ちゃんと接客できていますか!?

出口 康介

当たり前の話ですが、消費者は「買う!」と決めたらお金を払ってくれます。ということは、「うちのショップはなぜ売れないんだろうか…?」とお悩みの場合は、消費者が「買う!」と決めてくれなかったということです。

では、消費者はなぜ「買う!」と決めてくれなったのでしょうか? 価格やポイントなどといった表面的な問題もありますが、一番の要因は「ちゃんと接客できていないから」ではないでしょうか?

ショップ(通販サイト)は単なる決済の場ではなく、皆さんが『この商品は良いものだからお客様にもおススメしたい』と思って仕入れた(作った)「商品を売る場」です。「商品を売る場」であるということは、やはり「丁寧な接客」が不可欠です。

商品を実際手に取って、見て、感じることのできる実店舗でしたら、ある程度セルフ(並べておくだけ)で売れるかもしれませんが、それができないネット上では、セルフ販売は絶対にNGです。その商品の使い方や用途を提案したり特徴を説明したり、ちゃんと接客することが必要です。

ここで弊社の事例を挙げてご説明しましょう。ちょうどタイムリーなので、「母の日」のケースでご説明します。

最近では母の日にカーネーションだけでなく、「スイーツ」や「化粧品」や「アパレル」など、もらう人(=お母さん)が欲しい物をプレゼントすることが増えています。弊社のクライアント先で実際に起こっていることですが、母の日にフットマッサージなどの家電製品を贈る消費者が急増しています。この健康器具通販ショップ様では、このような時代の変化を上手くとらえて売上を伸ばしておられます。

その際に有効な手法が『用途提案』というやり方です。この手法を使うと、同じAという商品でも、提案するシーンによって様々な見せ方(提案)ができ、購入してもらう機会が増えます。

これまでこのショップ様では『母の日にフットマッサージを提案する』などは考えもしなかったのですが、実際にそのようなケースが増えてきたことに着目して、母の日や父の日というような「特別な日」をピックアップして商品を提案するようになりました。何を提案するかは、過去の販売実績に基づいていくつか商品をピックアップしています。

上記事例のフットマッサージに限らず『●●を前から欲しいと思っていた』ということはよくあることです。それを「特別な日」に具体的に提案することで『前から欲しかった』という潜在ニーズを上手く掘り起こす訳です。そしてこの『用途の提案』に『物語(大好きなお母さんにプレゼントを手渡すシーンをイメージできるストーリー)』を付けるのです。ここで重要な具体的なポイントは次の三点です。

●物語=シーンをイメージできるストーリー
 ⇒離れて暮らすお母さんの疲れた足を優しくマッサージしてくれる●●(←商品名など)

●決断訴求キャッチコピー
 ⇒欲しがっていたマッサージ機を母の日に!
 ⇒一週間で枯れてしまうカーネーションより、お母さんをずっと癒してくれるマッサージ機を贈ってはいかがでしょうか?

●お母さんにプレゼントを贈っているシーンの画像(嬉しそうなもの)

このようなギフトユースの場合、実は価格訴求はあまり関係ありません。それより必要なのは、贈る相手への『想い』や『喜んでくれているシーン』や『贈って良かった(満足)』という気持ちの部分です。

ですので、表現する言葉は『この商品を贈れば喜んでくれる、助かる、嬉しい』というような『気持ちや想い』をダイレクトに表現した内容が良いのです。このストーリーも含め、しっかり接客することが売上アップのポイントになります。


著者

出口 康介 (Koussuke Deguchi )

大手上場コンサルティング会社で7年に渡りメーカー、卸(問屋)、小売業まで、流通の商流全てのコンサルティングに従事。その後、EC総合支援ベンチャーを経て2013年に出口総合コンサルティングを立ち上げる。小手先のテクニックやノウハウではなく、中小・零細企業がWebを活用して永続的に売上アップを実現するための現場実行支援を得意とする。特に、ECショップ支援については、『商品』、『立地』、『客層』を重視して小売業のマーケティング原理・原則に則ったコンサルティングサービスをご提供しています。『ECの売上アップに必要なのは、集客でもデザインでも価格でもない。お客様をセグメントし、お客様が欲しい商品を、力相応に勝てる立地で、お客様の予算に合わせて売れる仕組みを作ることだ』をモットーとしています。

会社URL : http://ide-con.com/
メール : ideguchi@ide-con.com