D2Cスペシャルオールラウンダー【フラクタ】 D2Cブランドが考えるべきブランド戦略を語る
D2Cブランドを多く支援してきたフラクタ。支援の内容はブランド設計・クリエイティブ開発・制作・EC立ち上げと幅広く、D2C及びブランディングの専門家集団と言えます。言葉ばかりが一人歩きしてしまっているD2C。ブランドが目指すべき、意識すべきことは何なのか。そして、フラクタはどのような支援をしてくれるのか、CEOの河野貴伸氏に伺いました。
D2Cから学ぶ、あらたな視点をとりいれた小売文化
D2Cは今やメジャーな言葉となりつつあります。しかし、日本におけるD2Cの定義は、未だ曖昧なままのように感じています。人によって解釈は異なるのですが、個人的にはD2Cが「デジタルネイティブ」であることは欠かせない条件だと思っています。従来の小売文化にデジタル(ECをハブとし、SNSなどを活用する)を掛け合わせ、データドリブンによる成長を目指すビジネスモデル――それがD2C、というのが私の見解です。
ここで気をつけなければいけないのは、D2Cは決して既存のビジネスをディスラプトするものではなく、また既存のビジネスと単純に比較して優れているというわけでもなく、あくまで新たな時代にあわせて生まれた新しい視点であり、D2Cだからといって、なにもかもがうまくいく魔法の仕組みというわけでない、という点です。
店舗のあり方や、顧客のコミュニケーションのあり方など、米国のD2Cがチャレンジしたあらたな視点から学び取り、文化を作っていく体制が必要と考えます。
D2Cのあるべき姿とは
国内には従来のEコマースをベースとし、PL上の「直販による利益」を重視しているD2Cが少なからず存在します。しかし、D2C=直販で利益を得ることだけではありません。
米国のD2CやDNVBは「ブランド価値の創造」をビジョンに掲げ、BS上の「ブランド価値の向上」に注力し、それに伴う売却益の獲得をゴールに設定しています。(*DNVB:デジタルネイティブバーチカルブランズ)定義の境界線については様々な説がありますが、今回は便宜上すべてD2Cと称することにします。
米国のD2Cブランドは発信する情報が人々を魅了し、ブランド価値に共感してくれるファンを増やし続けています。そのために、顧客とダイレクトに繋がることができ、そのコミュニケーション設計、及びブランドのタッチポイントが「制御可能」な状態であることが、D2Cにとっては重要になるのです。そして、顧客と繋がるためのラストワンマイルを埋めてくれるのがテクノロジーです。これは物理的な距離だけでなく、心理的な距離も含まれます。
テクノロジーの力を借りてラストワンマイルを埋め、顧客とのダイレクトなコミュニケーションを可能にします。だからD2Cにはテクノロジーが重要なのです。この米国のD2Cモデルは一定数バイアウトを前提としたEXIT戦略を想定しています。その点においては日本では同じようにはいかないかもしれません。
日本におけるD2Cビジネスにはコンパクト、インスタント、そしてコンストラクト(仕組み化)が求められます。商品を適切な量と適切なタイミングでデリバリーするには、ビジネス全体の即応体制を実現するコンパクトさと、顧客に対してわかりやすくかつ洗練された体験の即時提供、そしてオフラインとオンラインの有機的結合を実現する仕組みがマストになります。
これらを、既存の体制に縛られない形で実験的に新規ブランドとして、立ち上げるという事もありかもしれません。結果それらの成果を既存ブランドにフィードバックし、企業全体のブランド価値向上に貢献させる事も可能と言えます。
USはユニコーンが数社日本は小さな成功が多数
USにおけるユニコーンのような企業を目指す志を抱くのももちろんアリですが、ニッチ市場で熱狂的なファンを獲得し、売上数億円で利益率を確実に上げるといった"小さな成功パターン"をたくさん作れるのも、D2Cならではの魅力です。
そして、私個人として日本の市場はこの"小さな成功パターン"をたくさん積み重ねていく方法がマッチしていると考えています。テクノロジーの進歩により、より高度な顧客体験が実現できるようになったD2C。これらから学び取った日本流のD2Cが今後多く生まれてくる事を期待しています。
フラクタがD2Cに対して貢献できること
基本的に優れたD2Cブランドは、優れたブランド指針を持っています。これは、D2Cブランド自体がスタートアップであるケースが多く、限られたリソースで最大効果を発揮しなければいけないからです。ブランド指針があると、やるべきこと・やらなくて良いことの判断がしやすくなり、「ECの仕組み・プラットフォームは何を選ぶべきか」「その機能は本当に必要なのか」「自分たちでどこまでやるべきか」なども見極められるようになります。
Shopify移行をサポートした「土屋鞄製造所」では、全てを当社で対応するのではなく、移行作業を二人三脚で行い、ブランド側の内製化に貢献しました。その結果、実現可能性を重視した上で、トラブルなく安全かつスムーズなリプレイスを実現しました。
フラクタでは「共に創る」ことを前提にオンボーディング(ブランド社内の技術的支援、教育、ワークフローの構築支援)を実施し、最終的にブランドが「自走できる」状態を目指しています。もちろん、立ち上げ当初は当社が担う業務が多くなりがちです。しかしそのすべては、ブランドと共に考え、設定した"ビジネスゴール"を目指して動いています。
コンサルティング、開発、クリエイティブ制作などをハイブリットかつコンパクトにまとめ、ビジネスにコミットできるのが当社の強みです。広告代理店でもなければ、制作会社でも開発会社でもないことが私たちの特徴です。
私たちのミッションは、日本のブランド価値の総量を最大化することです。そしてブランド価値を高め、ビジネスとして成功させることを目標に、コミットする約束を交わす、企業とブランドが生き残るための傭兵、参謀、そして相談役として、何かあればぜひ頼ってください。