのでしょうか?

松田:一番重要なのは、お客様が欲しいと思う商品をZOZOTOWNで提供できるかどうかです。商品のニーズのミスマッチはブランド様とお客様両方の機会損失になってしまうので、EC事業本部全体で特に気をつけています。

主な業務はZOZOTOWNのお客様に満足していただける良い商品を集め、さらにブランド様の予算を達成することになるので、ZOZOTOWNを利用していただいているお客様がどのような商品を求めているかを私達が理解することはとても大事です。

今、ZOZOTOWNのお客様の平均年齢が33.2歳なんですけど、社員の平均年齢も同じくらいなんです。さらに私達とお客様にはファッション好きという共通の軸があるので、意識せずとも消費者目線を持てているかな、と思います。ZOZOTOWNに出店していただいているブランド様の多くは私達からお声がけさせていただいています。自分達が本当に欲しいと思う商品を選ぶことに意味があると思っているので。中にはインバウンドでの出店もありますが、社員の確認は必ず行なっていますね。

最近では「ツケ払い」という決済サービスの影響もあり20代の若いお客様が増えました。ファッションは時代の流れによって変化が激しいので、今の若年層のお客様のニーズに合ったブランド様に出店いただけるような動きも活発になっています。

若年層のお客様が増えたことによって、そのニーズに合わせて新しくお付き合いのできるブランド様も多くなり、ZOZOTOWNの守備範囲が広くなったなとは感じています。

プラットフォームとして、お客様のニーズに合わせて商品を変化させていくことも大切です。最近では若いうちからZOZOTOWNをご利用いただいていたお客様が、親になるケースも増えてきているんですよね。なので、それに合わせて子供服などのアイテム数は増えつつあります。今後もお客様のライフスタイルの変化に沿った商品を拡充していくことで、より便利なZOZOTOWNにしていくつもりです。

  ZOZO商品開発本部 本部長 木地谷 真治氏

――ZOZOといえば、去年から本格的に動き始めたPBブランド「ZOZO」も多くの人の関心を集めていると思います。構想自体はいつ頃から考えられていたのでしょうか。

木地谷:実はPBの構想はかなり前から社内でしていました。

ZOZOTOWNを運営していくなかでECならではの気づきも多くあり、その課題解決の一つが採寸用ボディースーツ「ZOZOSUIT」でした。やはりサイズがわからない不安を抱えながらお客様はECでアパレル商品を購入していると思います。

また多くの人が自身の体型に合った服を本当に着用しているのかなという疑問もありました。

代表の前澤は背丈が低いことがコンプレックスですが、前澤以外にも大なり小なり似たような悩みを抱えている人は多いと思います。

ファッションは本来楽しく、そして自由なものじゃないですか。その中でEC、実店舗に関わらず、サイズが合わないからファッションを楽しめない、ということを解決したいと思いました。誰もが簡単に自分の体型に合ったサイズが手に届くサービスを始めたい、という考えが背景にありPB「ZOZO」はスタートしました。


――構想から実装までかなり長い期間を要していますよね。やはり技術面の開発に時間がかかったのでしょうか?

木地谷:はい、体型計測などの新しい技術も一つ理由には挙げられますが、服のサイズパターンの設計にはかなりの時間を要しましたね。

従来であれば、一つの服にS・M・Lの3サイズの設計書を作成する必要があります。しかしPB「ZOZO」では様々な体型に合わせる為、一つのアイテムで数千サイズもの設計書を作成しなくてはいけなかったので、ここに時間を要しました

もちろん、設計書を作成する前にお客様のサイズをどう測るか、など壁はいくつもありまして。初めての試みなので試行錯誤しながらも、昨年1月にPB「ZOZO」をスタートできました。

ZOZO 「スリムテーパードデニムパンツ」

――PB「ZOZO」をスタートしたことで、他のアパレル企業は顧客を取られるのではといった懸念を抱える推測記事も散見します。実際、PB「ZOZO」のターゲット層はどの辺りを見据えているのでしょうか?

木地谷:私達は「世界中の誰でも着られるように」という想いのもと開発を行っています。商品のラインナップも非常にベーシックなアイテムになっているんです。一方でブランドはデザイン性豊かな商品が多いですよね。。

もちろん、ブランドの中にはベーシックなアイテムを販売しているところもあるでしょう。PB「ZOZO」で1つ売れると、他での売り上げが1下がることも可能性としてはあると思いますが、そのような目線では運営を行なっていません。

あくまで、サイズの問題に悩んでいて、今までファッションに接点が少なかった人に、服の楽しさを伝えることを重要視しています。

ファッションに興味を持つ人口が増えれば、結果、相乗効果でZOZOTOWNに訪れる人も増え、ブランドの商品を購入する人も増えると思っています。

点で考えると商品同士の競争のように見えることもあるかもしれません。

しかし、全体観で考えるとPB「ZOZO」でファッション人口が増えた後、集客力に強みのあるZOZOTOWNや、ZOZOTOWNを支えていただいているブランド様それぞれの存在が、必要不可欠だと考えています。

やはり我々のベーシックな商品だけではなく、トレンドやデザイン性に富んだブランドの商品など、色んな選択肢があることで、よりファッションが楽しくなると考えています。

松田:ZOZOTOWN側でもデータをいろいろ分析したんですけど、他ブランドさんへの影響は驚くほどなかったんですよね笑。

木地谷:ただ「ZOZO」は、「人が服に合わせるのではなく、服が人に合わせる時代」という考えのもと、生活をしていく中でどのクローゼットにも1枚はあるようなベーシックアイテムを製作しています。

一人ひとりの体型にあったサイズをお届けする、という誰もやっていないことをやっていますので、他のブランドさんの顧客を取りに行こうというような野心や競争心は本当にないんですよね。

松田:むしろPB「ZOZO」をきっかけで服を楽しむようになる人は、その後、他のブランドのアイテムと組み合わせて、様々なコーディネートにもどんどん挑戦しています。

例えば、細身の方はPB「ZOZO」の脚がすらっと見えるデニムパンツと、ブランドの少し緩めのトップスを合わせることで変化を作ったり。

PB「ZOZO」が今まで着ることのなかった服と出会えるきっかけになり、ZOZOTOWNで様々なブランドの商品と出会い、ファッションをより楽しんでいただくという一連の流れが作れています。

――確かにファッションに今まで興味を持っていなかった人ですと、いきなりブランドのお洒落な服をどう合わせるかは悩みますよね。そのような時にシンプルでサイズも自身に合っているアイテムがあると、ブランドの商品とも合わせやすいと思います。ファッションに興味を持つ人口を純粋に増やすという考えのもと、様々な段階を用意されているんですね。

松田:その通りです。周りからお洒落になったね、と言われるとさらに違うアイテムが欲しくなりますよね。その良い連鎖がZOZOTOWNという一つの場所で起こるんです。

木地谷:そういう意味でもPB「ZOZO」はZOZOTOWNやブランドさんとの相乗効果を発揮できるブランドとしてこれからも頑張っていきたいですね。

――ZOZOTOWN・PB「ZOZO」の現場担当者は、ユーザーニーズを組みとりながら、アパレル業界を盛り上げ、ファッションを好きな人を増やしていく。そのような考えのもと、日々業務を行なっている。明日公開の記事では、「ZOZOARIGATO」とPB「ZOZO」の課題について、今に至る経緯と今後どのような対応を行っていくのかを話していただいているので見逃さないように。


記者プロフィール

西村 勇哉

メディア運営事業部 編集チーム所属
見た目はヒョロイのに7歳から空手を習っています。
他にも水泳、サッカー、野球、弓道の経験有り。
たまにメルマガに登場しますが乃木坂46の話しかしません。
連絡先→nishimura@ecnomikata.co.jp

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