百貨店品質の梱包で物流を「成長の力」に 小規模ECのための“まる投げ”ロジ戦略
販売数が増えるのはうれしいけれど、在庫管理や出荷業務を自社内で回すのは、もはや限界……。そうした悩みを抱えるECスタートアップ・小規模事業者に向けて、株式会社マルニ・ロジコムが新たな物流サービス「まるロジ」を立ち上げた。同サービスは月額5万円からの定額制(※1)で、コストを抑えながら“百貨店品質”のラッピング技術を誇る物流チームを味方にできることが魅力だ。
創業64年目を迎えた同社は、なぜ今「まるロジ」をスタートさせたのか。そして、物流をプロに任せることで創出される「ECの事業成長に向けた好循環」とは。代表取締役 杉山慎一氏に話を聞いた。
小規模事業者に特化したワンストップの物流サービス
──御社全体の事業内容について教えてください。
当社は1962年に創業した、物流加工・倉庫管理を専門とする企業です。これまで大手企業の宣伝用印刷物の管理や発送代行業務を主軸に、緻密な現場オペレーション力を磨いてきました。2000年代前半からは時代の変化に合わせてEC物流にも着手し、現在はEC事業者様向けの3PL事業を幅広く展開しています。
私たちの最大の武器は、“百貨店品質”と言えるラッピング技術の高さです。2013年に、ギフト包装の技術を活かした新事業「つつみ屋工房」を立ち上げ、2018年からは日本橋髙島屋S.C.で実店舗を構えています。高度な包装技術を物流現場のオペレーションに直接組み込める点は、他社にはない独自の価値だと自負しています。

つつみ屋工房 日本橋髙島屋S.C.店。「つつみ屋工房」はこちらの取材記事でも詳しく紹介している
──物流サービス「まるロジ」を立ち上げた背景を教えてください。
物流大手が得意とする「スピードと安さ優先」のモデルでは、出荷量の少ないECスタートアップや小規模な事業者様が、きめ細かな対応を受けられず外注を断念せざるを得ない……という声を多く聞いてきました。本来、そうした成長期にある企業が注力すべきは商品開発や仕入れ、販売などですが、実際には多くの事業者様が物流業務に追われ、疲弊しているのが現状です。
昨今の人手不足や人件費高騰を考えれば、自社で人を雇って物流を内製化するハードルは以前よりも格段に上がっています。そこで「物流担当者を一人採用するコストで、プロに丸ごと外注しませんか」というマインドチェンジを提案したいと考えました。キャッシュアウトが変わらないのであれば、“餅は餅屋”へ。事業を伸ばすためのコア業務に専念できる環境を提供したいという想いから、2025年11月に「まるロジ」を始動させました。
──具体的に「まるロジ」とは、どのようなサービスなのでしょうか。
「まるロジ」は、小規模事業者様に特化したフルフィルメントサービスです。埼玉県にある自社倉庫を拠点に、商品の保管から梱包、出荷まで、専任スタッフがワンストップで対応します。
特徴としては、2〜3坪という小スペースから利用でき、かつ料金体系はシンプルな「定額制」である点です。保証金や登録料は不要で、例えば月100件程度の出荷なら、月額5万円(※1)からご利用いただけます。コストが固定化されるため収支予測が立てやすく、初めて外注を検討される企業様でも安心です。もちろん、当社の強みであるラッピングやメッセージカードの封入といったギフト対応もお任せください。
※1:送料は別途、実費での請求となる。また、在庫・出荷管理にはクラウド型WMS「ロジレス」の利用が必要(別途契約)
株式会社マルニ・ロジコム 代表取締役 杉山慎一氏。オフィスには美しいギフトラッピングが施された色とりどりのボックスが並ぶ
「隠れコスト」とストレスから解放
──「まるロジ」を導入することで、EC事業者はどのようなメリットを得られますか。
最も大きなメリットは、物流業務に携わるスタッフの採用・教育といった「隠れコスト」とストレスから解放されることです。自社運営では、繁忙期のたびに人手の心配をする必要がありますが、アウトソースすればそうした不安はなくなります。
定額制で予算管理もしやすいため、特に事業拡大フェーズにある企業様にとっては、成長を止めないための「攻めの保険」になるはずです。物流業務を早い段階でプロに任せれば、空いた時間をマーケティングや商品開発に充てられる。この好循環の創出も、「まるロジ」導入の大きなメリットです。
──業務を行う上で、大切にしていることはありますか。
物流のシステム化・機械化が進む今だからこそ、「人の手によるぬくもり」を大切にしています。そのため、どれだけ遠方の荷主様であっても、一度は倉庫を見学していただくようお願いしています。お互いの顔が見えることで、スタッフ側に「この方々の商品を丁寧に扱おう」という強い想いが生まれますし、荷主様にも「この人たちなら安心だ」という確信を持っていただきたいからです。
効率一辺倒のオートメーションでは難しい、人の目と手を介した丁寧な仕事こそが当社の真骨頂です。常に荷主様に寄り添い、商品に込められた想いまでしっかりとお届けする「おもてなしの物流」を追求しています。
包装紙の折り目を素早く、かつ丁寧に整え、一つひとつ華やかなリボンをかける手仕事のギフトラッピングはマルニ・ロジコムの大きな強み(ギフト包装は「まるロジ」でも別途料金でのオプションとして提供している)
──現場スタッフの“柔軟な提案力”も強みのひとつだと伺いました。
そうですね。指示通りの作業をこなすだけでなく、スタッフが自ら「こうすればもっと美しく包める」「この手順にしたほうがコストを抑えられる」と声を上げ、現場を改善していく文化が根付いています。
実務に精通したスタッフが改善点を一番知っていますから、基本的には現場の裁量に任せ、スピーディーに実行に移せる体制を整えています。指示を待つのではなく、より良い方法を即座に形にする。このフットワークの軽さと提案力が、結果としてクライアント様への高い貢献につながっていると考えています。
外注の垣根を超えた「ひとつのチーム」として
──「まるロジ」の導入にあたり、利用者が事前に準備することはありますか。
基本的には、クラウド型WMS(倉庫管理システム)の「ロジレス」をご導入いただくだけです。導入時にも当社の専任スタッフが伴走サポートしますので、準備が整えば最短2週間ほどで「まるロジ」の運用を開始できます。
もしシステムの準備が間に合わない場合も柔軟な対応が可能ですので、「まずは物流を安定させたい」という段階でも、安心してお気軽にご相談いただければと思います。
──今後どのようにサービスを発展・拡張していく予定ですか。
2026年の夏には、倉庫の一部に冷凍設備を導入する予定です。近年、ギフト領域でも冷凍商品のニーズが高まるなか、取扱量が少ない企業様は預け先を見つけるのが非常に困難ですので、その受け皿となるよう先行投資を行います。
さらに3~5年以内には、現在の拠点を温度管理が必要な商材の専門倉庫へと全面的に転換する計画です。その際も、常温商品は別の拠点で引き続き対応してまいります。常温・冷凍それぞれの環境を最適化することで、あらゆる商材において高品質な物流を提供できる体制を築いていきます。
──最後に、EC物流全体のトレンドを踏まえて、将来の展望について教えてください。
「まるロジ」は、人手不足の深刻化という課題に直面している事業者様が、次のステージへ進むためのステップアップ支援だと考えています。煩雑な物流をプロに任せ、事業を一段階引き上げるきっかけにしていただくことが私たちの喜びです。
私たちは、単なる「外部の委託先」という枠を超えて、荷主様と強固な信頼関係を築きたいと考えています。外注という垣根を感じさせない、同じ方向に向かう一つの「チーム」として、皆さまの歩みを着実に支えていければ幸いです。


