【ネット通販事業において「信頼」をカタチにしていくために】
Fides, ut anima, unde abiit, eo numquam rediit.
「信頼は、魂と同様に、立ち去った場所に二度と戻らない。」
(出典:プーブリリウス・シュルス『格言集』162より)
この格言から、私たちは社名をフィデス(FIDES)と名づけました。フィデス(Fides)とは、ラテン語で「信義・信頼・信仰」、「信義の女神」を意味する言葉です。
「信頼」、それは誰もが大切にしたいと願う、あらゆる人間関係の基本であり、また
取引の基本となる概念です。
しかしながら、「信頼」は目に見えず、手に取ることはできません。そして周知の通り、他人から信頼を得ることは容易ではなく、ひとたび失えばそれを取り戻すことは、その何倍も難しいものです。
私たちは、この目に見えない「信頼」を、コミュニケーションデザインの立場から、ネット通販事業において如何にカタチにしていくかを、追求したいと考えました。
ネット通販は、その利便性と背中合わせに、相手の顔が見えない不安を利用者に抱かせる販売形態です。だからこそ、ネット通販事業においては、お客様との信頼関係を如何に構築するか、それが取引の基本として、他の取引形態以上に配慮されるべき重要な要素となります。
フィデスは「信義の女神」として、ネット通販に関わる事業者様と共に、ショップとお客様との信頼関係を、結び、育み、深めるためのコミュニケーションを追求しています。
【消費生活アドバイザーだからこそできる「ネット通販の信頼性向上のお手伝い」】
私は、大手日用品・化粧品メーカーにてマーケティングリサーチ、住設機器のメーカーでのマーケティング業務に従事しました。1998年に、インターネット時代の到来とともにWebマーケティング会社の創業メンバーとして起業しました。その後、独立して個人事業として活動していました。
新卒の頃より、消費者の声を企業活動に活かせるような仕事をしたいと考え、マーケティングを専門としながら、かねてより取得したいと考えていた『消費生活アドバイザー』の資格を36歳の時に取得しました。
『消費生活アドバイザー』とは、消費者と企業等の“架け橋”として消費者相談業務や、消費者の意向を企業経営に反映あるいは行政への提言ができる人材に付与された、内閣総理大臣及び経済産業大臣事業認定称号です。
ビジネスに消費者目線を取り込むことは、企業の信頼性向上につながり、マーケティング活動においても重要なことです。しかしながら、マーケティングはどうしても「売るための施策」という側面からとらえられがちだと感じていました。もっと、消費生活アドバイザーとしての役割を生かした仕事をしていきたいと悩んでいた中、フィデス設立のきっかけとなる仕事に出会いました。
消費生活アドバイザー資格審査・証明機関である財団法人日本産業協会が、経済産業省から受託していた「電子商取引特商法違反モニタリング調査」の仕事に携わる機会を得たのです。
消費生活アドバイザーは、行政の法執行専門職員(景品表示法や特定商取引法、健康増進法、食品表示法などの違反被疑事案の調査補助を行なう)や、 照会専門職(事業者からの相談対応)の要件となる資格でもあります。
2006年当時、ネット通販業界は発展途上段階で、まだまだコンプライアンスが浸透しているとは言えない状況でした。消費者トラブルも多く、ネット通販利用に不安を感じている消費者も多かった時代でした。
そこで、日本産業協会でのネットショップサイトの特商法違反をチェックする仕事を通じて、特商法だけでなく、景品表示法や薬機法などネット通販広告に関わる広告法規を横断的にチェックし、消費者目線での改善アドバイスをすることによって、ネット通販の信頼性向上のお手伝いができると考え、2009年にフィデスを設立しました。
同年、折しも消費者庁が創設され、景品表示法の所管が消費者庁に移って以降、規制目的が消費者保護規制にシフトし、一般消費者が広告から受ける印象・認識が適法判断基準となる消費者目線での広告表示が求められるようになりました。
【年々強まる広告法規制。インスタでの表示に景表法課徴金1億円超の措置も】
その後、ネット通販市場は着実に拡大しています。総務省の家計消費状況調査によれば、2020年のコロナ禍以降から、現在にかけて、ネットショッピング利用世帯の割合は5割を超える状況となり、すっかり消費者の購入手段として定着しました。
しかし、広告のデジタル化が進む中、様態を変えながら消費者被害は拡大しており、ネット通販サイトのみならず、SNSをはじめとするデジタル広告に対する行政の監視の目が強まっています。
広告法規制強化が続く中、特に美容・健康商材広告では、令和4年度の景表法措置命令件数の3分の1を占め、2023年3月にはサプリメントのインスタグラム投稿を違反対象とした措置命令2社に対して、1億3660万円の課徴金が科せられています。
広告管理の不徹底は、行政処分による企業名公表、課徴金だけでなくSNSの炎上によるレピュテーションリスクなど、事業への多大な損失につながります。企業の広告コンプライアンス対応は喫緊の課題といえるでしょう。
【「新しい日常」でのオンライン講座開発へのチャレンジ】
薬機法や景表法、健康増進法といった広告法令順守においては、広告制作の現場だけでなく、マーケティング、商品開発、品質保証、消費者及び顧客対応、コンプライアンス部門など全社的な取り組みが求められます。違反リスクを低減し、消費者に信頼される事業者と認められるためには、広告コンプライアンスに関する人材育成が非常に重要であると、フィデス設立当初より感じており、時間や場所の制約なく学習できるオンライン講座サービスの展開に関心を寄せていました。
昨今、広告法規制対策としては、AIによる広告チェックサービスも登場し、その正確性を見極め判断する「人」のスキルが一層重要となっています。
そこで、コロナ禍を経て、リモートワークやオンラインセミナーが社会に浸透する中、今こそチャレンジしようと、公益財団法人 東京都中小企業振興公社による『「新しい日常」対応型サービス創出支援事業』に応募し、『フィデスの美・健広告法務オンライン講座』事業を採択いただきました。
【会場セミナー受講者の声を参考に、オンライン講座向けにブラッシュアップ】
本講座の開発において、時間・場所の制約なく何度でも学習できるオンライン学習とオンライン相談で美容・健康業界人材のコンプライアンス対応力を養い、日常的な業務で活用していただくことをめざしました。
講座のコンテンツ開発にあたっては、これまでリアルな会場セミナーや研修でいただいた沢山の受講者の皆さんの声が自信となりました。
《セミナー受講者の声》
「各法を並列で説明いただけて、とても理解がしやすく勉強になりました。」
「演習の時間が楽しみでした。内容がたっぷりだったので、演習時間が短かったのが残念でした。」
「今回のセミナー受講の際、難しくてついていけないかもしれない、と不安に思いながら参加しました。受けてみると、難しいテーマであるのに、納得がいき、すっと入ってくる部分も多く、奥深さと面白さも感じました。」
「知っている、理解していることが強みになると思いました。非常に勉強になり、自分自身の仕事への刺激にもなるセミナーでした。」
「具体的な NG 事例が沢山見られた。事例のどの部分がどの規制に引っかかるのかよく分かり勉強になった。」
「打消し表示、No1 表示など、健康食品以外でも参考になる内容だった。」
「ネットにおける様々な広告手法と法律上の問題点、ネットサイト上で広告をした際の規制対象か否かの考え方が参考になった。」などのお声をいただきました。
また、コンプライアンスに取り組まれている企業のご担当者様からは、「社内スタッフが単に法律の勉強をするだけでなく、受講後に実務において『自ら』情報を整理して「判断」「活用」できる基礎対応力を身につけさせたい」というご意見もいただきました。
このような現場のご意見や、これまでのセミナーでの実績を踏まえて、オンライン講座向けにブラッシュアップしました。
【オンライン講座の特徴】
1. 豊富な「事例解説」、実際の広告事例による「演習」や「理解度チェックテスト」で、違反リスク判断力が身につく
2. 広告法規をワンストップで、体系的、網羅的に学べる講座ラインナップ
3.1コマ10~30分区切りのeラーニング形式なので、隙間時間を活用して飽きずに学べる
4. 知りたいところをピンポイントで見返すことができ、効率よく復習や、実務でのチェックに活用できる
5. 講座内容での疑問点は、随時メール質問でき、無料オンライン相談*で個別具体的なお悩みへのアドバイスも可能
*ご利用条件があります。詳細は講座概要をご覧ください。
表層的な法規制内容や広告手法・テクニック(”言い換え”や”ここまでなら言える”といったアイデア)の知識・ノウハウにとどまることなく、ルールの背景や事例による解説で、ベースとなる法規制の考え方(どのような理由で、何を規制しているのか)や、過去の処分事案について、どこが問題となったのか、何に気をつけるべきかといった視点で解説しています。
行政と消費者目線を理解することによって、自社の広告管理や制作、顧客対応でのコンプライアンス対応力を身に着け、コンプライアンスを身近なものと意識して、業務において活かせることをめざしています。
また、コース受講や1社複数名受講の場合は割引価格とし、社内で導入していただきやすい価格設定としました。
【企業のコンプライアンスに関するお悩みの身近な相談相手として、信頼されるパートナーになりたい】
今後の講座展開として、広告のエビデンスや管理実務のための「不実証広告規制対策」や、景表法26条「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」に基づく「広告管理体制構築」に関する講座など、更なるコンテンツ開発を計画しています。
また、最新の法規制動向や、耳目を集めた事案の解説等、情報アップデートも行っていきます。
本講座を社内のスタッフの方々に継続してご利用いただき、日常的な業務でのコンプライアンスの意識づけにつなげていただけるようコンテンツやサービスの充実に努めてまいります。
そして、フィデスが、企業のコンプライアンスに関するお悩みの身近な相談相手として、信頼されるパートナーとなれることを願っています。
続きを読む