ロボットが疾走する最新ピッキングシステムを完備! 業務効率化・省人化を推進する物流革命の“最前線”
SGホールディングスグループの次世代型大規模物流センター「Xフロンティア」内にあるECプラットフォームセンターに、株式会社オカムラのロボットストレージシステム「AutoStore(オートストア)」が導入されて約1年が経過した。最新鋭のロボティクス技術を次々と導入し、業務効率化・省人化を進める物流革命の前線基地は、EC事業者にとってより便利に、より使いやすく進化を遂げた。佐川グローバルロジスティクス株式会社(以下、SGL)の森田崇史氏と株式会社オカムラの山下佳一氏に、多品種少量の在庫保管・ピッキングにこそ強みを発揮するオートストアの実力や、物流業務の委託先としてSGLのECプラットフォームセンターを利用するメリットなどについて話を聞いた。
通販物流に最適な次世代型大規模物流センター
――まずは両社の事業概要について教えてください。
SGL森田氏 当社は佐川急便を中核とするSGホールディングスグループでロジスティクス部門を担う事業会社です。日本全国に89カ所・計40万坪の拠点を構え、幅広い業界に向けた3PL事業を展開しています。
山下氏 オカムラはオフィス環境、商環境、物流システムの3事業を柱に成長してきた企業です。わたしが所属する物流システム事業は自動倉庫や、ロータリーラック、コンベヤシステムなどを取り扱い、工場や物流センターのオートメーション化を支援しています。
――このたびオートストアを導入したXフロンティアとはどのような施設なのですか。
SGL森田氏 Xフロンティアは2020年1月に竣工した次世代型大規模物流センターです。センターの1階から4階までは佐川急便の大型中継センターを備えており、1時間あたり約10万個の荷物を仕分けられ、関東圏の複数の中継センターを集約しています。これにより幹線輸送を効率化し、より高品質で安定的な物流サービスを提供できるようになりました。国際物流や大型・特殊輸送を扱う企業も入居しており、グループの総合力を結集したセンターという位置付けです。
当社は5階フロアで、自動棚搬送ロボットや自律走行型搬送機、自動で商品の3辺を計測して箱を作る自動梱包機など、最新のロボティクス技術を活用し、従量課金制で利用できるEC事業者向けの『ECプラットフォームセンター』を運営しています。
――オートストアの機能や特長についても教えていただけますか。
山下氏 オートストアはノルウェー生まれのロボット自動倉庫システムで、当社では2014年から日本での販売を開始しました。現在世界中で約800システムが稼働しており、国内には約50システムが導入されています。
最大の特長は収納効率の高さ。通常の平棚に比べ、同じ荷物量ならスペースは1/3で済みます。格子状に組まれたグリッド内に格納されたビン(専用コンテナ)をロボットがピックアップし、作業者の手元に自動搬送する仕組みで、多品種少量の商品を多く扱う倉庫や物流拠点に最適なシステムです。
高密度に収納されたコンテナをロボットが搬送
――オートストアを導入した時期とその背景について教えてください。
SGL森田氏 「Xフロンティア」が本格稼働して1年後の2021年3月に、1万8234のビンと30台のロボット、入出庫作業を行う4台のポートを導入しました。決め手となったのは収納効率の高さと、ピッキング業務を効率化できる点です。一般的に通販物流のセンターは、取扱商品が多岐に渡るため保管スペースが広くなり、作業者がピッキングのために倉庫内を歩き回る必要がありました。しかし、オートストアはグリッド内をロボットが縦横無尽に走り、ポートで待つ作業者の元へ荷物を届けてくれるので、作業者の負担を大幅に軽減することができました。
――ピッキングのスピードや正確性も改善されたのでしょうか。
SGL森田氏 そうですね。ヒューマンエラーがなくなることで、作業効率は大幅に向上しました。ニーズが高まる一方で労働力確保が難しい通販物流において、オートストアの導入は非常に有効だと思います。
――導入にあたり工夫した点などはありますか。
山下氏 SGL様は床段差が1m以上あるトラックバースエリアを含む場所に設置を希望されましたが、オートストアはスペースに合わせた自由度の高いレイアウトが可能なので問題なく設置できました。建物の柱を囲んでグリッドを組んだり、多角形のスペースに設置したりすることも可能です。アイテム数や保管量の増減に合わせてロボットの台数を調整するなど、ご要望に応じてフレキシブルに形を変えられる点もオートストアの特長のひとつです。
SGL森田氏 デッドスペースになっていたトラックバースを活用したり、グリッド内にトンネル状の通路を作ってもらったり、ロボットや設備のカラーリングをコーポレートカラーの青にしてもらったり。かなり無理なお願いをさせていただきましたが、その都度真摯にご対応いただき大変感謝しております。
24時間稼働で関東エリアに最短出荷
――Xフロンティアの稼働やオートストアの導入で競合に対して優位性が高まったと思いますが、荷主である通販事業者にはどのようなメリットがありますか。
SGL森田氏 Xフロンティアには佐川急便の大規模中継センターが備わっていますので、荷物の集荷から仕分け、関東各地への発送を館内でシームレスに行えるようになりました。もちろんオートストアは24時間稼働するので、受注した商品をすぐに発送できるメリットはあると思います。例えば深夜に注文を受けた商品であれば、オートストアですぐにピッキングし、翌朝までに荷物を作り、関東圏内であれば最短でその日の午前中に購入者の手元にお届けすることができるスピード感です。
――オートストアは日本の狭い倉庫やスペースが限られた物流センターで非常に有効な物流改善のソリューションだと思います。オカムラ様では今後どのような事業展開をお考えですか。
山下氏 まずはオートストアの認知拡大と新規顧客獲得を目指します。オートストアの導入は作業効率アップや省人化が図れるだけでなく、収納効率が改善されるので、倉庫スペースの削減にもつながります。投資対効果をしっかりとご説明しながら、お客様のロジスティクスを総合的にサポートしたいと思います。また、さまざまなマテハン機器のラインナップをさらに強化し、作業現場の省人化・効率化・高速化に貢献して参ります。
――SGL様はこのXフロンティアを活用することで、通販事業者にどのような価値を提供できるとお考えでしょうか。
SGL森田氏 当社に物流業務をアウトソーシングしていただければ、こうした最新鋭のロジスティクスセンターを活用した迅速で高品質な物流サービスの提供が可能です。
また、Xフロンティアでは物流拠点からダイレクトに商品を発送できるため、トラック輸送で排出されるCO2が削減できるなど、環境面への配慮もひとつの価値としてご提供できると思います。