【4月1日スタート】景品表示法の課徴金制度(中)

木川 和広

【連載コラム】これだけはおさえておきたいECの法律問題
アンダーソン・毛利・友常法律事務所 弁護士 木川和広

第10回:正しい利用規約のポイント(下)
http://ecnomikata.com/ecnews/strategy/8069/

第11回:【4月1日スタート】景品表示法の課徴金制度(上)
http://ecnomikata.com/ecnews/strategy/8133/

前回のコラムでは、景品表示法上の誤認表示に対して、課徴金が科される場合の要件についてご説明しました。今回は、課徴金を避けるため又は課徴金を減額するための要件について、ご説明いたします。

「相当の注意を怠った者でないと認められる」場合

事業者が課徴金の対象となる誤認表示をした場合であっても、それが優良誤認表示または有利誤認表示に当たることを知らず、かつ、知らないことについて相当の注意を怠った者でないと認められるとき(善意無過失)は、消費者庁長官は、課徴金の納付を命ずることができないとされています(景品表示法8条ただし書き前段)。

景品表示法上、事業者には、表示に関する事項を適正に管理するために必要な体制の整備その他の必要な措置を講じる義務が課されています。具体的にどのような措置を講じるべきかについては、内閣府から、「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」というガイドラインが出されており、これに沿って管理上の措置を講じていた場合には、「相当の注意を怠ったものではない」と解釈して良いでしょう。

このガイドラインで、事業者が講じるべき措置として挙げられているのは、以下の7つです。

1.景品表示法の周知・啓発
不当表示等の防止のため、景品表示法の考え方について、表示等に関係している役員及び従業員(関係従業員等)にその職務に応じた周知・啓発を行うこと。

2.法令遵守の方針等の明確化
不当表示等の防止のため、景品表示法を含む法令遵守の方針や法令遵守のためにとるべき手順等を明確化すること。

3.表示等に関する情報の確認
商品又は役務の長所や要点を一般消費者に訴求するために、その内容等について積極的に表示を行う場合には、当該表示の根拠となる情報を確認すること。

4.表示等に関する情報の共有
その規模等に応じ、前記3のとおり確認した情報を、当該表示等に関係する各組織部門が不当表示等を防止する上で必要に応じて共有し確認できるようにすること。

5.表示等を管理するための担当者を定めること
表示等に関する事項を適正に管理するため、表示等を管理する担当者又は担当部門(表示等管理担当者)をあらかじめ定めること。

6.表示等の根拠となる情報を事後的に確認するために必要な措置を採ること
前記3のとおり確認した表示等に関する情報を、表示等の対象となる商品又は役務が一般消費者に供給され得ると合理的に考えられる期間、事後的に確認するために、例えば、資料の保管等必要な措置を採ること。

7.不当な表示等が明らかになった場合における迅速かつ適切な対応
特定の商品又は役務に景品表示法違反又はそのおそれがある事案が発生した場合、その事案に対処するため、次の措置を講じること。
(1)当該事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認すること。
(2)前記(1)における事実確認に即して、不当表示等による一般消費者の誤認排除を迅速かつ適正に行うこと。
(3)再発防止に向けた措置を講じること。

なお、これらについて、どの程度の措置を講じるかは、事業者の規模や業態、取り扱う商品また役務の内容等に応じて定めれば良いとされています。

自主申告による課徴金額の減額

事業者が、自主的に優良誤認表示、有利誤認表示の事実を消費者庁長官に申告した場合、課徴金額の50%相当額が減額されます(景品表示法9条)。ただし、行政による調査が入った後に、課徴金が課されそうだということで自主申告しても、課徴金は減額されません(同条ただし書)。

報告の方法は、定められた様式に必要資料を添付して、①直接持参する方法、②書留郵便等で送付する方法、③ファックスで送信する方法のいずれかの方法で、消費者庁長官に提出することとされています。

独占禁止法のリニエンシー制度を真似て、自主申告を促すために作られた制度ですが、減額率が50%しかないため、私の予想では、実際にこの制度の適用を受けようと自主申告する事業者はほとんどいないのではないかと思います。

返金措置による課徴金額の減額

事業者は、消費者庁に返金計画を届け出た上で、誤認表示に基づいて商品やサービスを購入した消費者に代金の一部を返金することにより、課徴金の減額を受けることができます(10条1項)。

返金する金額は、商品やサービスの購入額の3%以上でなければならないとされていますが、購入額の一部だけを返金するということは事実上考えられませんから、購入額全額かそれに送料等を上乗せした額を返金することになるでしょう。課徴金の額は期間中の売上の3%ですから、実際には、この返金措置を採るよりも課徴金を払った方が安く付くことが多いのではないかと考えられますので、この返金措置による減額制度も、実際に利用するのは、コストよりもレピュテーションを重視する大企業に限られるのではないかと予想しています。

次回は、消費者庁から出されたガイドラインに基づいて、課徴金対象期間の考え方の具体例などについてご説明します。

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著者

木川 和広 (Kazuhilo Kikawa)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所スペシャル・カウンセル
国際的な案件も含め、EC関連企業の法律問題を幅広く取り扱う。
(木川弁護士プロフィール)https://www.amt-law.com/professional/profile/KLK

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