EC-Connect+に“あと払い”ペイディが標準化 購入意欲向上で売上拡大
ECの決済方法が多様化している。クレジットカード決済やコンビニ決済、代金引換、電子マネーなどさまざまな決済方法が登場。特にBtoCでは商品が届いてからコンビニや銀行口座への振り込みで支払う後払い決済サービスが人気で、2020年度の後払い決済サービス市場は、後払い決済サービス提供事業者の取扱高ベース8,790億円で、2025年度には1兆9,000億円を超える(※1)ともいわれている。
そうしたなかで、デジタルで完結する次世代のあと払い(BNPL)サービスを提供する「ペイディ」が、オーダーメイド型ECソリューション「EC-Connect+」に標準化されることが発表された。連携によるメリットとは何か。「EC-Connect+」のシステム開発に携わるトーテックアメニティ株式会社の松尾祐実氏と、株式会社Paidyでパートナーアライアンスを担当する臨光政孝氏に話を聞いた。
※1:株式会社矢野経済研究所「EC決済サービス市場規模推移・予測」(2022年4月)
決済方法を増やしたい、ユーザーの要望に応えるために
──EC-Connect+にペイディが標準化されました。どのような経緯で実現しましたか。
株式会社Paidy 営業部 Partner Sales部長 臨光政孝氏(以下、臨光) ペイディは決済サービスですので、ベンダー様の採用によって購入者の利用が進みます。当社としては、ECのベンダー様とのアライアンスを重視していますが、ご縁があってトーテックアメニティ様の営業担当者の方にお話を聞く機会があり、ぜひ「EC-Connect+」で標準化してもらいたいと思い、約半年前にお声がけしました。
トーテックアメニティ株式会社 テクニカルサービス事業部 WEBバリュー第2システム部 松尾祐実氏(以下、松尾) お声がけいただいたのが偶然にも、弊社社員がペイディを利用してスマートフォンを購入したタイミングでした。当人はEC利用時、製品がなかなか届かないなどのトラブルに遭遇したことがあったことから、近年は商品が届いてから支払える後払いを日常的に利用していました。臨光さんからのご連絡を受け、スムーズに話を進められたと聞いています。もちろん利便性の実体験だけで判断したのではなく、その背景にはEC-Connect+の導入事業者様から、「決済方法を拡充したい」というご要望が増えていたこともありました。またペイディの標準化はユーザーメリットも大きいと考えました。
臨光 ECサイトには様々な機能があり、決済はその多彩な機能の中の1つですが、「入れるだけ」でコンバージョンが上がります。初期費用も月額費用も必要なく、決済の手数料のみで使用でき、しかもカスタマイズ費用として上乗せにならないのであれば、コスパが良い機能だと思っています。ただ現状ではまだ、「決済はクレジットカードと代引きだけで十分」と考えるEC事業者様も少なくないと感じていました。
柔軟なカスタマイズで外部連携が得意なEC-Connect+
──改めてEC-Connect+について教えてください。
松尾 EC-Connect+は、ヘッドレスコマースを採用したオーダーメイド型のECソリューションです。当社のヘッドレスコマースは、フロント側とバックエンド側が切り分けられているため、バックエンド側としてはペイディのような外部連携がしやすく、フロント側ではECサイトのデザインなどの自由度が高いという特長があります。一般的なECソリューションでは、ECのターゲットがBtoCなのかBtoBなのかによってパッケージ化されていることが多いと思いますが、EC-Connect+はその両方に対応できます。事業者様の利便性だけでなく、購入者側の使いやすさにも対応する、柔軟で積極的な提案はEC-Connect+が得意とするところです。
EC-Connect+導入事業者様であれば、「ペイディを導入したい」とご要望いただくだけで、簡単に実装できます。ECユーザーは実際の購入シーンで支払い時にペイディを選択していただくだけなので、変化や使いにくさを感じることはないでしょう。当社としてはペイディが非常に導入しやすい仕様で、インターフェイスをさほど調整することなく搭載できたことも、標準化がスムーズに進んだ要因と感じています。
ペイディでカゴ落ちを防いで、コンバージョンを上げる
──ペイディの標準化は、EC-Connect+導入事業者様の売り上げアップにつながるでしょうか。
松尾 コロナ禍で店舗運用ができなくなったことで、ECを立ち上げる企業様が増えました。ただECの経験がなく、売り上げも見通しが立っていない状態でスタートし、初期費用を抑えられるネットショップ作成サービスを使ったり、モールへ出店したりするケースが多かったのです。こうした企業様は今後、ECでの売り上げをどう上げていくのかにフォーカスしていくと想定できます。その売り上げを上げる施策の一つとしてペイディは有効と考えています。
臨光 実店舗での買い物と比べて、ECでは高額な商品やサービスは購入されにくいですよね。カートに商品を入れても、ちょっと高いなと諦めたり、今月は出費が続いたのでやめようと考え直したりと、カートから離脱してしまう。でもそれが、「3回に分割してあと払いにしても、3回払いの分割手数料は発生しない(※2)」「翌月に支払いを回せる」ペイディが使えることで、買い物体験を楽しんでいただき、事業者様には購入機会の損失を防ぐことに繋がりやすくなると思います。
※2:銀行振込、口座振替のみ分割手数料無料。
──確かにECにおいて高額な商品やサービスは、まだまだハードルが高いです。
臨光 はい。ペイディの3回あと払いウィジェット機能をご利用頂くと、ECサイトのカート画面に、「ペイディなら月々○○○円」といった3回分割金額を自動表示させることができます。従来「価格が高いな」と離脱してしまっていたユーザーを、分割金額を表示させることによって獲得することができるので、新規ユーザー獲得率(CVR)が上がります。なおかつ購入単価も上がり、EC事業者の売上拡大に直結させることができるのが弊社の特長です。
松尾 ウィジェットはEC-Connect+のユーザー様も導入できますよね。
臨光 もちろんです。ペイディとの契約は必要ですが、ペイディの機能の一つなので追加料金が生じることもありません。
購買層が広がるあと払い決済サービスの新しい使い方
──カートから離脱してしまう「カゴ落ち」を防ぐ以外にも効果はありますか。
臨光 購入単価が上がりますね。従来ECサイトで購入単価を上げる施策は、例えばまとめ買いにつなげられるレコメンド機能や、お正月によくある福袋など、それほど多くなかった印象があります。一方、ペイディは導入いただくことで、分割払いが可能となるため、購入単価を上げられるんです。
またこれまでの利用者層はクレジットカードを持っていない若年層が中心でしたが、昨今はクレジットカード保有者の利用が増えてきています。例えば主婦の方は、普段使っているクレジットカードに紐付いている口座が家族口座であることが多く、自分の買い物は家族口座から引き落としたくないといった理由で、クレジットカードを使わず自分使いのお財布としてペイディを利用いただいているようです。ですので分割で支払える点も好評です。
──年齢層も金額も幅広いニーズがあるのですね。
臨光 またペイディは、すべてがデジタルで完結するのも特徴で、支払いは携帯電話番号とメールアドレスと、PINコードの入力だけで即決済完了となります。ご請求金額のお知らせはメールとSMSで行い、払い込み票が送られてくることもありません。支払いはコンビニや銀行でのお支払いもできますが、登録いただいた銀行の口座振替で済ませることができるため決済から支払いまで全てがデジタル完結型のサービスです。その利便性が幅広い層に利用されている理由だと思います。
──では、EC-Connect+とペイディの連携でさらに強化していきたいことはありますか。
臨光 EC-Connect+の新規ユーザー様に対して、僕らペイディのスタッフが同行して、ペイディの活用法をお伝えする、あるいはその逆も可能だと思っています。ペイディのことを熟知しているのは、やはりペイディのスタッフなので、僕らが説明するのが一番ご理解いただきやすいはずです。EC-Connect+のユーザー様にペイディを活用いただけるよう協働していきたいです。
松尾 EC-Connect+にペイディを標準化することで決済手段を多様化し、より幅広いターゲット層を持つEC事業様にご利用いただけることも強みとしていきたいです。購入者様にとってシームレスな決済が可能になったことで、カゴ落ちを防ぎ新規顧客の獲得を増やし、EC事業様の更なる売上向上に貢献できるよう目指してまいります。