変化するECサイト集客におけるます広告の活用方法とは

野中 真規子

変化するECサイト集客におけるマス広告の活用方法とは ノバセル株式会社
マーケティング部部長
中野 竜太郎
Ryutaro Nakano

近年のECのトレンドはD2Cビジネスだ。D2Cブランドを持つ新興企業が大型資金調達をし、テレビCMを全国展開するケースが増えている。インターネット広告費がテレビ広告費を上回っていることは周知の事実だが、「なぜ今D2CをはじめとしたEC企業がプロモーションにテレビCMを選ぶのか」、ECサイトにおける集客の今後についてを語る。

なぜ今ECサイトにおいてマスマーケティングが重要なのか

ECサイトにおける主要な集客プロモーションは、デジタルマーケティングである。近年はTikTok広告、LINE広告などこれまでのリスティング広告以外の新たな媒体や、インフルエンサーマーケティングなど新たなプロモーション手法が登場している。

デジタルマーケティングは少額から検証でき、ターゲティングが精緻にできることから集客の入り口として使われることが多い。
一方でこれまでテレビCMは、「費用が高い、効果が分からない、敷居が高い」と敬遠されることが多かったのが事実だ。タレントを活用して膨大な制作費をかけ、全国放映したにもかかわらず、きちんと計測することなく、なんとなく効果があったレベルでとどまっていた。

従来のテレビCMとは異なり、デジタルマーケティングと同じように効果を可視化しながらPDCAが回せるプロモーションが「運用型テレビCM」だ。

運用型テレビCMは、ECサイトの集客と極めて相性が良い。戦略から導いた訴求軸を基に、クリエイティブを複数作成し、放映。放映後リアルタイムにCPAベースで効果を可視化する。効果の良いクリエイティブに絞って番組単位で改善を繰り返すことで、高速PDCAを回すことが可能だ。デジタルマーケティングと同じように継続的に出稿していくことで、潜在層へのリーチを広げながら事業成長につなげることができる。

今なぜ運用型テレビCMなのか。それは、直近のCookie規制やプライバシー保護の流れから、これまで可能だったターゲティングがしづらくなったことが大きく挙げられる。緻密なターゲティングが今後できなくなる中、最も重要なことは「指名検索」を増やすことだ。「指名検索」の増加の一番の価値は、プロモーションを行わなくても売上を作ることのできる頑健性だ。

ただし、重要なのは、デジタルマーケティングかテレビCMかという議論をするのではなく、狙いたい顧客ファネルによって使い分けるべきということだ。デジタルマーケティングは購入に近い顕在ユーザーが多く、刈り取りに有効だが、それだけではいずれ頭打ちが来る。テレビCMは、刈り取りには不向きで、潜在層に向けて最もリーチ効率が良い媒体だ。まずは地方から運用型テレビCMでテストマーケティングし、成功した訴求を全国展開することが成功の道だと考える。

最後に、ECサイト集客にとって2022年は大きな変革の一年になるだろう。デジタルマーケティングだけ、テレビCMだけではなく効果を可視化しながら、デジタルマーケティングとマスマーケティングの融合をいかに早く行えるのかが鍵になる。

ECのミカタ通信vol.23 ~変化を遂げたEC市場!今後の”あるべき姿”とは~

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本記事は、2022年3月31日に発行された冊子「ECのミカタ通信vol.23」に収録されています。
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記者プロフィール

野中 真規子

ライター。著書(電子書籍)『片付けられない、という「思い込み」をなくして、今すぐ片付けるための本』(ハウスキーピング協会)が好評発売中。ECのミカタにおいては、ECサービスのお話から伝わる本質的なメッセージを受け取り、拡散することが歓びです。

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