リピート売上50%増の京橋千疋屋 サイトリニューアルが成功した要因は「顧客体験の改善」にあり!
果物専門店として創業138年の歴史を持つ「京橋千疋屋」。百貨店などに直営店やフルーツパーラーを出店しているほか、2003年から自社ECサイト「京橋千疋屋公式オンラインショップ」を運営している。
2018年2月には、ECサイトの顧客体験(CX)を改善するため、サイトを全面的にリニューアルした。その結果、1年でリピート売上高が1.5倍、スマホサイトのコンバージョン率が1.3倍に上昇するなど、高い成果を上げたという。京橋千疋屋がECサイトのリニューアルに成功した要因とは何か。京橋千疋屋の門眞博幸氏と、リニューアルを支援したエフカフェの住秀明氏に話を聞いた。
京橋千疋屋が取り組んだリニューアルの中身とは?
――京橋千疋屋さんは2018年2月に、自社ECサイト「京橋千疋屋公式オンラインショップ」をリニューアルし、リピーターの売上高がリニューアル前の1.5倍(50%増)に増えるなど、高い成果を上げたそうですね。本日は、リニューアルが成功した要因について、詳しくお聞きしたいと思います。まずは京橋千疋屋さんのEC事業の概要について教えてください 。
京橋千疋屋 情報システムマネージャー e-shopメディア担当 門眞博幸氏(以下、門眞):弊社は1881年に創業し、果物の販売や、フルーツパーラー・レストランの運営などを手掛けてきました。店舗数は現在23カ所。主に百貨店や、駅の商業施設などに出店しています。
EC事業を開始したのは2003年のこと。全国のお客さまに、より便利に購入していただけるように、新しい販売チャネルとしてECサイトを開設したと聞いています。
ECサイトの取扱商品は、果物やフルーツゼリー、焼き菓子など。売れ筋は贈答用の商品です。楽天市場やAmazonといったECモールにも出店していますが、EC事業の売り上げの大半は、独自ドメインのECサイト「京橋千疋屋公式オンラインショップ」が占めています。
――「京橋千疋屋公式オンラインショップ」をリニューアルオープンしたことで、ECサイトがどのように変わったのか、具体的に教えてください。
門眞:ECサイトのデザインや操作性、導線、裏側のシステムまで、全面的に変えました。特に、スマホサイトの利便性の改善に力を注ぎました。
リニューアルする上で意識したのは、顧客体験(CX)を改善すること。例えば、商品ページの写真を大きくした一方で、商品を説明する文章は短くするなど、お客さま目線で商品を選びやすくしました。
また、贈答品を購入するお客さまは、「絶対に失敗したくない」という心理が強く働きます。そして、贈られる方に対し、実に細やかな配慮をして商品を選びます。そういったお客さまのニーズに応えるために、箱の大きさや賞味期限などの情報をわかりやすく提供することにしました。
また、ランキングを目立たせたり、弊社がお薦めする季節ごとの商品を大きく訴求したりして、どの商品を買えば間違いないか、一目で分かるようなデザインに変えました。
――ランキングを目立たせたり、商品の写真を大きくしたりしたのは、顧客の意見を反映させた結果なのでしょうか?
門眞:その通りです。お客さまから寄せられたアンケートを分析したほか、お客さまのユーザーテストやインタビューなどの調査を実施し、実際にECサイトを操作していただきながら率直な感想を出していただきました。
サイト分析やユーザー調査で顧客ニーズを把握
――リニューアルは、エフカフェさんと一緒に行ったんですよね?
門眞:はい。リニューアルの戦略設計やユーザー調査、サイト構築まで、エフカフェさんにご支援いただきました。
2017年4月に契約し、約半年間かけてエフカフェさんとのワークショップやリニューアルの方針の検討、サイト分析、ユーザーインタビューなどを行いました。そして、2017年秋ごろに新しいECサイトの構築に着手し、2018年2月にオープンしたという流れです。
株式会社エフカフェ 取締役 住秀明氏(以下、住):弊社が提供しているCX改善パッケージサービス「CX Navigate(シーエックス ナビゲート)」をご契約いただき、「京橋千疋屋公式オンラインショップ」のリニューアルをワンストップでサポートしました。
――「CX Navigate」とはどのようなサービスなのか、詳しく教えていただけますか?
住:弊社は2003年から、通販に特化したコンサルティングやサイト構築、運営代行などを手掛けています。それらを体系化し、パッケージで提供しているのが「CX Navigate」です。
ECサイトの戦略設計から始まり、定量的なアクセス解析、定性的なペルソナ設計、ユーザー調査によるニーズの把握、CXを改善するサイト構築、さらにはリニューアル後の運用サポートまで、ワンストップで行います。
「CX Navigate」が特に重視しているのは、その名の通り「CX」を改善することです。さまざまなデータを分析してペルソナを明確化した上で、ユーザーインタビューを実施し、お客さまが本当に求めていることを把握します。
また、ECサイトのアクセス解析を行ったり、弊社独自の「課題発見シート」や「カスタマージャニーマップ」なども活用したりしながら、「お客さまは、どこからECサイトに流入しているのか」「サイト内で、どのように行動しているのか」「どのページで離脱しやすいのか」といった情報を特定します。さらに、新規顧客の獲得率や、リピーターの継続率といった各種データも精査し、サイトの強みと弱点を浮き彫りにします。
――こうした調査を通じて「京橋千疋屋公式オンラインショップ」の課題を明らかにし、CXを改善したのですね。
住:その通りです。さまざまな調査を行った結果、「京橋千疋屋公式オンラインショップ」では、特にリピーターの継続率や、スマホサイトの離脱率に課題があることが分かりました。そういった調査結果を踏まえて、リニューアルを実施しました。
「CX Navigate」を活用し、見落としていた顧客ニーズを発見
――門眞さんにうかがいたいのですが、こうした定性調査や定量調査を行ったことで、新たな発見はありましたか?
門眞:たくさんの発見がありました。
例えば、リニューアル前は、商品ページの商品説明文を、長く書くようにしていました。できるだけ詳しく説明した方が、お客さまは商品を選びやすいと思っていたからです。しかし、ユーザーテストを実施した結果、長い文章はあまり好まれず、文章を短くして写真を大きくした方が、お客さまの満足度は上がることが分かったんです。
それまで、お客さまのために良かれと思って努力していたことが、裏目に出ていたんですよ。
また、弊社のお客さまの年齢層は比較的高いため、スマホ経由の購入割合は低いと思っていました。そのため、以前はスマホサイトの改善が、後回しになりがちでした。しかし、じつは年齢に関わらず、スマホで買い物をするお客さまが、たくさんいらっしゃることが分かりました。
このように、エフカフェさんと一緒にさまざまな調査を行ったことで、それまで見落としていた、お客さまのニーズを正しく理解することができました。
住:お客さまのニーズを正しく理解することは、CXを改善する第一歩です。しかし、それを十分にできている企業は、それほど多くはありません。特に、自社のお客さまの声を実際に聞いて、それをリニューアルに反映させている企業は、まだ少ないのが現実ではないでしょうか。
EC担当者の熱意がリニューアルを成功に導く
――ユーザーテストやインタビューなどの調査を実施するには、費用や手間がかかるため、踏み出せない企業も少なくなさそうです。
住:確かに、ユーザー調査やサイト分析など、お客さまのニーズを正しく理解するための施策を行うには、ある程度の手間と費用がかかります。しかし、それを行わないと、ECサイトの本当の課題は見えてきません。課題を明確にしないままリニューアルを行っても、成果は上がりにくい。もし成果が出たとしても、そこに再現性はありません。ですから、たとえ大変でも、ユーザー調査やサイト分析は必須だと弊社では考えています。
ECサイトのリニューアルで成果を出すには、クライアントさまにもご協力いただくことも必要です。門眞さんは、「なんとしてもECの売り上げを伸ばしたい」と常におっしゃっていて、ユーザーの調査や分析なども、本当に熱心に取り組んでくださいました。CXの重要性を理解してくださっている門眞さんがいたからこそ、ECサイトのリニューアルが成功したのだと思います。
クライアントと真摯に向き合うエフカフェの姿勢を評価
――2社がお取引を始めたきっかけを教えていただけますか?
門眞:ECのミカタさんのポータルサイトを通じて、サイトリニューアルを行える会社を探した結果、エフカフェさんからご提案いただいたことが契約のきっかけです。
――複数のベンダーから提案があったと思いますが、なぜエフカフェさんを選んだのでしょうか?
門眞:一言で表現するならば、住さんと初めて商談したときに、「京橋千疋屋のECサイトのリニューアルを、必ず成功させる」という住さんの本気度が伝わってきたからです。
じつは、エフカフェさんと初めて商談した時点では、サイトの改修内容について具体的には決めていませんでした。前回のリニューアルから7~8年が経過し、ECの売り上げや集客の伸びが頭打ちになっていたので、とりあえずデザインをリニューアルしたいと考えていた程度だったんです。
リニューアルに対する私の考えを聞いた住さんは、「漠然とデザインをリニューアルしても、失敗する」と、はっきり指摘してくださいました。ECサイトをリニューアルするなら、CXを改善することが必要だと、アドバイスしてくださったんです。
他のベンダーさんは、弊社の要望に沿ってリニューアルの内容を提案してくださったのに、エフカフェさんだけは、真っ向から私の考えを否定したんです。そのときは、まるで顔をひっぱたかれたぐらいの衝撃でしたよ。「目を覚ませ」と言われた気がしましたね。
でも、そのことがあったからこそ、エフカフェさんのことを信頼するようになりました。弊社にとって耳障りの悪いことでも、必要なことを本音でおっしゃっていただけるのは、とてもありがたいことですから。
――見込み客に対して、考えが間違っているとはっきり指摘するのは、簡単なことではないと思います。
住:ECサイトのデザインが古くなったから、とりあえず見た目を変えたいというご要望をいただくことは多いんです。しかし、いくらデザインをオシャレに、今風に変えても、それがCXの改善につながらなければ、大きな成果は期待できません。ECサイトをリニューアルする目的は、集客や売り上げを増やすことです。そのためには、CXを改善するために必要なことを洗い出した上で、そこから逆算してデザインやコンテンツを作っていくことが重要なんです。
――サイトをリニューアルした後の結果を重視すべきだと
住:そうですね。ECサイトは、制作して終わりではありませんから。
通販・EC業界はもちろんのこと、他業種のCX改善にも貢献する
――最後に、2社の今後の抱負を聞かせてください。まずは京橋千疋屋さんの、EC事業の抱負をお聞かせいただけますか?
門眞:まずは、ECサイトを通じて商品やブランドの情報を発信し、より多くのお客さまに弊社のことを知っていただきたいです。その結果、ECの売り上げに繋がったら嬉しいです。
――エフカフェさんは「CX Navigate」を通じて、通販・EC業界にどのような価値を提供していくお考えでしょうか。今後の抱負や展望をお聞かせください。
住:弊社は、ウェブサイトのCXを改善し、コンバージョン率や売り上げを高めるコンサルティングを得意としています。今後も通販・EC業界を中心に、幅広い業種業態の企業に対して、CXの改善をサポートしていきます。
また、「CX Navigate」の導入対象は通販・EC以外にも広がっています。例えば、専門学校のウェブサイトにおいて、資料請求のコンバージョン率を改善するために「CX Navigate」を活用していただいたケースもあります。もし、売り上げやコンバージョンに課題を感じている企業さまがあれば、お気軽にお問い合わせください。