越境ECにも「リアル体験のできる場」をつくる。ベトナムでショールームをオープンしたアーバン・コーポレーションの挑戦

須崎 千春 [PR]

(左)アーバン・コーポレーション株式会社 経営企画部 部長 佐田心平氏
(右)アーバン・コーポレーション株式会社 経営企画部 小島聖加氏

ベトナムでECに関するサービスを展開しているアーバン・コーポレーション株式会社(以下、アーバンコーポレーション)。前回の記事では、顧客対応から物流まで、ベトナムのECに関する業務をワンストップで委託できるECモール「e-jan」の仕組みと、ベトナム市場の可能性についてお話を伺った。

今回は、2020年1月にオープンする現地ショールームについて、アーバン・コーポレーション 経営企画部 部長 佐田心平氏、小島聖加氏にお話を伺う。ベトナムでWebとリアルが融合される場が必要なのは、一体どのような理由なのだろうか。

越境ECにおけるショールームの重要性とは?

日本国内ECでもポップアップショップイベントの開催やショールームのオープンなど、Webとリアルが融合された場が多くなっているが、ベトナムにおいても同様に、Webとリアルの融合が必要なのだろうか。今回、アーバン・コーポレーションがベトナムにショールームをオープンする経緯とともに、その理由をお話しいただく。

「当初、弊社が行うベトナムのビジネスとしては、日本の商品を販売するECモール『e-jan(いいじゃん)』の運営だけを想定しておりました。しかし様々な商品をベトナムで販売する上で、それぞれの商品の良さをどう伝えるかが課題でした。調査を進めて行くうちに、ベトナムの方は自分の手で商品の品質などを確認する習慣があることがわかりました。日本製品の品質を伝えるには、この習慣に合わせて、実際に目で見て、使っていただいてから購入していただく場を提供する。それが最もベトナムの方のニーズに合っている方法と考え、現地にショールームをオープンすることになりました。

実際に商品を手に取れる場所を提供するのは、ベトナムの方々にとっても有益なことですし、『e-jan』にご出品いただいている企業様にとっても商品を紹介する場として、大変有効にご活用をいただけるのではないかと考えています。」と佐田氏は話す。

今回、ベトナムにオープンするショールームの場所は、学校の近く。家族連れや周辺に子供が多い。そういった環境に合わせ、カフェのような内装をイメージした。

ショールーム内装

「ショールームには、休憩できるようなカフェスペースも作りました。そこで休憩してもらいながら、販売する商品や、抹茶オレや日本のお菓子などをお試ししてもらい、気に入ってもらえればその場で購入していただく。ベトナムの方にはリアルに日本商品を体験していただきファンになっていただく場としてショールームが地域に根付いていただければと考えています。」

ショールーム休憩スペース

ベトナムでの商品販売の「ポイント」とは?ショールームへの出品方法

「ショールームでの商品の販売については、『e-jan』にご出品いただく企業様向けのオプションサービスとして展開する予定です」と小島氏は語る。


「ショールームの出品には、まず『e-jan』への出品をお願いしております。『e-jan』の出品には、商品情報と画像をいただければ、掲載が可能です。しかし「商品の販売」となりますと、商品に関する「輸入許可の取得」がポイントになります。

例えば雑貨系の商品はベトナムへの輸入許可が必要ない場合が多いので、商品情報を掲載次第すぐに販売ができるケースが多いですが、ベビー用品、化粧品、食品などは、事前に輸入許可の取得が必要になります。

そういった場合でも、弊社では輸入許可取得の代行から、現地の商品配送までトータル的にサポートをさせていただきますので、日本の企業様はご安心して商品をご出品いただければと思います。許可が取れた後は『e-jan』への掲載、販売となりますので弊社の倉庫に商品を送っていただくだけで、出品の手続きは完了です。

このように、お取り扱いをさせていただく『e-jan』の出品商品は、ベトナムで販売許可を正式に取得し、ベトナムに在庫をお預かりいたしますので、他の手続きをする必要はなく、ショールームで商品を出すことが可能ですので、ぜひ新しい販路として、ショールームをご活用いただければと思います。

また輸入許可取得に関して、商品に使用されている成分によっては、輸入許可が取得できない(ベトナムへの輸入不可)商品もございます。まずは輸入許可についての知識を持つ私たちが成分などを確認させて頂き、出品可否のご案内をさせていただきますので、まずは気軽に相談していただければと思います。」

さまざまな越境ECのサービスがある中で、販売認可取得から現地物流までトータル的にサポートを依頼できることはEC事業者にとって非常にありがたい話だ。

ではここで、ベトナム進出に相性の良い商材について、小島氏に話を聞いてみる。

「やはり日本の化粧品の需要は高いと思います。また、近年、ベトナムでも男性の美意識も非常に高いので、男性用化粧品もよく売れています。紫外線が強い地域でもあるので、スキンケア商品はよく売れている印象です。

その他には日本の食料品もある程度コンスタントに売れている印象ですね。日本製のインスタントラーメンや、ソースや醤油などの調味料系は人気ですよ。あとは抹茶など、日本をイメージできるお菓子はベトナムには少ないので手にとっていただきやすいはずです。」と語った。

コスメや食品などを取り扱うEC事業者は、ベトナムでも勝負できるのではないだろうか。出品までのサポートもあり、ECサイトでの販売も可能で、オフラインでの商品を売る場所も提供するアーバン・コーポレーションの動きに、今後も注目だ。

販路と広告の選択肢拡大を狙う。アーバン・コーポレーションの今後の展望

ショールームのオープン後は、一体どのようなサービス展開を行っていくのだろうか。ベトナム事業の今後の展望を、佐田氏に伺った。

「弊社サービスの新たなオプションを考えています。基本的な商品販路は、『e-jan』がメインですが、オフラインでは、ショールームでの販売、『e-jan』以外のオンラインでは、ベトナムの大手ECモールへの出品代行、また弊社現地法人を通した卸なども計画中です。ベトナムでの販売の選択肢を増やしていき、ベトナム進出をお考えの方々へのご要望に応えれる体制を整えていきたいと考えております。

あとは、商品の紹介をする場をもっと広げていきたいと考えております。現在、ベトナムのSNSはFacebookが主流なので、当面はFacebook広告やライブコマースを使用していきたいと考えています。またベトナムKOL等とも連携を深め、できるだけ効果の高い販促ができるようにしたり、テストマーケティングや広告の場としてもご利用いただけるものを増やしていきます。」

アーバン・コーポレーションがワンストップでベトナム進出を支援

「今回のショールームは、あくまでも『日本の出品企業様の商品をベトナムでたくさん売るための手段を増やした』ということに過ぎません。今後は、ベトナムでの販路をいかに効率よく、そして大きくしていくのかが、私たちの使命だと思っています。今回のショールームはそのうちの一つの新しい試みなので、このような試みをどんどん増やしていきたいですね。」

佐田氏は今後ベトナムで挑戦したいことについて、このように語った。

「『e-jan』は、日本とベトナムを結ぶ様々な意味でのインフラとして役割を果たせると考えています。例えばベトナムの方が日本に来て、気に入ってくださった商品をベトナムに帰国後に『e-jan』で同じ商品を買うことができたり、逆も然りで、日本に来る前に『e-jan』やショールームで日本の商品や、日本のことを好きになっていただき、日本に観光に来ていただく。

このように、『e-jan』が日本の商品を売り買いするだけではない、国と国を繋ぐハブになれると思っています。」

長く注目されている越境ECだが、まだまだ成功事例が少ないのが実情だ。だが、そんな中でサポート体制は少しずつ整い始めているように思える。

「越境ECに挑戦してみたいがやり方が分からない」「興味はあるが越境ECの知識がない」そんなEC事業者は、まずはアーバン・コーポレーションを通して、アジア圏のベトナムに目を向けてみることはいかがだろうか。

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記者プロフィール

須崎 千春

1992年生まれ 北海道出身。朝ごはん巡りが大好きなフリーライター。
ビジネス系の書籍やWeb記事の執筆をメインとし、「ECのミカタ」ではECサイトを運営する会社での勤務経験を活かし、企業インタビューを行なっている。

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