越境ECの今と未来

DHLジャパン(株)

新型コロナウイルスは世界中の買い物習慣に影響を与えました。ここでは、今何が起きているのか、eコマースの近未来にどのような影響を与えるのかを考えてみました。

世界情勢

世界情勢

新型コロナウイルスの世界的流行が始まって以来、100カ国以上が封鎖状態に置かれました。日常生活が制約されたことで、ある業界は落ち込み、他の業界は繁栄し、多くのビジネスに変化が発生しています。
Emarsys(エマルシス)社のCCInsight(シーシーインサイト)は、新型コロナウイルス蔓延中と昨年のオンラインでの購買行動を比較マッピングし、国ごとにかなりの差があることを報告しています。2020年4月8日から15日までの7日間で、カナダではオンラインショッピングが167%増加したのに対し、ロシアでは28%減少しています。また、ConvertCart(コンバート・カート)社は米国のeコマース市場全体を調査し、業界全体のリアルタイムの数字を提示。さらにStackline(スタックライン)社では売上に大きな変化が見られた分野を記録し公開しています。では、最も大きな動きを示した分野を見ていきましょう。

特定の小売り業の縮小

特定の小売り業の縮小

多くの方が在宅勤務となることで、特定の製品の売上に影響がでてきています。旅行する人が減少することで大打撃を受けたのが、旅行用かばんや手提げかばんで、新型コロナウイルスが最初に報告されて以来、どちらも77%も減少しています。

この他にも影響を受けているのは、水着、ランニングシューズ、パーティー用品、ブライダルウェア、フォーマルウェアなどで、大勢の人が集まることが好ましくないという残念な状況を反映しています。しかし、規制が緩和されれば、人々はお祝いの場へ出かけたり、運動をするようになるでしょうし、これらのカテゴリーはいずれ回復の兆しを見せてくれるはずです。

継続的に成長する小売市場

継続的に成長する小売市場

家に閉じこもっている中でできることには限りがあります。例えばYouTubeで大好きな猫の動画を見るにしても、その数が限られいずれ飽きます。そのような状況の中で家庭内でも使えるウェイトトレーニング器具のオンライン注文が300%以上急増しています。また、自宅でのDIY用に工作キットを購入されたケースも大きく伸びており、117%もの増加となりました。

アクティビティ以外を見てみると、食料品に対する需要も高まりました。スープ、パスタ、米、野菜、カットフルーツ、シリアル、小麦粉などが多く購入されており、Eコマースで最も成長している20のカテゴリーに入っています。またホームベーカリーが大変多く売れたようです。その売り上げの増加幅は652%と驚異的で、単純に食べることだけではなく、作るという過程が付加される”コト”を求める方が多く存在したということの裏付けと考えられます。

この他、卓球セット (+89%)、ペット用トレーニングパッドとトレイ (125%)、ヘアカラーキット (+115%)等も大きく購入数が伸びた品目ということでした。

困難な時代での方向転換

困難な時代での方向転換

困難な世の中でも人々の生活に本当に役立つ製品が売れてるようです。ウィイルス感染源となりうるドアノブやつり革等に触れないようにするドアオープナー兼キーチェーンなどは、すぐに役立つアイテムでしたね。

AlibabaからUberに至るまで、時代の変化に合わせて物事の進め方を変えることが求められています。次の一手を考えているなら、これらの例がヒントになるかも知れません。

ダイレクト・トゥ・コンシューマー(D2C)

「私たちは今、状況が急速に変化する時期に置かれており、ブランドは顧客に安心感、つながり、安定したサービスを提供しなければなりません。より消費者に直結したビジネス戦略を採用することで、ブランドは顧客志向になり、顧客のニーズを満たすために大きく前進することができます。長期的に取り組むことができる企業こそが、コンテンツ戦略とプラットフォームを最速で展開できるのです。」-Pablo Stefanini氏、 Forbes。

Econsultancy 社によると、英国の食品業者はバランスシートを維持するためにD2Cモデルへと転換しつつあるといいます。その鍵となるのが、ソーシャルメディアでの販売能力です。自らが動いて潜在的な顧客がいる場所で存在感を示すことが重要であり、事業の黒字維持のためには試す価値があるかもしれません。

人々の行動は様々

これから前進していくにあたり、人々は性別や世代を超え、さまざまな反応を示しています。BigCommerce(ビッグコマース)社によると、Z世代とミレニアル世代は、支出を減らし、商品を買い貯めをし、”コト”にはあまりお金を費やしません。一方、X世代とベビーブーム世代は、試練の多い時代を生き抜いてきたせいか、それほど気にしていないようです。ミレニアル世代の約半数と比較して、コロナ禍の現在の状況が購買習慣に影響しているのは、ベビーブーム世代では24%、X世代では34%に留まっています。

男女差については、興味深い結果が出ています。男性は女性よりもBOPIS(オンラインで購入し、店頭で受け取る)サービス、カーブサイド・ピックアップ、またはサブスクリプションサービスを多く利用しています。また、女性よりも旅行や娯楽への支出が少なく、以前よりも食料品にお金をかける男性が増えていると報告されています。

新型コロナウイルス発生前の正常な状態に戻ることはないかもしれませんが、私たちの新たな日常は興味深いシナリオになることでしょう。皆さまのブランドが今とる行動が、将来に大きな影響を与えるかもしれません。


著者

DHLジャパン(株)

 DHLは、世界のロジスティクス産業をリードするグローバルブランドです。グループ各部門が提供するサービスは、国内および国際小包配達から、eコマースの商品配送、フルフィルメントサービス、国際エクスプレス、陸上・航空・海上輸送、産業別サプライチェーンマネジメントにまでおよびます。
 世界220以上の国・地域で38万人の従業員が、人々とビジネスを確実に繋ぎ、グローバルでサステナブルな貿易の実現を可能にしています。

 デジタル化と消費者の購買行動の変化により急速に成長するB2C Eコマース、B2B Eコマースにおいても、DHLはロジスティクスサービス企業として消費者ニーズを満たし対応するため常にスピードと包括的な知見をもって対応いたします。

■DHL越境ECサイト:https://shipping.dhl.co.jp/E-commerce/ECnoMikata
■DHL エクスプレスウェブサイト:https://mydhl.express.dhl/jp/ja/home.html#/createNewShipmentTab