[第4回] ザ・ボディショップが実行する店舗とEコマースの社内融合

斉藤 正賢

ザ・ボディショップのオムニチャネル推進環境づくり

みなさま、こんにちは。
イギリス生まれの自然派化粧品ブランド「ザ・ボディショップ」でEC運営/オムニチャネル推進を担当している斉藤です。

前回、ザ・ボディショップでは今後、店舗の体験をデジタルでどう向上させるかについてお伝えいたしました。

過去記事
[第1回]オムニチャネルは手段の一つでしかない
https://ecnomikata.com/column/22112/
[第2回] ザ・ボディショップがオムニチャネルを推進する理由
https://ecnomikata.com/column/22178/
[第3回] ザ・ボディショップが仕掛けるオムニチャネルの今後「店舗の体験をデジタルで向上させる」
https://ecnomikata.com/column/22206/

今回、ザ・ボディショップはオムニチャネル施策を進めるにおいて、どのような社内体制を築いているか、担当者としてどのようなことを心がけているかをお伝えいたします。

実店舗部門とEコマース部門は同じ本部に所属している

現在、ザ・ボディショップの店舗部門とEコマース部門は同じ本部に所属しています。(過去別本部だった時代もありました。)

これは企業の成り立ちにもよりますが、Eコマース部門はデジタルという括りで情報システム部門であったり、コーポレートサイトから派生したEコマースサイトの場合はPR・広報部門であったりします。

巷でよく語られる実店舗とEコマースの売上の食い合い論争は本部が異なることによって起こっているケースがしばしば見受けられます。

具体的には同じキャンペーンを行った際の販促予算はどちらの本部が負担するのか?按分する場合の割合は?Eコマースの本部は間接部門であり売上予算は努力予算でないか、それであれば売上予算が必達予算である店舗に販促予算を割くべきではないか?などです。

本部に店舗部門とEコマース部門をまとめることによって上記のような課題は解決されます。そしてトップとなる本部長は全販売部門を掌握できるので施策の幅・スピードが上がります。

何よりも本部が同じである最大のメリットは情報共有の早さにあります。

ザ・ボディショップの例を伝えますと、定例でチームメンバーが集まりミーティングが行われます。そこで店舗部門の成功事例やトレンドなどの共有を受けます、ECサイトの一つのメリットはバナーの変更・カテゴリの登録などが店舗よりもすばやく行えることです。共有を受けたその日にサイト更新を行うこともあります。

Eコマース部門も店舗応援に行く

ザ・ボディショップは毎月新しいプロモーションを展開していますが、その中でも繁忙期は大きく年3回あります。

クリスマス・お正月(ラッキーバッグ)・ホワイトデーです。この店舗応援にはEコマースや交流、生活圏外の店舗見学など様々なことを吸収できる貴重な機会です。

余談にはなりますが、正月に甲府の店舗まで泊りがけで行ったり、日帰りで宇都宮の店舗まで行ったりするメンバーもいます。

筆者はこの店舗応援にザ・ボディショップのオムニチャネルを推進できる一つの鍵があると考えています。

人は不思議なことに一度顔をあわせて(一生懸命)仕事をした相手に悪い感情を抱きにくいものです。

オムニチャネルはシステム面の改修が必要となるため、どうしてもデジタル部門が主導となります。しかし、日本のEC化率が表すように多くの小売業で販売の主役は店舗です。店舗で働くスタッフは自店に愛情を持っています。そこに無理やりデジタルが介入したら「かき回されている」という感情を持たれても仕方ありません。そして店舗を置き去りにしてオムニチャネルは成り立ちません。

「人は論理でなく感情で動く」という言葉ありますが、オムニチャネルを推進する際は、構成するシステム部分は論理、顔の見えない相手と仕事をするか・見える相手と仕事をするかが感情にあたると考えられます。

オムニチャネルの概念は浸透し成功事例も年々増えています、システムの構築費用も下がっています。

システム面は整った、だけどなぜか上手くいかない。そんな場合は一度、オムニチャネルは顧客とスタッフ、つまり人と人があってこそという点に立ち返ってみても良いかもしれません。

オムニチャネル推進担当者として心がけていること

末筆になりますがオムニチャネル推進担当として心がけていることをご紹介させていただきます。

特別なことを行っているわけではありませんが、筆者と似たような領域で悩んでいる方の解決の糸口や、これから進んでいく方のヒントになれば幸いです。

1.メールやチャットのレスポンスは可能な限り早く行う
特に何か依頼された際はすぐに返信をします、もちろん結果を返せるのに越したことはありませんが、業務上どうしても返せない場合は「連絡受け取った旨」だけ返します。

これを行うことによって何が起こるか?

オムニチャネルは店舗部門だけではなく、様々な部門を巻き込んだ全社的なプロジェクトとなります。時には大人数の合意を取らなければいけないこともあります。その時に自身の返信優先順位が下がらないよう、常日頃から自身の中で相手の優先順位を上げておくことを心がけています。

2.周りに自分は何ができるかを伝える
これは1の依頼を増やすための手段です、社歴が長い方でも部署の移動や転勤などで、周りの方が自分のことを知らない環境になることもあるでしょう。その時に自分は何ができるかを伝えることによって相談や依頼が来ます。これに素早くレスポンスすることによって様々な好循環が生まれます。(裏技として出来ますと言って後に必死で調べるのも手です)


さて、全4回でお伝えしましたザ・ボディショップのオムニチャネル推進環境づくり、いかがだったでしょうか。

私達の取り組みもまだまだ成長段階です、ぜひ今後のザ・ボディショップにもご期待くださいませ。また第1回冒頭で書かせていただいたように、みなさまのビジネスのヒントやチャレンジのきっかけになることがあれば、これほど嬉しいことはありません。


著者

斉藤 正賢

1986年東京生まれ。
2007年、包装用品、店舗用装飾品、慶弔用品、事務用品などを扱う専門商社に販売員として入社。
2010年、自社ECサイト立ち上げを機にEC運営に携わるようになる。その後、モール店立ち上げ、公式SNS、LINE@など様々なサービスの立ち上げ、受注管理システム導入などを主導で進める。商品導入の商談から受注対応、出荷業務、広告運用までEC運営に必要な幅広い業務を担当。立ち上げから7年連続二桁成長を達成し退職。
その後ECパッケージベンダーにてwebディレクターを経験、複数クライアントの運用支援に従事。
2018年より現職。株式会社イオンフォレスト(ザ・ボディショップ)にてモール運営、オムニチャネル推進・自社サイト/アプリ開発などデジタル分野に広く携わっている。


THE BODY SHOP(ザ・ボディショップ) オフィシャルサイト
http://www.the-body-shop.co.jp/shop/

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