マーケティングオートメーションでのシナリオ設計:第2回

若尾 和広 [PR]

若尾和広のコラムはこちら
コラム#1:マーケティングオートメーションでのシナリオ設計
http://ecnomikata.com/ecnews/marketing/6314/

「いつ」コンタクトするのが最適か? すべてのコミュニケーションには最適タイミングがある

こんにちは株式会社ブレインパッドの若尾です。

前回のマーケティングオートメーションシナリオ設計第1回のターゲット設定(「誰に」コミュニケーションするのか)に引き続き、今回は「いつ」顧客にコミュニケーションするのが良いのか?をお話したいと思います。

前回One to Oneマーケティングは企業と顧客とのコミュニケーションの最適化とのお話を前回しました。人と人との関係でもこちらから連絡しないと疎遠になり、かと言って頻繁に連絡し過ぎるとうるさがられる…と言ったことは感覚的に理解いただけるかと思いますが、企業とお客様のコミュニケーションにおいても最適なタイミングと頻度があります。このコミュニケーションタイミングを間違えると顧客の離反(2度と再購入されない)を招いたり、オプトアウト(メール配信などのパーミッションをOFFにされたりアプリなどを削除されるなど)を招き企業からのコンタクトが出来ない状態になってしまいます。

通常顧客を獲得するために一人あたり数千円から数万円の獲得コストをかけていると思いますので、離反やオプトアウトでプロモーションが出来ない状態になることは避けなければならないことの一つです。では、いつ顧客にコミュニケーションすれば良いのか? 実はお客様の購買履歴データやWebログなどのWeb閲覧データにその情報が埋もれています。顧客起点行動(Web閲覧や最終購入)を示す記録と目標行動(再購入・資料請求など)を起こす行動の記録の経過期間を集計して分布を見ることで、そのタイミングを確率的に見ることが可能です。

■起点行動①と目標行動②の例
 ①最終購入 ⇒ ②次回購入
 ①資料請求 ⇒ ②購入
 ①Web閲覧 ⇒ ②購入 など

顧客の起点行動から次に起こる目標行動までの経過期間は多くの場合ピークを持った期間分布となります。「分布の状況=顧客の自然反応率」となることから、顧客の起点行動からいつまでにオファーを届けるべきかを特定することが可能です。One to Oneコミュニケーションを行う際はこの最適タイミングとそうでないタイミングでのプロモーションでは効果(主にレスポンス率)で実に3倍~10倍もの差があります。更にこの顧客行動からの経過期間の分布は顧客の属性(性・年代やエリア・職業など)やコンタクトチャネル(電話経由・Web経由・DM申し込み等)やプロモーション対象商品顧客などでグルーピングすると全体傾向とは異なる傾向を示しているケースがあります。

例えば、商品Aの資料請求を行った顧客は約8割が資料到着後1週間から2週間の約1週の期間で購入に至っているのに対して、商品Bの資料請求を行った顧客は約8割が資料到着後3週間から5週間の約2週の期間で購入に至っていることがわかった場合、資料請求された商品内容でタイミングの送信タイミングの異なる2つのシナリオを設定することを考えます。例では商品種別のみの違いで記載しましたが、商品以外に顧客の年代性別やエリアなどでも傾向が変わる場合もあります。

「誰に」対するプロモーションを行うのかが決定している場合は、想定対象顧客の行動にあわせてコミニュケーションタイミングを決定します。ただし、その対象顧客のボリュームがシナリオを設定するに足るボリュームなのかは注意が必要です。次回の「何を」の回でも書きますが、シナリオ毎の対象にあわせて伝えるコンテンツも最適化を検討することになりますので、コンテンツ作成に見合う効果のボリュームであることも個別のシナリオに分けるか否かの判断になります。

第3回ではこれらの顧客へコミュニケーションにあたって「何を」伝えるのが効果的か?について書きたいと思います。


著者

若尾 和広 (Kazuhiro Wakao)

株式会社ブレインパッド、副本部長。通販・EC企業の顧客分析やポイントカードなどを活用したID付POSデータの分析よりマーケティング戦略の立案、マーケティングオートメーションシステムの開発を行っています。データ分析からマーケティング戦略立案、システム開発/プロモーションプランニングなどを一気通貫でコンサルティング可能です。

http://www.brainpad.co.jp/