つまらない専門書とおさらば 広告担当のための景表法ケーススタディ
皆様はじめまして。インターカラーの田中です。
オンライン・オフライン問わずサプリメントや化粧品の広告って多いですよね。
競合が多いからこそよりインパクトのある広告を打ちたいところですが、ここで立ちはだかるのが法規制の壁です。広告一つで大損害が生じた企業もありますから、広告の担当者としては違法と判断された広告は知っておきたいところです。
このコラムは、判例を読みながら広告の表現はどこまでが許されるのかを見ていこうというテーマで連載していきます。大学と法科大学院で法律を勉強してきた経験を生かして、広告の法規制を分かりやすく見ていきます。
この広告はセーフかアウトか、皆さんも考えてみてください。
そもそも景品表示法とは?
どんな法律か知らずに判例を読んでも仕方ありませんから、第1回は景品表示法(長いのでこれからは景表法といいます)についてサクッと解説します。
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景表法1条 この法律は、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護することを目的とする。
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日本語の欠点でもありますが、結論が最後に来て分かりにくいです。知り合いの元新聞記者は「内閣法制局だかなんだか知らんが役人は日本語が下手すぎる。センテンスを分けろ」とブーたれていました。
第一条を英訳した際に最初に来る部分はここです。
この法律は、一般消費者の利益を保護することを目的とする。
ここが肝になります。誇大広告などにより一般消費者が騙されて損をする事件が社会問題化し、この法律ができたのでした。景表法とは、一般消費者が騙される危険のある広告を禁止することで、私たちが自分の判断でほしいものを選べるようにする法律と言えます。
ですから景表法の判例を読むときは一般消費者、言い換えると常識的な人がこの広告を見るとどういったイメージを受け取るだろうという視点が決定的に重要です。
次回から判例を見ていくときは、あなたがこの広告を見たときに受け取ったイメージを大切にして下さい。それが判例の結論と違ったら、その判例は要チェックです。
第2回は有名なこの判例
今回は第一回ということでイントロダクションにとどめ、次回から判例を見ていきます。
ここで皆さんに次回やる判例の事案を紹介しますので、この広告はセーフかアウトか考えてみてください。消費者の視点を忘れずに。
では、事案です。
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ある会社が「日本クロレラ療法研究会」名義で、クロレラには「病気と闘う免疫力を整える」「細胞の働きを活発にする」「排毒・解毒作用」「高血圧・動脈硬化の予防」「肝臓・腎臓の働きを活発にする」などの効用があると記載しつつ、クロレラを摂取することにより様々な疾病が治ったとする複数の体験談を掲載した新聞折込みのチラシを配布した。
なお、このチラシには商品名が記載されておらず、現在ではチラシの配布をしていない。
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さて、このチラシはクロレラの効果しか表示していません。
この広告で常識的な人はどんなイメージを抱くか、是非考えてみてください。
毎週更新予定ですので、次回もよろしくお願いします。どこが問題か、なぜだめなのか、一緒に見ていきましょう。