「デジタル」時代のパーソナライゼーション戦略 ~ パーソナライズドサービスの実現 ~

松原晋啓

「デジタル」時代のマーケティングであるマーケティング 4.0の世界における CRM の戦略について解説します。

CRMは元々マーケティングの歴史と共に進化してきた経営戦略のひとつで、人と人との接点を管理して最適なサービスを行うための支援システムなので、誕生した時からシステムだけで完結するものではなく、人が活かさないと効果が出ないシステムとして成り立ってきました。なぜなら、お客様がサービスを受けて感じたことは人が理解するしかなかったためです。

しかし、IoTと呼ばれるほどIT技術が浸透し、センサーと人工知能(AI)を使えばある程度感情まで理解出来るまでに進化した今となって、CRMはやっと本当の意味で人を支援することが出来るだけのシステムが実現出来るようになってきました。

また、お客様がIT技術を通してサービス提供企業と接する機会も飛躍的に増えています。このことをデジタルチャネルと呼び、ユーザーエクスペリエンス(UX)やカスタマージャーニーにも大きな変化が出てきています。(CRMの世界ではサービスと組み合わせてカスタマーエクスペリエンス(CX)とも呼ばれます)

デジタルチャネルの拡大により、顧客サービスはいよいよIT技術の活用が不可欠となり、より良いサービスを行うためにはCRMを導入しなければならなくなりました。
マーケティングの世界でも、ターゲットマーケティングからOneToOneマーケティング、リアルタイムマーケティング、そしてパーソナライズドマーケティング(パーソナライゼーション戦略)へと進化することに比して、CRMもパッケージ型CRM(合理化)からプラットフォーム型CRM(部分最適化)、そしてパーソナライズドCRM(全体最適化)へと進化しました。

我々自身も客の立場ではそうだと思いますが、いかに自分に合った気持ちいいサービスをしてくれるか、自分に合った製品になっているかは結構重要な検討材料になっていると思います。「D.I.Y.(Do It Yourself)」が人気なのも、それを象徴していると思います。

それだけニーズが多様化している中、企業がまだ製品中心(プロダクトアウト)でいいのでしょうか? 
⇒ もちろん、答えは「No」です。

では、どうすればいいのでしょうか? 
⇒ 答えは、最新のCRMを正しい理解の上で導入して活かさなければなりません!

CRMの正しい理解とは? 
⇒ CRMは従来の合理化で生まれたCRMと言えないシステムが乱立している市場です。CRMは本来、全体最適化を基本とし、企業のパーソナライゼーション戦略を支援するために生まれた経営戦略なので、正しいCRMとはパーソナライゼーション戦略に則り、パーソナライズドサービスを実現する「パーソナライズドCRM」ということになります。


CRMは「まだ実現しないサービスの実現」が必要とされています。これは今のニーズだけではなく、今後発生するあらゆるニーズにリアルタイムに対応していく必要があることを示しています。
それに対応しようとすることが「オムニチャネル戦略」ともなっているわけで、パーソナライゼーション戦略の重要なファクターでもあります。当然ながら、それを支えるCRMも時代と共にリアルタイムで変化していくことが義務付けられています。

そのため、CRM導入に際して間違ってはいけないのは、それに対応出来ないシステムであってはいけません。例えば、スクラッチで開発することやカスタマイズが難しいパッケージ型の製品を活用することなどです。デジタルチャネルも、管理をするCRMシステムは24時間365日使える必要がありながらも、リアルタイムに変化することを求められるため、動かしながら変化出来る形のシステムでなければなりません。

分かりやすいように、下記にCRM導入における前提となる要件をまとめました。
最低限、これだけは満たせるシステムとする必要があります。

<CRM導入の前提要件>
・24時間364日稼働させ続けられること
・リアルタイムなニーズに対応することが可能であること
・企業がお客様と接した全てのチャネルの情報が管理出来ること(全体最適化)
・小さく始めて、大きく育てられること(未来への挑戦なので、大きくスタートすることは不可能なため)
・顧客ニーズと経営をマッチングさせる戦略ノウハウを持っていること

CRMは今なお人が活かし続けることが前提としたシステムであることは変わっておらず、またシステムそのものもお客様と共に変わり続ける必要があるシステムです。
基幹システムのように利用企業のユーザーを支援するわけではなく、利用企業のユーザーと共にサービスを受けるお客様に満足を提供するのです。
ですので、システムの運用を外部に任せず(アウトソーシングせず)、しっかりと自社内で理解し、わからない点を部分的にCRMを得意とする会社に支援を依頼することが大切です。

サービス意識の高い日本の企業が正しくCRMを活かすことが出来れば、「デジタル」時代においても世界トップクラスのサービスの国だと言われる日が来ることを私は信じています。

著者

松原晋啓

アクセンチュア等でのSE、アーキテクト、コンサルタント、インフラジスティックスでのエバンジェリスト(Microsoft MVP for Dynamics CRM(現 Microsoft MVP for Business Solutions))、マイクロソフトでのソリューションスペシャリスト(Dynamics CRM製品担当)を経て、現在はDynamics CRMを専門に扱うサービスチームを率いて大小様々の企業の事業立上げを支援、その傍らでCRMエバンジェリストとしてイベントや記事寄稿を通じてマイクロソフトのテクノロジーや製品の普及に努めている。
また、プラットフォーム型CRM(xRM)の第一人者やCRMの専門家としてインタビューも受けている。

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