【韓国越境EC事情】兄妹共同経営で年商10億円、越境ECにも参入したアパレル通販「デジュー」
韓国のECサイトは、越境ECに積極的な動きを見せていて、現地向けカスタムサービスの提供を受けることにより、日本のユーザーからも関心が高まっています。このコラムでは、ECプラットフォーム企業「cafe24」を通じて、越境ECに取り組むヒットショップとその理由について、ご紹介します。
今回ご紹介するヒットショップは、「ファッション」と「経営」への関心が高かった兄妹が、大学卒後に起業を選択し、韓国や日本市場で活発な事業展開を行っているアパレルブランド「デジュー(http://dejou.jp)」です。
兄妹が立ち上げたEC発ブランドが年商10億円達成
韓国ファッション界で有名なノ・テホ、ノ・ヒョジョン兄妹は、レディースアパレル通販「デジュー」を共同経営しています。2016年の売上高は100億ウォン(約10億円)を上回る売上を記録しました。インタビューで、「グローバルSPAブランドを競合相手として事業展開を行っている」と説明する彼らは、特に日本向け越境EC事業に対し強い意志や自信を持っています。
幼い頃から「ファッション」と「経営」が主な関心事だった兄妹は、20代で就職ではなく起業を目指しました。妹が長年、日本と韓国を行き来する中で磨いたファッションセンスを、兄が経営に取り入れる形で、2010年「デジュー」ブランドを共同で立ち上げました。
少額の資金で立ち上げた事業でしたが、日韓のファッションスタイルを徹底的に分析し、デザインした商品が続々とヒットを記録。デジューの売上は急上昇しました。起業4年目の時点で、月商数千万円を達成し、韓国や海外バイヤーから問い合わせが殺到しました。
このように韓国で着実に成長を遂げたデジューは、2017年4月、グローバルECプラットフォーム「cafe24」で日本向け越境ECサイトを構築し、日本市場へ本格に参入しました。
顧客とのコミュニケーションにインスタグラムを積極的に活用している
毎週最新トレンドのファッションアイテムを更新
デジューの競争力の核となっているのは、「多彩なスタイルを取り入れた商品開発」とも言えます。20〜30代の顧客が好む「デイリールック」や、10代が好む「スクールルック」など、特定のスタイルに留まらず、流行するトレンドの特徴を捉えた商品を提案しています。これにより、デジューにアクセスする韓国ユーザーや海外ユーザーからは「韓国のファッショントレンドが分かる通販」という評判を得ているようです。
ノ・ヒョジョンCEOは、デジューならではの競争力についてこう語ります。「弊社サイト上で韓国の最新ファッショントレンドが一目で確認できて重宝しているという海外ユーザー様からの声は多くあります。毎週、弊社が企画したオリジナルデザインを取り入れた商品を制作し、韓国ユーザーや海外ユーザー様に向け提供できていることを考えれば、グローバルSPAとの競争も可能だと思います。」
事業運営を統括するノ・テホCEOは予め複数の商品を開発し、顧客の反応に応じて販売するという戦略はさけ、長い時間をかけて制作した企画アイテムや売れそうな商品の販売力を集中する「選択と集中」に取り組んでいます。
この戦略の一環として、韓国の競合通販サイトに比べ、モデルを活用した商品画像の枚数を少なめでアップする運営方針を守っています。詳細ページ上に大量の商品画像をアップするのではなく、商品自体に集中して撮影を行い、そのうち厳選したクオリティー高い数枚の画像だけを公開しています。
これにより、昨年2か月をかけてデザイン修正に取り組んだ企画アイテム「冬コート」が、該当商品ページのPV数が累計100万を記録するほど大ヒットを記録しました。また、今年の夏シーズンに向けて開発した麻素材の商品「リネンシリーズ」は、2年前から研究を重ねて企画しただけに高い人気が予測されます。
ノ・テホ、ノ・ヒョジョンCEOとの一問一答
デジューのノ・テホ(左)、ノ・ヒョジョン(右)CEO
--日本を主力市場として選択した理由を教えてください。
日本は、留学時代に「ストリートファッション」などに魅了された妹が、長年にわたり分析に取り組んだ市場でありことに加え、価格より品質を重視する先進市場として知られているからです。また、日本の消費者は、流行を追うよりも、自分の個性を重視する傾向が強いという特徴があるため、デジューならではのファッションスタイルを上手にアピールすれば、競争力が十分あると判断しました。
--販促施策についてお聞かせください。
ファッションに強い関心をもつ若年層が主要ターゲットであるため、SNSアカウントを通じて顧客とコミュニケーションをとりながら、自社サイトへの流入を図っています。SNSの中では特にインスタグラムを活用していて、商品やイベント情報などをアップすることで売上の増加にもつながっています。また、ブランディングの一環として運営している、「ホンデ(若者の街として有名な韓国の観光スポット)」にある「ショールーム」が、日本観光客に知られつつあり、今後の売上増加にもつながることが期待されます。
--今後の目標や取り組みについて教えてください。
今まで培ったノウハウや競争力を活かし、顧客の期待する要求レベルに対応しながら、日本市場に力を注いでいく予定です。また、ブランド認知度の向上やリピーター獲得を図るため、モール出店よりは「自社サイト」を通じた運営に注力する計画です。長期的には、韓国や日本を含む様々な国への参入を目指し、グローバル市場で通じる競争力確保に力を入れてまいります。
総評
日頃「日韓ファッション」と「経営」への関心が強かった兄妹が共同で立ち上げたアパレル通販「デジュー」は、韓国で年商10億円ブランドとして成長を遂げました。また、マーケティングチャネルとして開設したインスタグラムの日本フォロワーが徐々に伸びつつあることから、デジューのファッションスタイルは、日本の若年層顧客にも高い支持を得ています。2人の共同CEOが日本に対する強い愛情や高い意地を持っているだけに、今後もさらなる成長が期待されています。