【最終回】自身のこれまでと、これから ~カメラのキタムラ、EC成長の道のり~
逸見光次郎の連載コラム「カメラのキタムラ EC成長の道のりと今後の展望」
第10回:「真のオムニチャネル」
http://ecnomikata.com/ecnews/strategy/7988/
第11回:「これからのキタムラ」
http://ecnomikata.com/ecnews/strategy/8118/
これまでのこと
おかげさまで無事連載の最終回となりました。今回はキタムラ以前からの自分自身の事について振り返ってみると共に、今後の事を考えてみました。
本好きが高じて学生時代に地元書店でアルバイトを始め、歴史学科だったので就職先は遺跡発掘が出来る石油業界か書店業界か悩み、三省堂書店に就職。好きな事を仕事にして幸せでありながらも、流通におけるネットの可能性を知り、ソフトバンクの“ネット書店立ち上げ”の募集広告を見て、ソフトバンク・イー・コマース社イー・ショッピング事業部に初の転職。
好きな本を軸にしながらも、鈴木(康弘)さんや多くの方々からたくさんの事を教えていただきました。稟議書の書き方、議事録の取り方も知らなかった普通の書店員をビジネスマンに育ててくれた恩は忘れません。商品MD、物流、CS、WEB販促、システム構築、会計、法務、社長室、総務や広報、広告営業、ビラ配り(笑)まで、たくさんの経験をさせていただきました。そしてセブンアンドワイ、セブンネットショッピングと社名が変わり、扱い商材やサービスも拡大する中で、ナンバーワンネット書店の中身が見たくてアマゾンに。
仕組みは素晴らしいけど、英語が苦手(苦笑)な私にとって外資のレポートラインはなかなか合いませんでした。また実店舗がなかった、というのも大きかったです。そうした中で実店舗が主体のイオンに移り、「イオンネットスーパー」の立ち上げ。システム構築、物流設計、冷蔵冷凍什器手配、店舗業務設計、帳票設計、品質管理、会計処理等々、今までの実務経験の集大成みたいな感じでした。その後はイオン全体の戦略担当として、M&A案件や、子会社管理、法務、財務経理、経営会議運営と、いわゆる事務方のスペシャリストに。セブン時代もそうでしたが、イオンではさらに専門知識を持った多くの方々に助けられました。
キタムラでは専門性の高いECに関わる事が出来ました。そして店舗とネットを融合したオムニチャネルを、経営陣にわかるよう数値化し、現場が楽になる業務改善を進めていきました。繰り返し言っていますが、キタムラにはもともと人間力ECという考え方があり、専門知識をもった従業員がたくさんいて、EC・ネットの様々なパーツも揃っていました。そしてそれを見える化し、課題解決のヒントを整理したのが私の実績で、たくさんの現場業務改善や仕組みの構築は、優秀なECや本部、店舗のプロパーメンバーが成し遂げた事なのです。その協力には深く感謝しています。
これからのこと
実は2月1日に辞令をいただき、EC事業部長を外れました。EC事業部はプロパーメンバーにまかせ、より全社的な観点で関われるよう、「執行役員」はそのままで「経営企画 オムニチャネル(人間力EC)推進担当」という肩書きです。5年間かけて事業部が成長すると共に、自分も成長させてもらいました。写真を中心に発展するキタムラで、さらに新たな視点と知識を活用して、全体最適となるように貢献したいと考えています。
昨年から増えてきた講演活動も、“キタムラの宣伝広告塔”として継続します。講演ではキタムラのオムニチャネルの成功事例と共に、その様々なサービスを知っていただく機会でもあり、ありがたいことに講演後に店舗を使ってくださる方も大勢いらっしゃいます。さらに多くの人、企業との出会いもあります。また自分自身の学びも深まります。この1年余り、実務は優秀なメンバーにまかせっきりで、この外部とのつながりや学びを深めてきました。その事が“もう現場を離れて任せた方が良い”という決断にもつながりました。
また出来るかどうかわかりませんが、外部の企業で自分の知識をさらにブラッシュアップしながら、キタムラにより貢献出来る方法はないかとも考えています。どうしてもコンサルタント専業というのは自分に合わないので、今のように事業会社で事業に責任を持つ立場で仕事をしながら、多くの企業との関係を深めたり支援をしたりする事で、自らも成長していきたいのです。今まで自分が学んできた事を、より多くの人に伝える事によって、恩返しをしていきたい気持ちもあります。
特にEC・ネットの業界は、新しい技術や手法が次々と生まれては変わっていきます。しかしながらその“商売の根っこ”の部分は変えてはならない部分で、いかにその本質と、新しい技術・手法を組み合わせて、お客さまに楽しんでいただくかが重要です。長い間EC・ネットに関わってきたからこそわかる、そうした“何か”を、業界内外の多くの人に伝える事によって、より良いEC・ネット業界を作っていけたら良いな、と考えています。
この連載を通じて、また多くの人との出会いが生まれました。文字にする事で、自分自身が何を考えてきたのか、どうしたいのか、整理する事も出来ました。この貴重な機会を下さったRyo-MΑ竹内さん、石郷さんに深く感謝し、読んで下さった皆様にも御礼を申し上げたいと思います。この4ヶ月間、ありがとうございました。
(全12回終了)