東急電鉄の担当者が明かす、ECリニューアルの開発パートナーにシステムインテグレータを選んだ理由

ECのミカタ編集部 [PR]

左から
●東京急行電鉄株式会社 リテール事業部 東急ベル・EC推進グループ EC企画担当 マネジャー 石原裕太郎 氏
●株式会社システムインテグレータ E-Commerce事業部 開発部 スペシャリスト 相葉健一 氏
●株式会社システムインテグレータ E-Commerce事業部 開発部 リーダー 野口勇気 氏

ECサイトをリニューアルするとき、システム開発ベンダーの選定は、リニューアルの成否を左右する重要な経営判断となる。しかし、どのような観点でベンダーを選べば良いか、その判断基準で悩むEC事業者は少なくない。そういったEC事業者にとって、最新の成功事例を知ることは、ベンダー選びで失敗しないためのヒントになるだろう。

今回紹介するのは、2019年1月にECサイトをリニューアルした東京急行電鉄株式会社(以下、東急電鉄)の事例。リニューアル後は、ECの会員数や売り上げが堅調に伸びており、さらなる事業拡大の基盤も整ったという。その成功の裏には、システム構築ベンダーのシステムインテグレータとタッグを組み、二人三脚で進めたシステム開発の取り組みがあった。

東急電鉄がECサイトをリニューアルした狙いや、地域密着型ECサービスの展望とは、どのようなものか。そして、開発パートナーとしてシステムインテグレータを選んだのはなぜか。東急電鉄の石原裕太郎氏と、システムインテグレータの相葉健一氏と野口勇気氏に、リニューアルの裏話を聞いた。

ECサイトを統廃合し、3ショップの顧客IDを共通化

ーー本日は東急電鉄さんが今年1月に実施した、ECサイトのリニューアルについてお話をうかがいます。まずは、東急電鉄さんが実施したリニューアルの全体像を教えてください。

東急電鉄 石原裕太郎氏(以下、石原):今回のリニューアルでは、従来運営していた4つのECショップを3つへ統廃合し、東急線沿線の銘店の商品を扱うECショップ「SALUS ONLINE MARKET(サルース オンラインマーケット)」と、ギフト専門のECショップ「ギフト日和 by Tokyu Bell」を新たにオープンしました。また、「東急ストアネットスーパー」も、より買い物をしやすいインターフェースへとリニューアルしています。

その上で、3ショップの会員IDを共通化しました。そして、東急電鉄が手掛けているホーム・コンビニエンスサービス「東急ベル」の一環として、これら3つのショップを運用しています。

2019年1月にリニューアルした「東急ストアネットスーパー(左)」「SALUS ONLINE MARKET(中央)」「ギフト日和 by Tokyu Bell(右)」

ーーなぜリニューアルを実施したのでしょうか?

石原:理由は主に2つあります。1つ目は、ECショップごとにコンセプトや取扱商品を整理し、お客さまにとって分かりやすいサイトに変えるため。従来運営していたECショップは、成り立ちがばらばらだったこともあり、取扱商品のジャンルが重複しているなど、ショップごとの違いが分かりにくかったのです。

そしてリニューアルを実施したもう1つの理由は、各ECショップの会員IDを共通化するためです。リニューアル以前は、ショップごとに会員登録やログインを行う必要がありました。会員IDが共通化されていないと、ECサイト全体で買い回るお客さまはなかなか増えません。その結果、EC事業全体で相乗効果が生まれにくいことが課題でした。

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 東京急行電鉄株式会社 リテール事業部 東急ベル・EC推進グループ EC企画担当 マネジャー 石原裕太郎 氏

一度システムインテグレータとの提携を解消し、その後「元サヤ」に戻った理由とは?

ーーいつ頃から東急電鉄さんの社内でリニューアルの計画が決まったのでしょうか。

石原:2017年の春頃にリニューアルが決まりました。従来運営していたECサイトのシステムは、現在と同じくシステムインテグレータさんのECパッケージシステム「SI Web Shopping」を使って運用していました。リニューアルのタイミングで、システムインテグレータさんを含めて数社でコンペを行い、一度は別のシステム構築ベンダーさんと契約することになりました。

ーーシステムインテグレータさんは、そのコンペで負けてしまったと。

システムインテグレータ・相葉健一氏(以下、相葉):おっしゃる通りです。リニューアルのコンペで東急電鉄さんが重視していた要件の中で、どうしても予算内では実現できない項目がありました。それは、ECサイトの会員IDを統合することに加え、すべてのサイトのショッピングカートも共通化するという要件です。ネットスーパーのカートは店舗や配送便の考えがあることから、普通のECのカートと共通化することは容易ではありません。弊社としては、当初の予算と開発期間では、実現が難しいことを正直に伝えました。

しかし、競合のベンダーさんは、それらを実現できるという提案だったため、弊社はコンペで負けてしまったのです。

ーーしかし、東急電鉄さんは最終的に、システムインテグレータさんを再度開発パートナーに選びました。その経緯を教えていただけますか?

石原:2017年夏から数カ月間、別のベンダーさんと要件定義を進めた結果、コンペで提示された内容は実現できないことが判明したのです。さらに要件定義を進めた結果、予算と工数が大幅に計画を上回るという結論に至ったことから、そのベンダーさんとのシステム開発を断念しました。

ーーそこでシステムインテグレータさんが、あらためて提案したのですね。

相葉:はい。ECパッケージシステム「SI Web Shopping」を活用し、東急電鉄さんのご要望を最大限取り入れながら、予算と開発期間の範囲内で実現できるリニューアルの内容をあらためてご提案しました。

一度はコンペに負けてしまった要因として、弊社側にも既存ベンダーとして、お客様から絶対の信頼を得られていない要素もあったと思っています。例えば、従来のECサイトでは、1つのショップ内でも商品の種類によっては同時に決済できないといった課題がありました。再提案の際には、そういった課題をできる限り解消することをお約束しました。弊社が要件定義に着手したのは、リニューアルオープンの1年前のことです。

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  株式会社システムインテグレータ E-Commerce事業部 開発部 スペシャリスト 相葉健一 氏

単なるシステム構築ベンダーではなく「開発パートナー」として顧客に伴走

ーー2018年2月から、あらためて東急電鉄さんとシステムインテグレータさんが一緒にシステム開発を始めたのですね。一度契約を解消したことで、わだかまりはありませんでしたか?

相葉:弊社としては、わだかまりはまったくありませんでした。コンペに負けた2017年夏以降も、私たちは東急電鉄さんのサポートを続けていました。弊社は単なるシステム構築ベンダーとしてクライアントさまとお付き合いするのではなく、クライアントさまの仮想情報システム部門として、運命共同体のパートナーでありたいと考えています。ですから、例え契約の終了が決定していても、次のベンダーさんへ、きちんと引き継ぐところまで携わりますよ。

開発チームを呼び戻し、1年でリニューアルを完遂

ーー要件定義を行ってから、1年でリニューアルを実施したわけですね。これだけ大規模なリニューアルですから、開発期間が1年間というのは、決して長くはないと思います。

相葉:そうですね。従来のECショップを統廃合し、「SALUS ONLINE MARKET」と「ギフト日和 by Tokyu Bell」という2つの新ショップを立ち上げるには、内部システムを大幅に作り変えなくてはいけませんでした。難易度は高かったです。再契約が決まってから、東急電鉄さんの既存システムの開発や運用に携わっていた弊社のエンジニアを集め、専門チームを結成しました。ピーク時には月間数十人体制で開発を行うなど、弊社としても大規模な開発案件となりました。

ーー複数のECショップの会員IDを統合することも、簡単ではないと思います。

システムインテグレータ 野口氏(以下、野口):会員IDの統合は、とても苦労しました。「SALUS ONLINE MARKET」「ギフト日和 by Tokyu Bell」「東急ストアネットスーパー」の会員IDを統合するのはもちろんこと、東急電鉄さんの社内システムに対して、それぞれの会員情報を連携するなど、EC以外のシステムとのつなぎ込みも必要でしたからね。トライアンドエラーを繰り返しながら、チーム全員で思考錯誤して開発しました。

  株式会社システムインテグレータ E-Commerce事業部 開発部 リーダー 野口勇気 氏

石原:相当難易度の高いお願いをしていたと思います。技術的にも難しい案件でしたし、限られた開発期間に間に合わせるために、力を貸してくださったことに感謝しています。システムインテグレータさんは、ECのさまざまな機能を実現できるパッケージシステムや開発力をお持ちというのも、もちろん魅力なのですが、弊社に寄り添って開発してくださったことに、本当に感謝しています。

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システムインテグレータを選んだ3つの理由

ーー石原さんにお聞きしたいのですが、今回のリニューアルで、あらためてシステムインテグレータさんをパートナーに選んだ決め手はなんだったのでしょうか。

石原:ECサイト構築の経験が豊富であることに加え、ネットスーパーの仕組みにも精通していることが、決め手の1つになりました。「東急ストアネットスーパー」は、注文を受けると実店舗から商品を出荷します。店舗ごとに取り扱っている商品の種類や値段が違いますし、店舗の在庫には限りがありますから、配送する便ごとに取り扱える商品も違う。通常のECと比べて、ネットスーパーの仕組みはとても複雑です。

今回のリニューアルでは、システム開発を依頼する場合、その仕様について深く理解していらっしゃるベンダーさんを選ぶことがいかに重要か、あらためて痛感しました。また、システムインテグレータさんは、予算や開発期間を踏まえて「できないこと」をしっかり説明してくださいました。そういった正直な姿勢も、信頼した理由です。

ーーシステムインテグレータさんは、ネットスーパーのシステム構築の実績もお持ちなのでしょうか。

相葉:複数の大手スーパーマーケットのネットスーパーのシステムを構築・運用してきた実績があります。お客さまの社名を明かすことはできませんが、東急電鉄さんのように店舗出荷型のネットスーパーのシステム構築では、国内屈指の実績があると自負しています。

ーーシステムインテグレータさんが提供している「SI Web Shopping」は、ネットスーパーのシステムの構築にも対応できるのですね。

野口:はい。一般的なECサイトだけでなく、店舗出荷型のネットスーパーなど、幅広いビジネスモデルに対応することが可能です。一般的なECパッケージシステムは、カスタマイズに制約があり、柔軟なシステム開発が難しいというイメージを持っているEC事業者さんも多いと思います。しかし、「SI Web Shopping」は、パッケージのメリットである品質を担保しつつ、お客様要件に柔軟に寄り添える、カスタマイズにおける高い開発生産性を担保しています。これにより、幅広いビジネスモデルに対応できるんです。

EC事業は20%近い成長、さらなる事業拡大の基盤整う

ーー今回のECのリニューアルで、売上高などへの成果は出ていますか?

石原:EC事業全体の売上高や会員数の伸び率は、毎年前年比20%程度で推移しています。リニューアル後も売り上げと会員数は堅調に伸びていますし、「SALUS ONLINE MARKET」「ギフト日和 by Tokyu Bell」「東急ストアネットスーパー」の3つのショップで買い回りするお客さまが顕著に増えるなど、リニューアルの成果が表れています。

改善すべき点はまだまだありますが、今回のリニューアルで、今後さらに事業を拡大していくための基盤が整ったと思います。

ECとリアルの融合も視野に、「SI Web Shopping」の機能強化を継続

ーー最後に、今後の展望をうかがいます。東急電鉄さんは今後、EC事業をどのように展開していくのでしょうか。

石原:東急線の沿線には魅力あるお店がたくさんありますので、これからは、ネットとリアルを融合することが必要だと考えています。実店舗や、商業施設での実演販売といった、リアルの取り組みとオンラインを組み合わせて、お客さまが感動するような買い物体験を提供していきたいです。システムインテグレータさんは、本当に何でもご相談できて、信頼できるパートナーです。これからも二人三脚で東急電鉄のECを盛り上げていけたら嬉しいです。

また、弊社は、東急線沿線を日本一住みたい沿線にすることを目指しています。子育てをしたり、お友達と楽しく過ごしたり、お年を召されても移動がスムーズにできたりと、どのライフステージでも住みやすい街作りを目指しています。そしてもちろん、買い物がスムーズにできることも街のブランド化にとって大事なこと。そういった街作りにおいて、ECは欠かせない存在です。

物を買うだけではなく、買い物を楽しめるネットスーパーやオンラインショップを実現し、日本一住みたい沿線、そして選ばれる沿線を目指します。

ーーシステムインテグレータさんの展望をお聞かせください。

相葉:東急電鉄さんのリニューアルが終わっても、システムの開発は継続的に行わなくてはいけません。直近では軽減税率の導入が今秋に迫っていますから、しっかり対応します。

東急電鉄さんは、あらためてお互いのことをよく知るために人事交流を強化しました。東急電鉄さんの社員を弊社の開発現場に招いて、技術研修も行いました。今後もこうした交流を継続し、パートナーとしてEC事業をサポートしていきたいです。

そして、「SI Web Shopping」のバージョンアップも随時実施します。インフラのアップデートを含めて、時代に合ったソリューションを開発し、各社さまに便利に使っていただけるシステムをご提案していきます。

野口:私はクライアントさまからの問い合わせに対応する部署にいますので、システムをご利用いただく上で分からないことや、困りごとがあったときに、気軽に相談していただける存在であり続けたいです。また、「SI Web Shopping」の機能開発を進めていく上で、クライアントさまと話し合いながら、より良い機能を一緒に作っていけるような関係を築いていきたいです。

そしてECとリアルとの融合は、これからのECパッケージシステムに求められること。その点にもしっかり対応していきます。

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