進化するEC!あたらしい感動体験が進化を加速させる

大城 浩司

前回のコラムでは、海外メディアの成功を通じて感じたメディアECの可能性についてお伝えしました。誤解頂きたくないのは「遠く海の向こうで新たな仕掛けが奏功したから、それをなぞるべき」という話ではないということ。メディアECを取り巻く大きな流れは、4つの環境の変化によってもたらされたものなのです。

今回はこの変化の詳細と、メディアECによって解決する方法についてお話しして参ります。

【第一回】今、EC運営に悩んでいる時に実践したいただ1つのこと
https://goo.gl/PxGt8E

メインデバイスの変化

 まず1つ目にあげられるのが、ユーザーデバイスの変化です。

 国内のスマートフォンの普及率は2015年時点で49.7%となり、2014年からの1年間で1.5倍もの伸長が見られます。また1日の利用時間についてもPCの2倍の数値となっています。

 私が楽天株式会社に勤めていた9年ほど前、「ユーザーの購入経路はPC主体からガラケー主体へと移っていくのではないか」という仮説のもと、ECコンサルタントが一丸となって出店店舗様へモバイルシフトをご提案していました。

 しかしスマートフォンの出現でその勢いは更に加速し、ジャンルによっては売上の60%がスマートフォン経由で占めるまでにもなったのです。これがまさに、PCからスマートフォンにメインデバイスが変化した瞬間でした。

●ユーザーが自ら情報を取りにいく時代

 メインデバイスの変化により、スマートフォンの扱いに慣れたユーザーに行動の変化が現れます。インターネットを利用する際の入り口がsafariやGoogleを始めとするブラウザから、アプリの利用へと変わってきています。

 スマートフォンの利用時間全体に対して、既に85.9%がアプリの利用となっており、そのアプリの利用者数ランキングの中でもLINEやFacebook、Twitterがノミネート。急成長中のサービスには、ニュースアプリのSmartNewsとinstagramが含まれています。

 この流れには、ニュースアプリやSNSを移動時間や空き時間の暇つぶしに利用したり、今起きてる疑問や課題をお互いに共有し共感を得たいという心理が現れています。また、総務省の情報流通インデックスによると、平成13年から平成21年までに情報流通量が約2倍になっているのに対して、情報消費量にはほぼ変化がありませんでした。

 つまり、流通している情報量が消費されている情報量を大きく上回っている。そのため、ユーザーは浴びせられる情報のシャワーの中で、SNSやアプリを利用し、自分達が求めている情報を取捨選択するように変化していきました。ユーザーが自ら情報を取りに行く時代となったのです。

SEOの本質化

 3つ目の環境変化はSEOの本質化、つまり「ユーザーファースト化」についてです。ユーザーファースト時代の象徴となる大きな動きとして、googleのSEOロジック変更があげられます。

 検索は商品購入の意思が強いユーザーの動線であり、ECの店舗様にとっては生命線です。その検索に2011年より、パンダアップデート、ペンギンアップデート、ハミングバードといわれるアップデートが何度も行われており、従来のSEO対策(被リンクの作成、キーワードの埋込み)がペナルティを受けるようになりました。

 その流れにより、検索からユーザーを集客するには、ユーザーのためになるコンテンツが必須条件となりました。これはGoogleが前述のユーザーを取り巻く情報環境を見て手を打ったのではなく、検索利用者が本当に求める情報を届けたいという理想に、テクノロジーが追いついたとも解釈できます。

 まだテスト段階ですが、商品購入を目的とするキーワードで検索した際に、遷移先を持った情報記事コンテンツが、大手ECモールの商品検索一覧のリンクよりも検索上位に表示される結果も出ております。

今後もユーザーファーストのコンテンツが求められる状況は続き、より内容の濃く鮮度のいいものが求めれるようになっていくでしょう。

アドブロックアプリの台頭

 4つ目は、プッシュ型広告のテクノジーの進化がユーザに嫌気されたことによるアドブロックアプリの台頭についてです。

 これまで広告出稿側は、より「今すぐ欲しいお客様」のみへのアプローチを研究してきました。そこで登場したのが、ページの閲覧履歴や趣味や年齢など個人情報を元に配信するターゲティング広告です。

 クリックさせるために、スマートフォンを操作中の指が当たる画面にバナーを表示させたり、1度訪れた通販店舗の商品が他のサイトを見ても表示され続ける状況となり、ユーザーは広告に拒絶感を持つようになりました。

 また同時期に、Youtubeなどの動画サイトやSNSでの動画配信の台頭によってパケット通信料が嵩むようになったことが、ますますユーザを悩ませる結果となり、この2つの悩みを解決できるツールとして注目を集めているのが、アドブロックアプリケーションです。

 アドブロックとはWEBサイト上の広告や一部アフィリエイトを消去する機能で、これによりページの読込みが早くなります。現在アドブロックアプリは有料がメインですが、近年無料のものも出始めています。

 従来の広告手法は効かなくなりつつあり、その「一方的な広告を嫌うユーザー」へのアプローチ手段として、今「コンテンツ」が検討されているのです。

メディアECによって解決できること

以上4つの変化に対しメディアECは、商品を購入したいと思う前の段階でプッシュをして強制的にニーズを喚起するのではなく、まずコンテンツに引き込み、共感や理解を生み自然に商品購入へ結びつけられるのです。

 具体的に前回ご紹介した『MERY』の事例を用いて説明致します。

 “久々男子を狙い撃ち!同窓会メイクで「なんか可愛くなった」をいただきます”というタイトルの記事があります。

 この記事は、10代後半から20代後半の女性が同窓会への参加が決まったタイミング(年末年始や、年度始め)で読んでもらうことを想定した記事です。

 流れとしては以下です。

 まずシーズン前のタイミングで記事タイトルを目にしたユーザーへ、同窓会で久しぶりに会う男子に「可愛い」と言われたい、という願望を起こします。

 次に記事の中で具体的なメイクの方法を提示し、共感を得たそのままの流れで最適なメイク用品への紹介に移るのです。

●メディアECにおけるVRの可能性

 さる5月10日(木)に、私が代表を務める新会社『株式会社KABUKI (カブキ) 』の新サービスとして、インバウンド・越境EC対応メディアECモール『kabukiペディア』のリリース記者会見を行いました。

 その中でVRショッピング機能についても触れ、幸運にもテレビ東京様のワールドビジネスサテライト、モーニングサテライトにも取材頂きました。

【ネタのたね】VRショッピング&観光 「未来型」のECサービス
 http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/nms/netanotane/post_111186/

 私の構想では、ヘッドセットをつけたユーザーが商品購入の検討のために仮想現実の店舗に入っていき商品を見て手で触れるなどの疑似体験を行うことで、共感と理解が更に深まるのではないかと確信しております。

 メディアECとは現代のユーザーのネット環境に沿った未来型ECのベースとなる手法なのです。


著者

大城 浩司 (Koji Ohshiro)

沖縄生まれ。4百億、5千坪のリアル店舗を担当後、2001年に楽天に入社。営業本部長としインテリア雑貨事業などを数千億円の規模に育成後、家電事業の立直し、あす楽・中古事業などの新サービスの創設など楽天市場の発展に貢献。退社後、2014年ICA.incを創立。2016年5月10日、新会社株式会社KABUKI(カブキ)にて出店料無料のメディアecモール『kabukiペディア』を発表。

・kabukiペディア_HP:http://kabukipedir.com/
・QuickMedia_HP: http://quickmedia.jp/