【第3回】ネットショップの出店失敗談を大公開!〜運営サポート編〜
日本ECサービスの小野と申します。
私達は、ECマスターズクラブという会員制のネットショップ支援サービスを運営しており、SOYショップや上場企業様、つい先月楽天ショップをオープンされた方まで日本全国1000社のスタッフの方を合わせると1500名様以上の方に、毎日ネットショップの最新情報をお届けしたり、30以上の自社開発ツールを提供していますが…
実は、1000社以上の会員様から毎日の様に失敗談が届きます…
「同じ失敗をしないためにぜひ参考にしていただきたい!全てのショップ様に読んで欲しい!」という想いで1記事1社を基本として失敗談を公開していきます。
本日はその第3回目です!ではさっそく始めていきましょう!
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――ネットショップ出店失敗談も3回目となりましたが、今回は神奈川でネットショップ運営をされているセガールさまよりお話をお伺いしております!よろしくお願いいたします!
セガール:よろしくお願いします。
――まずはじめに事業内容を教えてください。
セガール:オリジナルリュックサックのネット販売をしています。
オリジナルリュックサックを扱うことになった経緯は、個人的な話になりますが、20数年前の結婚当初、日本語の話せない夫は日本の会社に雇ってもらえなかったのでアルバイトの掛け持ちをしていました。
不安定なのが不安でせめて個人事業でも始めようかと、タイやベトナムで買い付けてきた商品をYahoo!オークション(現ヤフオク!)で売るということを始めました。タイの服やベトナムのかご、アルゼンチンからマテ茶やカモミール茶なども取り寄せて売りましたが、うまくいきませんでした。
週末には横浜や東京のフリマにもしょっちゅう出かけて販売してました。出稼ぎです。
ところが、ベトナムから買い付けてきたリュックサックを売っていたころ、ブランドの模造品を売っているということで弁護士事務所から内容証明郵便が届きました。私は青くなり、オークションに出していた商品をすべて引っ込めました。
リュックサックが売れる、という手ごたえはあったので、オリジナルリュックサックを作ってみたらどうか、ということになったのです。夫が何度か買い付けに行くうちに、リュックサックを作る工場も知っていました。工場の人と話すには通訳が必要という不便もありましたが、とりあえず借金せずに作れるだけの量を作ってもらってYahoo!オークションで売り始めました。
実は今もみなとみらいや、代々木公園、幕張メッセなどで短期間のテントや、ワゴン出店をすることもあります。ネットショップだけではなかなか手に取って商品を見ていただけないのがつらいところなので、なるべく多くのお客様に来ていただきたいと思っています。
――現在のネットショップの運営体制を教えてください。
セガール:楽天市場、Amazon 、Yahoo!ショッピング、Makeshopの自社ショップをほぼ一人で、運営、受注、梱包、発送までしています。ポンパレモールも5年ほど運営しましたが今年末で撤退することにしました。
商品のデザイン、工場との交渉、輸入手続き、それから写真の撮影は夫の担当です。商品写真のモデルも夫です。
――ECモールに出店されたキッカケを教えてください。
セガール:もう15年ぐらい前になると思います。Yahoo!オークションでモノを売り始めて、オリジナルリュックサックを作り始めるときには個人事業主として登録し、Yahoo!ショッピング、楽天市場と、売り場を増やしていきました。Yahoo!オークションに対して、中古品販売がメインのようなイメージを持っていて、それであればYahoo!ショッピングのほうがいいかな、と思ったのでした。
モノを売ることをしたことのなかった素人でしたから、Yahoo!オークションは始めるのには手ごろでしたし、PCを使ったこともない二人が(夫と私)Gatewayの初心者向けPCを買って初めてキーボードをたたきながらの作業でした。そこからYahoo!ショッピングに自然な流れでスムーズに出店し、その頃のYahoo!ショッピングにはたぶんリュックサックを売るお店があまりなかったのか、毎日少しづつ売れました。近所の郵便局に歩いて発送しに行けるほどの数でしたが。
その頃にほかにもモールがあることが分かってきたのだと思います。楽天市場を選んだことには大した理由はありません。「楽天市場っていうのもあるらしいから出してみようか」という感じです。
Amazonはあちらから電話をいただきました。出店料がただだというので、やってみる気になったのです。
そのころ夫が英語で(スペイン語圏出身なので、それも大変な作業でした。)ネットショップの枠を作って、私が日本語に変えた自社ショップも運営し始めましたが、クレジットカードが使えず、使い勝手もよくないショップでしたので 4、5年前にMakeshopで自社ショップを作り直しました。
ビッダーズ、ポンパレモールにも出店しましたが2店舗とも全然売り上げが伸びずそれぞれ、3年と5年で閉店しました。
――出店後苦労されたことは何ですか?
セガール:まずお金のこと。ベトナムから始めて、中国にも工場を探し、台湾人の会社から仕入れをしたりします。ただ、中国からの輸入はコンテナ1台分からなので、輸入の度に我が社にとったらたくさんのお金が動きます。いつも自転車操業です。
少量買いできるベトナムの方は通訳をしていてくれた方が引退してしまってから、なかなか次につながっていません。
PCも使い慣れないし、広告の使い方もわからず、広告に使う資金もない。はじめはYahoo!ショッピングや楽天の担当の方に相談したりしていましたが、必要だと思っていないタイミングで広告を出すことやポイントアップを勧められたり、担当の方がころころ変わってしまうので、少々ストレスでした。
一度、楽天市場の担当に、売り上げ全部を次の月の広告に使いましょう、と提案されて以来相談を持ち掛けることもなくなってしまいました。
あとは、営業の経験がないまま始めましたからお客様からのクレームは一番のストレスでうつ病になりそうでした。
――それは大きな経験ですね。可能であれば多かったクレームの内容を教えていただけますか?
セガール:ザックの構造に関することが多かったです。ストラップが長すぎる、短すぎる。ポケットが小さすぎる、位置が良くないなどはマイナーチェンジをしながら改良させていただきました。
あとは使用後に壊れたというご報告。無理な使われ方をされていることもありますが、縫製の問題である場合もあるので、できるだけ新品や、別のモデルとの交換で対応し、壊れたところは工場に持って行って解決策を一緒に考えながら改良してきました。
二重に縫ってもらったり、日本の会社の部品だけを使うよう手配したりと、クレームと言えどもありがたいご指摘が多いのですが、はじめはそのたびに絶望的な気持ちになって沈んでいました。
電話でクレームの時に夫が出て、外国人だからと不信感を抱かれる方もいらっしゃいます。「わからないなら日本で商売するな」などと書き込まれることもありました。
キャンバス地のバッグをご注文になり、届いたときに折り目があったからと、すぐに洗濯機で洗い、しわくちゃになったので品質が悪いと言われたことがあります。その際には新しいものを後からお送りしましたが、それ以降は洗濯機で洗わないようにと取扱説明書を一緒にお送りすることにしました。
クレームだけならまだしも、今はレビューもあるので気が気ではありません。
――楽天市場出店後の失敗談を教えてください。
セガール:失敗ばかりなのですが。東日本の震災の後、リュックサックが売れました。それをピークにその後は売上が下がる一方なので、もう誰かに相談して、新しい方法を考えないと打開できないと一人でいっぱいいっぱいになっていました。そんな時、ネットビジネスの運営サポートをする会社の営業の方の電話に、なぜか耳を傾けました。
とても熱心な、若い素敵な女性で、なかなか踏ん切りのつかない私を説得しようと、上司の方も連れて何度もいらっしゃいました。その上司も素敵な女性でした。
私はすっかりその気になって、当社の会計処理をお願いしている会計士も呼んで、共同で会社を経営している夫と一緒に説明してもらい、会計士の賛成を得たので夫の大反対を押し切ってその会社と契約しました。
契約金として45万円プラス消費税を最初に振り込みました。次の仕入れに使うはずだったなけなしのお金です。その後、当社についた担当はかなり若い男性であの営業さんたちとはまるで違う感じでした。
その営業さんの場合は2週に一度程度のアドバイスはスカイプを使ったものだけで、肝心な提案内容もある雑誌とつながりができれば広告になるという提案ばかりで少々不安でした。
また、当店の商材は夏がメインだと何度も何度も説明しましたが、その夏に入る前4、5月に、ほぼすべての商品をDEALで売ろうという施策を提案してきました。実際、希望よりかなり安くして売っている商財の価値を高めて、安売りしなくても売れるようにするためという説明に惹かれました。
商材の値段を倍ぐらいにあげて2週間ほど待ってから50%引きにしてDEALを仕掛けようというのです。売れればあとは値下げしなくても、売れるようになるからと、自信満々の様子に勝負をかけて、全商品ほぼ2倍の値上げです。
しかしその間、注文がゼロの日が続き、もうやっていけないから値段を戻しました。値段はもとに戻しても、すでに検索順位は大きく後退、お客様には見つけてもらえず、売上は下がりました。もう少し我慢して彼の言うようにやっていれば本当に売れるようになったのかどうかはわかりません。
夏にお金を作らなくては仕入れのお金がないのに、完全な敗北となりました。サポート企業は夫から責められてその施策の失敗について理解の「齟齬」があったというばかりでした。もちろん夫は初めから大反対でしたので、家族間も相当ぎくしゃくしました。
そのうえ、成功報酬が取れないからとサポート企業とは3年契約だったはずだったのに8か月で打ち切りとされました。
違約金が発生するので、こちらからは言えずにいたわけですから、それはよかったのですが、何より痛かったのは楽天市場の夏の売り上げが全然作れず、それはいまだに尾を引いているということです。
――なぜ、その様な失敗をされたと思いますか?
セガール:人に任せて、リュックサックの販売をやったことのない人の言いなりになったからです。
DEALについては私もよく理解できていませんでした。提案されたときに、活用方法などもよくわからないのに言われるがまま、従ってしまったのは自分の落ち度だな、と思います。
――失敗しないためにどの様なことが必要だと思いますか?
セガール:自分の経験を軽視せず、わからないながらも今までやってきたことを踏まえながらほかの方のアドバイスも聞いていく。理解しないでやるような他人任せはやっぱりだめですね。
――ECマスターズクラブをどの様に活用いただいていますか?
セガール:Liveはできる限り視聴しています。フォーラムも何気なく読んでいると、これは私にも当てはまる、という問題点が見つかったりするので参考にさせていただきます。
最近Facebookのグループにも入れていただきました。その中でもいろいろな、気づき、提案があるので参考にさせていただいています。仲間意識みたいなものも、素敵だなと思います。
――今後の目標を教えてください。
セガール:楽天市場や、Amazonは自社ショップよりも経費がかかります。自社ショップの売り上げを伸ばして、モールに頼らずに行きたいなと思います。昔のようにバックパッカーは無理でも、旅に出かける時間の余裕が欲しいです。
――ECマスターズクラブを検討中の方にメッセージをお願いします。
セガール:ネットショップを始めると、ページ制作代行や、SEO対策、などなどいろいろな勧誘の電話がありますが、あまり鵜呑みにしないことにしました。ECマスターズさんは自分で立ち上がるための手助けをしてくださる会社だと思うので、それが一番大切なことだと思います。
特にフォーラムを読んでいると、こんなこと聞いてもいいかななんて、思わなくていいんだなと安心します。皆さん他社さんの事でもなんでもECマスターズのフォーラムで聞いてらっしゃいますもんね。一人で考えていると息詰まることがあります。
ECマスターズさんのおかげで、もう少し自分でやれることが探せるようになると思います。