いつもが仕掛けるデジタル販路拡大サービス。「ハンロー」でECモールへの直販参入を支援
家ナカ消費拡大も含めて、デジタルシフトが急速に進む中、メーカー各社には新たな販路を開拓していくことが求められている。特に流通総額の拡大が続くECモールへの出店は、事業拡大に欠かせない重要なファクターだ。
ただし、その販売を卸・小売店に依存していては、ブランド価値の維持・向上や消費者との適切なコミュニケーションは図れない。今こそ流通を戦略的、構造的に再構築する“販路DX”が必要だろう。
株式会社いつもが展開する「ハンロー」は、こうしたメーカーの課題を解決するデジタル販路拡大ソリューションだ。ショップの立ち上げから販路選定、在庫管理、配送などの業務を行い、ECモールへの直販参入を後押しする。開発事業責任者の太田章仁氏に、サービスリリースの背景やハンローの特長、導入メリットなどについて話を聞いた。
卸・小売経由のモール出店で生じる弊害とは
――「ハンロー」をリリースした背景について教えてください。
太田 まずはEC業界の現状からご説明しますね。購買行動のデジタル化が進んだことで、国内のEC市場規模は年々拡大しています。特にAmazonや楽天市場などECモールにおける流通総額の伸びが顕著です。世界的に有名なプレステージブランドもモール主催のイベントに積極的に参加していますが、モールでのオンライン販売に取り組んでいる企業の割合は50%に満たない状態です(公正取引委員会調べ)。
――企業がモール出店を躊躇する理由は何なのでしょうか。
太田 卸・小売経由でのECモール販売、ブランドの意図しない値下げで販売価格が大きく変動することがあります。消費者に“安売り”のイメージを持たれることで、ブランド力の低下を気にする企業が出店を控えています。また、既存取引先との関係や、他チャネルの売上げ減少リスクを考慮して、なかなか出店に踏み切れない企業が多いようです。
――モール出店で既存チャネルの売上げは本当に下がるのでしょうか。
太田 当社の分析では、既存チャネルからの顧客流出率は年間5%程度です。新たなデジタル販路としてECモールを使わないことは、事業者にとって大きなチャンスロスと言えるでしょう。ただし重要なのは、卸・小売店を経由した販売ではなく、自社でブランドをコントロールすることです。
――卸・小売店まかせのEC展開には、どのような弊害がありますか。
太田 先ほどお伝えした通り、メーカーが売価や売り方、情報発信の主導権を握れない点が大きなデメリットです。取扱商品やプロモーションの決定権も流通側にあるため、適切なブランディングができません。また、商品の配送や購入者とのコミュニケーションの面でも弊害があります。
卸・小売経由の販売を否定するわけではありませんが、こうした弊害がブランドのECモール出店の足かせになっていることは事実です。これらの課題を解決し、ブランド価値を毀損することなく、モールでの販売を希望されるお客様に向けたデジタル販路拡大サービスが「ハンロー」です。
デジタル販路の構築は製品を“卸して販売を委託 ”
――「ハンロー」のサービス概要についてお聞かせください。
太田 ハンローとは、オンライン特約店でECの市場シェアを伸ばす、まったく新しいフルフィルメントの販路DXサービスです。製品を卸していただくことで、当社がオンラインでの販路を開拓し、Amazonや楽天市場などECモールに当該ブランドの専門店を立ち上げ、その運営をすべて行います。ワンストップのサービスなので、ユーザー様がEC人材や物流倉庫をご用意いただく必要はありません。
当社には延べ10,000件を越えるECマーケティング支援のノウハウの蓄積があります。各種商材や出店するモール、EC販売に対して高度な専門知識を持ったスタッフが専任チームを組み、各ブランドの店舗運営にあたります。
――オンライン特約店とは、具体的にどのような仕組みなのでしょうか。
太田 ユーザー様から当社が製品を購入し、我々が各種プラットフォームにおけるオンライン上の特約店として、ブランド専用ショップの立ち上げ、その運営や在庫管理、配送までを担います。すべてのインフラは当社が用意し、EC事業を代行します。
独自にブランド専用サイトを作ったり物流拠点などのインフラを整えたりすると、莫大なコストがかかりますが、ハンローを利用すれば初期費用が圧倒的に少なく済みます。システム改修にかかる費用の負担もありません。また、ご契約から最短2ヵ月ほどでショップを立ち上げられるスピード感もご評価いただいています。
――販促キャンペーンや広告プロモーションなどもすべてお任せできるのですか。
太田 そうですね。ユーザー様のブランド専売サイトなので費用はメーカー様にご負担いただきますが、ブランド価値を維持・強化する最適なプランをご提案いたします。ただし、どのような施策であっても必ずお客様の承認を経てから実行するようにしています。蓄積された購買データやユーザーの分析結果はマーケティングにもご活用いただけます。
利益率改善、シェア拡大、セラーへの転換に
――改めてEC事業者がハンローを使うメリットを教えてください。
太田 ハンローは、オンラインにおける卸とECショップ運営代行を掛け合わせた直販サービスです。任意のECモールにブランド専用ショップを立ち上げ、当社がその運営も代行するので、ユーザー様は製品を卸すことで 売上げや利益を拡大しながらブランド価値を維持・向上させることができます。
ブランド専用ショップなので、一般的な小売では難しい定期販売やレビューキャンペーンの実施も簡単です。また、動画や写真を送れるオリジナルメッセージカードやギフトボックスなど、商品の付加価値を向上させるサービスにも対応します。
――どのような企業におすすめのサービスでしょうか。
太田 自社ブランドをお持ちなら、小規模事業者から中堅・大手までご利用いただけるサービスです。特に価格競争に巻き込まれブランド力や利益率の低下に悩む企業様、競合ブランドにデジタル上でシェアを取られてお困りの企業様、ECでの売上げが伸び悩んでいる企業様にはぜひおすすめしたいと思います。賞味期限・消費期限が短い商材、販売免許が必要な商材などはお取り扱いできませんが、家電や日用雑貨、化粧品、食品・飲料など幅広いカテゴリーに対応します。
――これまでどのような実績がありますか。
太田 ハンローの導入により、ECモールでのブランド流通額が3年で15倍に拡大したお客様や、適正価格での販売で主力商品の購入単価が40%向上したお客様がいらっしゃいます。また、近年はAmazonに商品を卸して販売を任せる「ベンダー」から、Amazonのシステムを使って商品を自ら販売する「セラー」への切り替えにハンローを検討するケースも増えてきました。
――読者であるEC事業者にメッセージをお願いします。
太田 既存の流通における卸・小売店はたくさんの商品を取り扱うがゆえに、特定のブランドの戦略を理解し、メーカー側の想いや製品の価値を正しく伝える役割を果たせていません。我々はハンローの導入がECモールでブランドの売上や利益を最大化し、その価値を正しく消費者に伝えるための一助になると信じています。また、当社では定期的に ハンローの事例やサービスを共有するセミナーも実施していますので、ご興味のある方は是非参加をご検討ください。