越境ECが簡単にできる時代が到来!「ステラ漢方」が台湾で伸びているその理由とは?
越境ECを検討する際、日本から距離が近く、人々が親日的なことでも知られる台湾の市場に注目する企業も多いことだろう。ただし進出するには、物流や言語のほか、価格設定や日々の運用方法、問い合わせ対応など細かな課題も生じてくる。
台湾越境ECの進出準備から、後払い決済、日々の問い合わせ対応などのバックヤード業務を丸ごとサポートしているのが株式会社トライリンクアジア(以下、トライリンクアジア)だ。つまり海外に拠点が無い事業者もトライリンクアジアという名の「海外事業部」「台湾事業部」を持てるイメージだ。
同社の台湾事業部 取締役 部長の久米大輔氏と、導入先であるステラ漢方を運営するステラ漢方株式会社(以下、ステラ漢方)の通信販売事業部 企画課の陳勝仁氏にお話しを伺った
日本の商品が人気の台湾で、健康食品や化粧品を販売
――両社の事業概要を教えてください。
陳氏:ステラ漢方は2010年に創業した会社です。現在は日本国内と台湾において、自社サイトで健康食品、サプリメント、化粧品を販売しています。顧客層は40代以上で男女半々。弊社は社長がもともと薬剤師だったこともあり「いいものを作って、多くの人に届けたい」という志のもとで商品を作り、創業当初は日本での通信販売からスタートしました。
台湾への進出は2018年から。グローバル社会の発展にともない海外展開を視野に入れたときに、アジア圏内でもとくに日本の商品に人気がある台湾に着目しました。
久米氏:トライリンクアジアは2016年に創業しました。現在の事業は
台湾越境EC支援と、後払い決済サービスです。
そもそもなぜ台湾の仕事をしているかというと、弊社社長と僕が前職で台湾事業に関わっていた経緯があったことがきっかけです。当時、海外展開の第一歩を進むために各国を調査していた中で、台湾は距離が近く、人々が親日的であり、日本の商品やサービスが受け入れられる土壌があると判断した経緯があります。
トライリンクアジアとして台湾に進出した当初は、現地で後払い決済を広めることをメインの業務としていました。というのも、台湾ではECに必要な物流やネットインフラなどの環境は整っていましたが、日本には当たり前にようにあった後払い決済が台湾にはなかったのです。
台湾においてもEC市場がどんどん伸びていくなかで、もっといろいろな支払い方法が求められていくだろうと考え、私や社長の日本での経験を活かし台湾EC史上初となる後払い決済サービスを当社が提供し広める営業活動をして今に至ります。
日本ではカタログ通販などで50年前から浸透している後払い決済ですが、初めて購入する人でもカード番号を入力する必要がなく、商品が届いてから支払える消費者にとって一番安心な支払い方法です。 導入することでショップの信頼性や評価も上がります。実際に弊社が後払いサービスを提供している企業様では、決済を追加しただけで売り上げが伸びたケースも少なくありません。
また後払い決済サービスを展開する中で、台湾ECにこれからチャレンジしたいEC事業者のサポートもするようになりました。サイト構築から売り方、運用、出荷、問い合わせ対応までと裏方の部分をお手伝いし、EC事業者の「台湾事業部」としてEC運用に欠かせない業務を任せていただくようなイメージです。
海外に進出前でのテストマーケティングでも利用できますし、新しい売上を立てたいという事業者さまにも台湾越境ECは利用できます。
例えば日本では成熟期に入った商品に新たな売上を見込みたいといった場合に、その商品をそのまま台湾で販売をすると新規の売上という効果を見込めたりして、日本で販路開拓するより意外と簡単にアップセルができるかもしれません。
日本の商品はもともと台湾では評価が高いこともあり、日本のマーケティングがそのまま通用する台湾だからこその効果だと思います。
現在では多くのクライアントのサポートをしています。台湾で人気なのはステラ漢方さんのような健康食品やコスメ系のECで、弊社の支援実績も多くあります。また日本のキャラクターや、アニメの関連雑貨も人気です。
売り方から日々の運用アドバイスまで安心して任せられる
――ステラ漢方さんは、どのような業務を委託しておられるのでしょうか。
陳氏:進出にあたり、現地での売価設定や販売方法など初歩的なことからアドバイスしていただきました。現在は後払い決済も含めて、台湾ECの運用を総合的にサポートしていただいています。
久米氏:売価はステラ漢方さんとしての希望額が、現地で実際に受け入れられる価格帯かどうかなどをリサーチしてご提案しました。
販売方法もいろいろあります。台湾ではまとめ買いの文化が浸透し、百貨店のセールなどでもセット売りされることが多くあるなど日本とは違う商習慣があります。そこに日本の事業者が10年位前から定期購入のスタイルを持ち込み、現在は定期通販も少しずつ浸透し始めています。
そうした台湾市場の状況もお話ししながら、ステラ漢方さんのご意向も伺って販売方法を決めていきました。
問い合わせ対応で得た顧客の声も運用改善のヒントに
――実際に台湾ECをスタートされて、どのような感触をお持ちですか?
陳氏:トライリンクアジアさんに販売計画のアドバイスをいただけたおかげで、商品は順調に売れています。
久米氏:ステラ漢方さんは、売り方も工夫されていますよね。日本の場合ですと定期購入は毎月1袋が基本ですが、台湾はまとめ買い文化なので、両方を組み合わせて、毎月複数をセットで送り、そのぶん単価を安くしてみたり。
台湾人は自分用にまとめ買いをすることも多いですが、友達や同僚に声をかけて一緒にまとめ買いしてシェアすることも多いですから。
陳氏:実際にECを運用していく中で、顧客に喜ばれる売り方を探っていったところもあります。運用してみないとわからないことも多いので、まずは進出してみることが大事だと思います。
弊社にとっては初めての越境ECということもあり、日々の運用ではいろいろ分からないことも生じるのですが、トライリンクアジアさんに電話やメールで聞けば、いつも真摯に優しく対応してくれるので助かっています。
久米氏:弊社では顧客からの問い合わせ対応も承っていますが、その中で得られる声も次の展開への大きなヒントになります。そのため週次、月次でレポートやご提案をお出しして、運用の改善につなげていただいています。
台湾での定期購入を根付かせた後は、さらに他国への展開も
――両社の今後の展望をお聞かせください。
陳氏: 日本と比べてまだまだ台湾では定期購入という買い方への認識が薄いと感じています。定期通販をより浸透させて、さらに売り上げを伸ばしていきたいですね。
久米氏:50年前から定期購入がある日本とは違い、台湾は定期購入の概念をいま根付かせているところです。消費者に誤解が生じないよう、サイトや同梱物のチラシなどに定期購入についての説明を入れるなど、手寧に理解を促していくことが大切ですね。
ステラ漢方さんには引き続き、裏方業務は安心して弊社にお任せいただいて、マーケティング施策などにどんどんチャレンジしていただきたいですね。
弊社の展望としましては、海外事業の第一歩として台湾に進出された企業様に向けて、次の国への展開も支援していきたいと考えています。具体的には、シンガポールやマレーシアなど英語圏への対応を進めています。
陳氏:ステラ漢方でも台湾での売り上げを安定させてから、次の国に進出していきたいと考えています。トライリンクアジアさんの力をお借りしながら、一緒に成長していけるといいですね。