日本商品の魅力を東南アジアに発信する「かけはし」に Shopee Japan代表 ユナ・クォン氏インタビュー

野中 真規子 [PR]

東南アジア・台湾で最大規模に成長、日本においても初期費用・固定費ゼロで「誰でも簡単に始められる」と人気急上昇中の越境ECプラットフォーム「Shopee(ショッピー)」。その日本法人であるShopee Japanと韓国法人のShopee Koreaを統括するユナ・クォン氏にShopeeの想いや活動内容についてお話を伺った。

2018年にShopee入社、現在は日本、韓国のオフィスを統括

――まずは自己紹介をお願いします。

クォン 現在は日本と韓国のセラーに越境ECプラットフォームを提供するShopee JapanとShopee Koreaの両方を統括しています。シンガポールでMBAを学んだ後、2018年にShopeeに入社しました。

――現在のミッション、そして普段の業務は何ですか。

クォン ミッションは大きく分けて2つ。1つめは、日本・韓国と東南アジアとのかけはしとなり、日本や韓国の商品を、安く早く現地に届けるということです。そのために日々の業務では、プラットフォームの使いやすさや効率化を追求し、より多くのセラーが活躍し、成功を目指せるような環境を作っていきます。

2つめは、Shopee JapanとShopee Koreaのそれぞれのメンバーに対して、韓国と日本の輸出ビジネスの一端を担っているということを認識してもらい、実績を上げながら成果や達成感をしっかりと感じられるような働き方を推進していくことです。

Shopeeは誰でも簡単に始められて、サポート体制も万全

――Shopee Japanは、サービスにおいてどのような特徴がありますか?

クォン 一番の特徴は、初期費用や固定費用が一切かからず、リスクゼロで始められること。売り上げがあって初めて手数料がかかるしくみなので、どのECサイトよりも始めやすいと思います。

またShopee JapanだけでなくShopee Koreaもそうなのですが、ローカルでセラーをサポートするチームがあります。こうしたサポートを行うプラットフォームは少ないのですが、Shopeeではサービスの一環として、セラーの現地語を使いながら寄り添い、東南アジアや台湾で成功できるよう支援します。

海外販売は「こわい」「利便性に劣る」「難しい」と思われがちですが、実はShopeeのセラーの3分の1はオンラインの販売経験がありません。しかし経験があるセラーと比べても、販売実績に違いはないのです。むしろ未経験のセラーのほうが考え方は柔軟で、テクニックにとらわれず、熱心に取り組むことができるからかもしれません。

――Shopee Japan 設立までの経緯や設立の背景について教えてください。

クォン Shopee Japanは2020年7月、日本の商品を求める消費者の需要に応えるかたちで設立。当時の販売先はシンガポールと台湾で、現時点ではマレーシア、フィリピン、タイにも拡大。大きな声ではいえませんが(笑)、今後さらに拡大していく見込みですので、期待していてください。

――Shopee Japan の社会的な存在意義は何ですか。

クォン 日本製品や日本の魅力を海外に発信できること。とくにShopee Japan設立のタイミングは、ちょうどコロナ期。国をまたいだ移動ができなくなり、日本の事業者が商品を販売する機会が減る中で、Shopee Japanはその悩みを解決できました。また日本に来たことがある海外の人は日本の商品を記憶していて「今は行けないけれどあの商品が欲しい」という思いが強い。当社では、そうした消費者の気持ちも汲み取りながら事業展開してきたことで、大きく成長できたと思います。

韓国の事業規模は急成長

――Shopee Koreaは日本よりも先にサービスを開始されましたが、どれくらいの規模に、どのように成長してきましたか。

クォン Shopee Koreaは2016年の冬に設立。私が入社したのは2018年です。16〜18年は立ち上げ期で爆発的ではないものの、18年からは社員人数、セラー数やGMV(流通取引総額)の伸びは非常に顕著で実績を伸ばしてきました。

加えて現在、韓国では知られていないブランドが、Shopeeのキャンペーンではトップ5に入るという人気を得ています。Shopeeが新しいビジネスの機会を与えて成功するきっかけを作れた証拠だと自負しています。

日本法人では、幅広い規模感・業種の事業者の成功をサポート

――日本と韓国では、日々のビジネス開発や商習慣などの点で、どのような違いを感じますか。

クォン 日本と韓国では、実は共通点のほうが多いと感じています。たとえば日本人も韓国人も、できる限りのリスクを避け、さらに適応するまで時間がかかるという点が似ています。ビジネスでも信頼してもらうのに時間がかかるので、ECを始めてもすぐには成功しない、そういう感覚は共通していると思います。

私の認識でいうと日本のほうが国内の市場規模が韓国よりも3倍以上大きい。日本のセラーの多くは国内だけでECを行なっても成り立ちますが、韓国では海外に展開しないと大きな飛躍は見込めません。日本のセラーの方が海外で販売を行う必然性が少ない点は大きな違いといえます。

――Shopee Koreaと比較して、Shopee Japanは現在どのような状態・段階にありますか。

クォン 設立はShopee Koreaのほうが2年早く、日本はまだ法人設立から2年目。現在の状態を比べると、規模感や進捗という意味では韓国のほうが進んでいますが、韓国の2年目はどうだったかというと、社員は10名しかおらず、全くの初期段階でした。

Shopee Japanはまだまだ成長の余地があり、潜在能力が未だに十分に引き出されていません。ただ1年前と比べると、既にまったく違う会社に成長しています。さまざまなパートナーと協業し、日本のセラーを東南アジアで成長させた実績もあります。

余談ですが、Shopee Koreaも初期のころは政府系の機関から名前を間違えられたり、「e」が1つ足りないこともあったり(笑)。どの国も同じフェーズを経てマーケットが進行していくと考えています。


――Shopee Japanでは、現在どのような実績がありますか?

クォン セラーの実績は、おもちゃメーカーや、日用品を売るドラッグストアなど幅広くあります。規模的には個人セラーと呼ばれる小規模事業者から、法人セラーと呼ばれる、中規模、大手の会社までがいて、日本に拠点がある非日系の企業も多くあります。現在、小規模事業者が60%以上、法人セラーが20%強、残りは日系以外の法人で、主に中華・東南アジア系の企業の出店となっています。

パートナーの実績としては、政府系企業とのお付き合いが多く、そのほか物流倉庫や在庫連携サービスプロバイダ、決済代行サービス、出店代行エージェンシーなどさまざまなサービスプロバイダとの取引も数多くあります。

直近の実績というと、Shopee Japanの検索クエリ数、ホームページへのトラフィック、そしてセラー登録数が急激に伸びています。これは事業者からの関心が高まっている結果であり、サービス改善へのモチベーションになります。

セラーからの感謝の言葉や、スタッフの成長に喜びを感じる

――Shopee Japan とShopee Koreaの二つをリードする上で苦労したことは?

クォン Shopee Japanを担当して1年半以上経っていますが、コロナ禍の影響で実は私にとって、今回がはじめての来日。毎日一緒に仕事する人と対面で話せないことは、組織を統括するうえで大変です。韓国でも月の3分の2は在宅勤務でしたが、逆に言えば3分の1は対面で仕事ができましたから。言語の違いによる難しさも感じています。日本で何か問題が発生した場合、事情を把握するために日本のチームと話し合う必要があり、問題の解決まで時間がかかってしまいます。その点は苦労していますね。

日本、韓国で共通する課題は、日本の多くのセラーやパートナーが考えている「越境EC」の概念を変えることです。現状、多くの日本の事業者が海外市場という未知の領域に対して「恐れ」を感じています。そのため私たちは。出店に伴うコスト、リスク、オペレーションなどを詳しく説明して、事業者にとって越境ECが正しい選択となるようにに背中を押すことが求められます。

例えば、レッドオーシャンと呼ばれる国内市場で店舗の差別化に苦労している事業者や、在庫を海外に抱えるリスクを避けたい事業者は、受注ごとに発送できるShopee日本越境サービスを検討していただきたいです。東南アジアという日本のEC事業者にとって未知の地域へ進出してゆくことは、なかなか難しいことだと思います。そんなときに私たちShopeeがサポートさせていただきます。


――社内で起こった印象的なエピソードがあれば教えてください。

クォン Shopee Japanチームは活気があり、とても前向き。まだ創設期ですが、オフィスでは常に誰かがコミュニケーションをとっている環境もあり、だからこそどんどん成長できています。みんな、より多くのセラーを海外で成功させよう、日本の魅力ある商品を海外に出していこうという熱意が高いです。

――お仕事で一番喜びを感じるときはどんなときでしょうか。

クォン セラーと対面したときに、本人から「お陰さまでこれだけ売上が伸びました」、「Shopeeでの売上が伸びた結果、本職を辞めてShopeeに専念することにしました」などと直接言ってもらうと、それまでの苦労も吹き飛びます。また社内では、スタッフの担当領域を広げるために新たな業務を任せていますが、彼らが仕事をさばけるようになってきたのを感じると、喜びを感じます。

ECというとデジタルのイメージがあるかもしれませんが、実際は見えないところで多くの方々に支えられている業種であると忘れてはいけません。Shopeeのスタッフは、セラーとどうコミュニケーションをとり、人である消費者とどう向き合っていくかを常に考えています。

運営部分を改善しながら、今後もよりよいサービスを提供していく

――Shopee Japan の将来のビジョンや目指しているものはなんでしょうか。

クォン 1番のミッションは、我々のメインテーマでもあるかけはしとして、日本のEC事業者と東南アジアの消費者をつなげることです。それを実現するためには、運営部分を改善していく必要があります。たとえばオンライン上で商品をどうリスティングするか、在庫管理していくかなどもあるのですが、国内のECプラットフォームで商品のプロモーションが出ているように、Shopeeでもショップ内で様々な広告メニューがあるので、それをセラーが簡単に使えるようにするために改善していきたいと思います。

またECに欠かせないのが物流。Shopeeでは契約倉庫が国内にありますが、そこに日本中のセラーが効率的に商品を運んだり、使いやすくシステム化する工夫もしていきます。

海外に販売する方法はShopeeだけではありませんが、その中でも最初に試すべきはShopeeと私は自信を持って言えます。多くの方にそう思ってもらえる立ち位置を目指しながら、今後も日本と東南アジアを結ぶかけはしとして、始めやすく使いやすいサービスを提供していきます。

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記者プロフィール

野中 真規子

ライター。著書(電子書籍)『片付けられない、という「思い込み」をなくして、今すぐ片付けるための本』(ハウスキーピング協会)が好評発売中。ECのミカタにおいては、ECサービスのお話から伝わる本質的なメッセージを受け取り、拡散することが歓びです。

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