【第11回】me too検索、じゃない検索を獲得できていますか?

酒匂 雄二

タキシード、燕尾服、モーニングコート、フォーマルスーツ・・・

メイドインオオサカの紳士礼服を製造販売するフォーマル専門店ノービアノービオ。1952年に礼服の生地問屋として創業、今は製造から小売(ネットと実店舗)まで手がける、いわゆるSPA企業ですが、小さな小さな町工場です。

バブル最盛期、従業員230人 年商65億円、紳士礼服メーカーとして業界2位。バブル崩壊後、従業員20人、負債45億円、在庫は倉庫に14億円分。

年商65億から負債45億円、約100億円のジェットコースターを下りきった頃、服の「フの字」も知らない素人だった僕は楽天市場店のスタッフとして、この会社にやってきました。

順調に伸びていた頃、相次ぐ大手の参入で再び窮地に。首の皮一枚すらちぎれそうなとき、次々と訪れた出会いと気付きと・・・たくさんの先達に出会い、学び、SNSを使ってV字回復。

SNSは次々にピンチをチャンスに変えてくれました。

これから記させて頂くことは特筆すべき秀でたスキルなど何もない普通の僕がやってきた、「今日から誰にでもできるお話」です。

このお話を通じ、皆さんのお店のコンバージョン率+0.1%~に少しでもお役に立つことができればと、経験した全てをお伝えしていきたいと思います。

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https://ecnomikata.com/column/20041/

大切なのは「最適」 常に俯瞰で見ることを忘れず

グラウンドレベルになりすぎて気づかない。俯瞰でみると出てくる鉱脈ワード。

とある湖のほとりでお店や旅館を営む組合の勉強会にお招き頂いた時のこと。観光ポータルサイトを軸に集客やPRにつなげようという取り組みなのですが、そのサイトを見ると課題は続々。

まず、誰がお客さんなのか分からないサイト。詳しくは書けませんがサイトを観ていただくべき方とサイトの中の文言や表現にズレがあり、これではたどり着けないなという状態でした。

グラウンドレベル、視点が低くなりすぎて目の前のことに躍起になり、大極や俯瞰で見ることを忘れて、気づくと本来検索されるべきキーワードで順位を下げているケースです。

当たり前、普通になりすぎている場合でよく見受けられ、これはECサイトでもあるあるです。最新のSEO情報に振り回されすぎて、気づけばプロダクト・アウト(売り手都合)のサイトになり、お客さんの困り事や悩み事、マーケット・イン(買い手都合)でたどり着けなくなっているサイトがあります。

SEOは最適化、お客さんが検索した時に見つけやすいように「サイトを最適化」しておくことであり、上位をガムシャラに取りに行くものではないということだけは何度もお伝えしておきたいと思います。

8月上旬にあったGoogle検索エンジンのアルゴリズムのアップデートに際しても、Googleが見ていることは今も昔も変わらず、「お客さん、ユーザーにとって最適な検索結果を提供することが目標」としているので、お客さんが探していること・困っていることに最適なページづくりを忘れないでくださいね。

Metoo検索はお客さんとの敷居を撤廃する特効薬

Metoo検索はお客さんとの敷居を撤廃する特効薬「信じる」サイトのお手伝いをしていてコレほど嬉しい言葉はありません。

上図は抱っこひも収納カバーを販売するルカコさんのブログのアクセス推移です。

抱っこひも収納カバー専門店ルカコ
https://lucacoh.com/

オーナーの仙田忍さんとは同じ年で近所同士であることからも公私共に仲良しなのですが、彼女の一言は忘れられません。


「私、ゆうちゃんのこと信じてやってみる」

しのちゃん(仙田さん)・ゆうちゃん(僕)と呼び合う仲なのですが、身近な人の言うことをきくのは意外と難しい気がします。

仙田さんのサイトを観ていてブログの可能性を感じ、注力すべきであると助言をしました。

おおよそ1年経過した今月までのデータが図の通り。

メキメキアクセスを伸ばしています。一瞬数字が下がっているのはブログサイトをリニューアルした数日、アナリティクスのタグを入れ忘れていたもので、サイトのアクセスは右肩が上がり、売上についてもジワジワ上がってきているとおっしゃっています。

この2ヶ月でテレビ取材も2件あり、全国放送のゴールデンタイムでは、10秒ほどの登場ながら、アクセスは爆増しました。

もちろん、メディア登場時の短時間でも視聴者の皆さんが拾うことができ、そのキーワードでサイトが出るようにしておくことも大事です。

これも視聴者が見つけやすくするという意味での最適化、SEOですね。

広告費も月間数万円ほどと言います。

「このコンテンツ上げるようになってから、お客さんの質問(InstagramやLINE@)で直接聞かれたことをコンテンツであげたりして。洗濯の仕方とかね。

楽しみにしてくれてる感じが私でもわかる。広告のようにすぐにはきかないけど、ずっと宝になってじわじわ右肩あがりの集客になって商品を売るよりお店のファンになるって感じ」


とおっしゃっています。

InstagramやLINE@で寄せられた質問をテキストに起こし、記事にすることで検索されるコンテンツになるんですね。

仙田さんはよく

「お客さんと一緒に楽しむ、遊ぶ」という表現をされます。

自身が「FUN」を作り、お客さんにそれを発信しているんですね。

「お小遣い5万円で起業した主婦」としてEC界でも名を知られるようになった仙田さんですが、お客さんと交流して楽しむ心は、ますます強くなっていると感じます。

いくつか反響の大きかった記事を教えてもらいました。

■救われた、叱るということ。
https://lucacoh.com/blog/20160702/

■母親と暮らした記憶がない。【大学生・山内】お母さんとの大切な時間
https://lucacoh.com/blog/20161211/

ルカコには、迂闊に読むと、涙してしまいそうな記事がたくさんです。でも、それはルカコに関わる、ルカコを取り巻く人たちの等身大のできごとなのです。

人として、ママとして、誰もが経験した赤ちゃんのときのこと。

そんな当たり前のこと、新米ママの「わからない」「どうしたらいいの」「うちの子は大丈夫?」そんな心配ごと、悩みごと、困りごとに「あるある」「私もそうだよ」ということがあり、お客さんは宿り木のようにルカコに集うのです。

そのお客さんがお客さんへ・・・ルカコのブログで「買って買って!」「安いよ!」「セールだよ!」みたいなコンテンツはまずありません。

10人の子どもがいれば、ママの悩みや不安も10通り、それをたくさんのスタッフの経験でカバーすることで安心な場所へと成長しているのです。

ルカコはただのお店ではなくなって、コミュニティになっているんですね。その結果1ユーザー辺りのページセッション(何ページ読んだか)は8ページ近くにのぼり、大好きな雑誌をゆっくりめくるような時間を創り出しているのです。

最近では「メールアドレス変わったから、こっちにメルマガ送って」とお客さんからの連絡が増えたというのです。もう友達感覚ですよね。


今回、ルカコの事例紹介をしたいと連絡したら

「新規のお客さんのアクセスがブログから増えてきた。今までだと買ったら終わりだったのが、お客さんと継続して遊べるからコンテンツは面白いなと思う。これはゆうちゃんのおかげ」


こんな嬉しいことを言ってもらえました。

すでにサイト全体のアクセスの半分はブログが占め、集客としてブログは欠かせない存在になっているようです。


皆さんのお店の商品を手にする方々にも絶対にあるはずの

「あるある」「私も」

実はコンテンツづくりはそんな身近なことでよくて、決してお店の期待値を上げるような背伸びをしなくてもいいのです。

買って頂こうと背伸びをして期待値を上げすぎて、お客さんのちょっとしたがっかり感を生み、リピーターにならない。そんなことのないように、ありのまま、お客さんとお店の「me too」で結んでいってくださいね。

「じゃない検索」で陣取り合戦を優位に

中小企業や地方企業がアクセスを勝ち取る上で絶対にやるべきことは「じゃない検索」

どんなジャンルにも、大巨人がいますよね。そして、その大巨人がモールに出店していることも。資金力でも大きく劣る中小企業が広告合戦を挑むなんて無謀すぎますよね。弊社はかつてそれをして瀕死状態になりましたから。

中小企業が大企業に露出度、認知度ではつけいる隙は中々見当たりません。

「Tシャツ」「スニーカー」「チョコレート」「マウンテンバイク」「カーネーション」「ソファー」などなど、これら競合ひしめくキーワード1つでモール内検索上位を争うのは至難の技。

まして検索エンジンのオーガニック検索で上位を獲得し、集客に活かすのはもっと大変になりますね。

検索広告などに出稿する資金も捻出できないとなると八方塞がり。

この状況に直面し、

「ネットショップなんてやめとけばよかった」
「こんなことになるなんて思いもしなかった」


と、嘆きからご相談を頂くこともしばしば。

そこで提唱するのが、ショップとブログを比較して「じゃない検索」を獲得することです。モールだけに出店されている方でも、この方法はおすすめです。自社ECサイト、ブログをお持ちの方はモールのお店とアクセスキーワードを並べましょう。

上図はベビー服通販サイトの事例。

モールにアクセスしている時点で、お客さんは「買い物」「探し物」などが決まっていて、ある程度商品に対するイメージが出来上がっていることが多いはずですから、「ベビータオル」「新生児肌着」のような検索をするわけですね。

モール内検索で「通販」などはまず使わないですよね。

モール内でかろうじて拾われることができる「ベビータオル」のようなキーワードも、検索エンジン上で、中小企業のコンテンツが上位に出ることはまず考えられないですよね。

そこで自社ECサイト・企業サイトをお持ちの方は、キーワードを並べて比較してみるのです。

すると、自社サイトではモールではないような検索語が出てきます。

「おすすめ」「口コミ」「購入」「通販」「日本製」「国産」「オーガニック」「撥水性」

モールではまず出ない「通販」があり、日本製など品質に関するものや素材に関するものが出てきます。

有名ブランドを探している方であれば「ブランド名 通販」などで検索するでしょうから、これを僕は「じゃない検索」と呼んでいます。

「有名ブランドはみんな贈るだろうし」「こだわったものが良い」「品質が安心なものを贈りたい」

有名なブランド「じゃない検索」ですよね。みんながみんな有名ブランドを買うわけじゃない。ですね。弊社のタキシードも然り。海外の有名ブランドだってタキシードを取り扱っています。弊社が生き残っているのも、この「じゃない検索」によるものだと思っています。

更にブログになると「HOW TO」が出てくるんですね。これは同じ赤ちゃん商材を扱うルカコと似ていますが、初めてパパ・ママになった方には「どう使うの?」「いつからいつまで?」などのような悩みごとが出てくるわけです。

これらのキーワードを線結びするようなコンテンツを作ることで、ロングテールの検索にヒットすることができ、自社のページを最適化できるわけですね。

「国産」の「ベビータオル」がほしいけど、「ベビータオルはいつからいつまで使うの?」

そんな検索ニーズですね。

こうすることで自然と語彙が豊かになり、検索エンジンにも評価されるページへと育っていくと思われます。

ルカコのサイトの急成長はまさに、この積み重ねですね。

主婦やママの当たり前をしっかり書き出すことで、初めて当事者になったお客さんへ刺さる。コツコツが結局いちばんの近道なのですね。


逆にモールだけに出店されている方は、第10回でもご紹介した妄想も大事です。このキーワードを入れた人はどういう心境なんだろう、何に困っているのだろう?ですね。

【第10回】「想像」と「妄想」がカギ?ロングテールで商機を掴む
https://ecnomikata.com/column/19588/

経験談、体験談、お客さんのお声を集めるだけでも、前章のルカコのような「そうなんだ」「よかった」「安心した」という、お客さんにとって敷居が下がるページになるはずです。

ぜひ、今日からこのことを意識してお店づくりしてくださいね。



第11回も最後までお読み頂き、ありがとうございました。
ぜひぜひ今回のご感想・温かいお言葉をよろしくお願いします。
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以前、ECのミカタさんでもコラムを連載していた「ゲキハナ」の古屋さんとYouTubeチャンネルも開始しました。ECサイト運営者のヒントになるトークライブを中心にお届けしておりますので、是非チャンネル登録お願いします。
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次回のお話では、twitterなどの事例を予定しています。内容は変更になる場合がありますので予めご了承くださいませ。

次回も宜しくお願いします!

【第12回】twitterはお店が「探す」「引き出す」に使えるSNS
https://ecnomikata.com/column/20125/


著者

酒匂 雄二 (Yuji Sakoh)

1977年大阪生まれ。
ネット通販会社、ゲーム会社を経て、2005年紳士礼服SPAの株式会社NFLに入社し、
タキシード・燕尾服などフォーマル専門店ノービアノービオの楽天市場店を担当。
現在はBtoB、実店舗・ECサイトを統括。

自社ECサイトは2017年、イーコマース事業協会(EBS)主催の
第9回全国ネットショップグランプリで準グランプリを受賞。

利益が残らない薄利多売・広告依存から脱却するためSNSを活用、
広告費をゼロにしながら売上を飛躍的に改善。

自社の成功事例を共有するべく異業種交流会「まちカレッジ」運営の傍ら、
中小企業やECサイトの支援、セミナー講演も多数。

大阪地域密着型クラウドファンディング「FAAVO大阪」も運営、
企業や団体の資金調達支援も行う。

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https://www.novianovio.com/

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