■『ジャパネットたかた』から学ぶ 通販ビジネス時流適応活性化法

出口 康介

今日は『ジャパネットたかた』から学ぶ通販ビジネスのポイントについて書きます。『ジャパネットたかた』は昨年のビジネス情報番組で『社長退任をかけた勝負の20143年』というような内容の特集を見ていたことと、長崎の小さな町から出た1,000億円企業ということで個人的に注目していました。

皆さんもご存じの有名企業ですが、『ジャパネットたかた』は中高年向けのテレビ通販事業でこの10年で急成長してきた通販会社です。2006年に初めて年商1,000億円を越え、その後2010年のピーク(年商1,759億円)まで順調に成長してきました。

これまでの『ジャパネットたかた』は、

【商品】
中高年が苦手なデジタル家電製品に特化してきた

【売り方】
自社制作のテレビCMと自社特番を使ったテレビ通販に特化してきた

【ターゲット】
中高年層に特化してきた

【商圏(立地)】
ネットでも紙でもなくテレビCMと自社特番に特化してきた

このようなビジネスモデルで2010年まで好調に業績を伸ばしてきました。しかし、2011年(1,531億円)~2012年(1,170億円)にかけて大きく売上を落としました。理由は色々あると思いますが、大きくは次の3点が主因だと思います。

1)デジタル家電製品という買い替え頻度の低い商材を選んでしまったこと
2)商品の総合化をしてこなかったこと
3)テレビ通販に依存し続けてしまったこと

これらの事象を見ると、『今売れていても3年後、5年後はどうなっているか分からない』という解に行きつきます。どのような業種・業態でも時流が進むと『これまでと同じやり方』では通用しなくなっていきます。人が年を取るように、時流の変化を止めることは出来ません。もしそのまま既存事業を維持・大きくし続けようと思うと、

Ⅰ)商品を総合化する
Ⅱ)売り方を変える(増やす)
Ⅲ)ターゲットを変える(増やす)
Ⅳ)商圏を広げる

いずれかの方法を採る、もしくはその組み合わせに着手するしかありません。現に、『ジャパネットたかた』では白物家電や調理家電、ウォーキングシューズなどの品揃え強化を図り(商品の総合化)、CS専門チャンネルやネット販売の強化(売り方と商圏の拡大)に着手することで過去最高益で再浮上しました。もしくは、今のような時代なので、突拍子も無い新規ビジネスを立ち上げるという成功確率の低い多角化よりは、コア事業(強み)を活かした展開を常に模索し続ける必要性を感じずにはいられません。

そうなると、『3年に一度強みを活かした新しい事業の芽を出す』というくらいのスパンで常に新規事業を追い求め続けなければならないように思うのです。勿論そのためには、『常に複数の新規事業構想が走っている』必要があります。

いずれにしても、『今のままの状態でい続ける』ということは不可能に近いということです。『現状維持』でも安泰なのは、『シェア74%以上を獲って圧倒的一番企業の状態』以外にないのです。


著者

出口 康介 (Koussuke Deguchi )

大手上場コンサルティング会社で7年に渡りメーカー、卸(問屋)、小売業まで、流通の商流全てのコンサルティングに従事。その後、EC総合支援ベンチャーを経て2013年に出口総合コンサルティングを立ち上げる。小手先のテクニックやノウハウではなく、中小・零細企業がWebを活用して永続的に売上アップを実現するための現場実行支援を得意とする。特に、ECショップ支援については、『商品』、『立地』、『客層』を重視して小売業のマーケティング原理・原則に則ったコンサルティングサービスをご提供しています。『ECの売上アップに必要なのは、集客でもデザインでも価格でもない。お客様をセグメントし、お客様が欲しい商品を、力相応に勝てる立地で、お客様の予算に合わせて売れる仕組みを作ることだ』をモットーとしています。

会社URL : http://ide-con.com/
メール : ideguchi@ide-con.com