「自動梱包機vs手作業」人件費は半分、作業効率は4倍。機械化で物流を劇的改善
テクノロジーの進歩は、物流の現場を大きく変えようとしている。ワークフローのシステム化・オートメーション化を推進することで、EC事業者も物流事業者も、今まで以上にコスト・業務効率の両面で改善を図ることができる。包装機器メーカーの株式会社ダイワハイテックスが提供している自動梱包機が、その最たる例だ。
その導入の効果はどれほどのものか。人の手による作業とはどう違うのか。実際に同社の自動梱包機を利用している角川流通倉庫株式会社の通販物流部 部長の小椋克幸氏に話を伺った。
小スペースでもOK。ローコストで導入できる自動梱包機
ダイワハイテックスでは、メール便自動梱包システム「PAS-Line」や箱シュリンク梱包システム「BOS-Line」など、商品のサイズに合わせて、さまざまな梱包機を開発・製造している。
今回紹介する「PAS-Line」は、ネコポス、ゆうパケットといった厚みのない商品を梱包するのに最適だ。商品や封入物さえ用意すれば、あとはベルトコンベアに乗せるだけ。梱包からラベル貼りまでの一連の作業を全自動でスピーディーに処理することができる。
最小で約3.5mのスペースがあれば利用できるコンパクトなサイズも魅力だ。1台から導入できて、大規模な設備投入が難しい中小の事業者でも採り入れやすく、ローコストで始めることができる。
自動梱包機の能力やいかに? vs ECのミカタ社員で検証
自動梱包機の実力を検証するために、今回は人間vsマシンの作業スピード対決を実施。人材不足が叫ばれる昨今の物流業界を鑑み、スタッフの習熟度が低い状態を想定。素人代表として、ECのミカタ社員の齋藤が、手作業で梱包する場合と、自動梱包機を扱う場合をシミュレーションしてみた。
まずはメール便でよく利用されるヤッコ型の箱を、手作業で組み立てて梱包。荷物1個のラベリング完了まで50秒弱かかった。同じペースで作業すれば、1時間に72個を封入できる計算になる。
続いて、こちらも薄型の商品によく利用される、緩衝材入りの封筒で試してみた。1個のラベリング完了までおよそ30秒。1時間に120個を封入できる計算だ。
いよいよ本命の自動梱包機「PAS-Line」。包材はバブルシートと呼ばれており、内側に緩衝材の入った封筒のような仕上がりになる。齋藤は商品と納品書をただひたすらセット。「PAS-Line」はわずか1分間で19個を梱包・ラベリングした。単純計算で1,140個もの作業(資材交換タイミングを含めると最大1,000個を目安)をこなすことができる。その効率の違いは圧倒的で、ミスのリスクも限りなく低く、仕上がりは均質だ。
人件費は半分に、作業効率は4倍に
今回の検証に協力してくれた角川流通倉庫では、ダイワハイテックスの自動梱包機を今年5月から実戦投入している。
「仕事量に対して人の手ではどうしても追いつけない状況になったのをきっかけに、自動梱包機を探し始めました。他社の機械は1億円もするようなものがあったり、広大なスペースを要したり、納期が1年ほどかかったりと決め手に欠ける中、ダイワハイテックスさんは安価で始められるし、2~3ヵ月ほどでスタートできるとお話をいただき、導入を決めました。当社の商材でデモンストレーションしていただいたのですが、そのコンパクトさと性能に驚きました」
同社の数ある倉庫のひとつに「PAS-Line」を導入してからおよそ半年、今では事業の根幹を支える重要な設備になっていると小椋氏は語る。
「当社が主に出荷を受託しているのが、アイドルやバンド、アニメ関連の商品です。人気アーティストのCDやグッズが発売されると1度に数十万件という出荷があり、自動梱包機が欠かせません。当社では商品ごとにサイズのマスタデータを持たせて、購入された商品の合計値で配送方法を使い分けています。2つのWMSを利用しているので、両方のデータ形式に対応するようにセッティングしていただきました」
それほど大きなカスタマイズをせずに稼働させるだけでも、コスト・作業効率の両面において、目に見えて多大な効果が表れている。
「例えばこれまで6~7名の手作業で行っていた業務を、この自動梱包機なら3名で動かせます。同じ時間あたりの人件費は半分になり、出荷件数は概算で4倍になりました。機械自体はリースなのですが、減価償却もそんなに長くかかりません。データチェックや資材交換などのオペレーションもシンプルなので、スタッフのトレーニングも難しくありません。万が一エラーが発生しても、ダイワハイテックスさんのサポート対応が手厚く、メンテナンスも安心です」
優れたスペックが、さらなる戦略を生み出す
小椋氏によると、「PAS-Line」導入後には、意外な恩恵もあったのだとか。
「新規のお客様に当社の倉庫をご案内した際、この自動梱包機をお見せすると、とても喜んでいただけます。『こんなすごい機械があるんだ。じゃあ御社でお願いします』と。新しい物流案件も次々と決まっています」
大規模な物流企業でも梱包を手作業で行っているケースは多く、自動梱包機の存在そのものが差別化ポイントであり、顧客獲得の武器になりうるのだ。小椋氏は今後の戦略にも、この“武器”を組み込んでいる。
「いま当社では、ひとつの業界に特化するのではなく、幅広い商材を扱えるように販路拡大を行っています。また、配送会社の業務の一部を当社が自動処理によってフォローすることで、配送会社のキャパシティを増やす取り組みも進めています。自動梱包機のすごすぎるスペックを活かして、当社のみならず関係各社にもシナジーを生み出せればと考えています」
出荷件数の大小にかかわらず、角川流通倉庫ではさまざまな企業の成長を革新的な物流サービスで支えている。例えば健康食品の定期通販など、サイズがあまり変化しない商材を恒常的に大量出荷する企業などは、特におすすめだという。フルフィルメントの業務改善を目指す企業は、ぜひ自動梱包機の導入を検討してみてほしい。