EC運営2年で月商800万円 蝶結びの武器となったCRM×チャット接客

ECのミカタ編集部 [PR]

新規顧客の獲得が難しくなっている今、顧客育成に注力する事業者も多い。今回は顧客のファン化に課題を抱える事業者のために、フルーツギフト専門店「蝶結び」のCRM事例を紹介する。

ShopifyでECをスタートしてから約2年で月商800万円を達成した「蝶結び」のECサイトでは、接客チャットツール「チャネルトーク」を活用し、質の高い接客とコミュニケーションを通じた顧客理解でファンを生み出している。 店主の杉下峻吾氏は、このEC運営とCRM施策をなんと1人で実行している。ロイヤルカスタマー獲得の秘訣を聞いた。

コロナ禍での廃業から始まったフルーツギフトEC

レトロスペクトの創業は2020年。代表である杉下氏は、前職で百貨店のフルーツギフトを販売する仕事に従事していた。新型コロナウイルスの影響もあってその会社は廃業となったが、杉下氏は全国の仕入先を引き継ぎ、自ら会社を立ち上げ、フルーツのギフト販売を開始。コロナ禍ゆえに「オンラインしか販路がない」状況からのスタートだった。

自身のフルーツ販売経験に加えて、モノを贈り合う文化が好きだったこと、そしてその文化をお手伝いしたいという想いを原動力に、フルーツギフトEC「蝶結び」を2020年の9月にオープン。以来、着実に顧客のニーズをつかみ、現在では月商800万円を超える月もあるほどに成長した。モールには出店しておらず、自社ECのみで売上をあげている。

知見ゼロから数カ月で月商100万円に

杉下氏はオープン当時、ECの知見を持っていなかった。商圏は全国に広がるが、その分ライバルも増える。新興ブランドが自社ECを立ち上げたところで、すぐに顧客に買ってもらえるわけでもない。そんな状況下で勉強を重ね、「どう他店と差別化するか」「自分たちがどのようなショップにしたいか」を徹底的に考えた。

「蝶結び」は当初3~4カ月こそ苦戦したものの、その後は順調に成長。オープン翌年の1月には月商100万円を超えるに至った。

その要因として、杉下氏は2つの点を挙げている。

【Point1:商品販売スタイルの変更】

「サイトオープン直後は他のECサイトと同様に、フルーツの産地や味といった情報をカタログのように掲載していました。でも、それは『自分たちしかできないこと』ではないと気付き方針を変更。お客様の利用シーンや予算をヒアリングし、ギフトセットの内容をカスタマイズして提案するといった、実店舗のような顧客目線の販売スタイルへの転換を進めました」

レトロスペクトでは、フルーツを個人の農家や卸売市場から仕入れている。自らが生産者ではないこと、産地直送ではないことに最初はコンプレックスを感じていたという。しかし、産直ではなくフルーツが集まる店だからこそ、産地の枠を越えたギフトセットも提供できる。弱みを逆手に取り、自らの強みに変えたのである。

【Point2:顧客とのコミュニケーション】

「フルーツ専門店を訪れる人の多くは、特定のフルーツの産地やブランドを目当てに来るのではなく、お見舞いや時候の挨拶など、利用シーンが先にあることがほとんどです。どのような目的でフルーツを購入しようとしているのか、贈る相手は誰なのか、好みや予算を伺いながら商品を提案する方法は、私自身が百貨店時代に実践していたことであり、つまりは“原点”に立ち返ることでもありました」

そこで杉下氏はメールやSNS、電話などを駆使して顧客のニーズを把握するための会話を重ねていった。すると少しずつ売上が拡大。さらにコミュニケーションの質を高めるべく、サイトオープンから5カ月が経った2021年2月、「チャネルトーク」を導入した。

現在、集客にはデジタル広告を利用しているが、広告はリードを獲得するためのもの、チャットは顧客育成に利用するものと、役割を整理して柔軟に使い分けている。

(※「蝶結び」ECサイト)

チャットに気づきやすくするため、サイト訪問した顧客に声がけも行なっている。さながら実店舗に顧客が訪れた時に「いらっしゃいませ!」とスタッフが声がけすることに近い体験を創出することで、顧客がチャットで相談しやすい環境を整えている。

顧客育成のポイント①:“速さ”を意識したコミュニケーション

「チャネルトーク」は顧客と直接やり取りするチャットツールをはじめ、LINE公式アカウントやInstagramビジネスアカウント連携、CRMと連動したメッセージ配信など、チャットを起点に多彩な顧客コミュニケーションを実現できるツールだ。シナリオ型チャットボットも顧客ごと・URLごとに内容を変えることができる。商品を複数回購入してくれている顧客には商品についての相談・特別なキャンペーン、新規の顧客にはよくある質問を充実させるなど、コミュニケーションを一律で完結させないため顧客の体験が非常に高いものになる。

「チャネルトーク」を使いこなすうえで、「蝶結び」が意識しているのは“速さ”。システムでは応えられない要望にスピード感をもって対応することで、顧客の離脱を防いでいる。杉下氏が特に意識をしていることが、お客さまからチャットが発生した後の初動の対応時間。何か質問が来た際、その質問にすぐ答えられない場合や、業務中で手が離せないケースも多い。その際に、「確認をしますので5分ほどお待ちください。」と一言、少々お待たせする旨の文章をすぐに返す。これだけでお客様はサイトに戻ってくれるし、期待値も即返信ではなくなる。

温度感の高い悩みへ素早く返信することで、チャットで接客した顧客のうち70~80%がコンバージョンに至っており、顧客対応の件数や購買単価などを考えると、月間で150万円以上の売上に貢献していることになる。

きめ細かな顧客対応は誰もが理想としている一方で、そこにリソースを割けないと考えている事業者も多いはず。だが杉下氏によると、「チャット対応が忙しい」と感じたことはないという。チャットでのコミュニケーションは杉下氏が1人で行っているが、1日のうち、チャットにかけている時間は30分から1時間程度。「チャネルトーク」がPC・スマホどちらでも利用できるので、時間を有効活用できている。

顧客育成のポイント②:十人十色のニーズに柔軟に対応

「お客様とやり取りするのはやっぱり楽しいですし、お客様も喜んでくれているのが伝わってきます」

杉下氏は「チャネルトーク」を導入して、すぐにこう感じたという。ギフトに対する顧客のニーズは十人十色。無限ともいえる組み合わせの中から最適な商品を提案するのは、難しくもあり、腕の見せどころでもある。型にはめられないビジネスだからこそ、接客は重要である。

購入者と贈り先が異なるケースの多い、つまり購入者が商品を実際に手に取ることの少ないギフトECにおいて、レビューはあまり投稿されないのが一般的。そんな中「蝶結び」は500件以上の評価レビューを獲得しており、それは優れた購入体験による部分が大きい。

お客様からいただいた口コミ

F3転換率50%超えを産んだ、「チャネルトーク」の効果

チャットでのやり取りを望む顧客は、商品購入の直前または直後の状態にあることが多い。実店舗でいえば、レジ前で最後に購入するか悩んで質問をしてくるお客様の状態だ。「蝶結び」はそのコアなフェーズに力を入れることで顧客一人ひとりを大事にして、リピーターを生み出しているのだ。

「チャネルトーク」はCRMを内包しているので、過去のチャット履歴や購買データをすぐに呼び出すことができる。購入金額や購入頻度が高い、ブランドのお得意さんのみにアプローチをすることや、新規顧客限定の取り組みなどを行うことが可能だ。これらの機能もリピーターへの接客の質を高めている。


1年間でギフトを送る回数は限られてくる。購入回数が2回目→3回目に転換した顧客は実に50%にも上り、購買客を手堅くお得意さんへと転換できている。単価1万円ほどのギフト商材であれば大体20%〜30%が相場とされており、蝶結びにコアファンが定着していることがうかがい知れる。

チャネルトークで顧客情報を管理できる。セグメント配信も可能(画像はイメージです)

顧客の姿を想像して改善を重ねる

顧客の姿を想像して改善を重ねる

レトロスペクトでは、今後の店舗運営のアップデートにも余念がない。顧客にお気に入りの品種を見つけてもらえる仕組みづくりや、個人の生産者とのつながりを強化するアクションに注力していくとのこと。全国のフルーツを仕入れ、それをオンラインで販売する立場ならではの価値を生み出すことを目指している。

「実店舗に置き換えると、レジに並んでいたり、商品を手に取っていたりするお客様をほったらかしにして、店の奥で作業しているということは考えられないですよね。『この商品おすすめですよ』とか『何かお困りですか?』というお声がけは、オンラインでもできます。いかにお客様の行動を想像してコミュニケーションを取るかで、お客様との関係性は変わってきます。想像力を働かせて、『チャネルトーク』のCRM情報を元にしたチャット接客を行っていくことが大事だと思います」と杉下氏。

オンラインでもオフラインでも小売の基本は同じ。顧客との一方通行ではないコミュニケーションを通じて、実店舗のような接客を提供する「蝶結び」の取り組みは、ロイヤルカスタマー獲得を目指す事業者にとって大きなヒントになるだろう。

「蝶結び」が活用するチャットツール
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