価格競争の仕方
小売業者にとって『価格競争』は永遠の課題といっても過言ではないでしょう。特にEC業界では様々な『価格比較サイト・ツール』が出てきていますので非常に厳しい状況です。
EC事業者、非EC事業者に関わらず、私の顧問先や勉強会の会員さんの間でも常に議題に上がります。ご承知の通り、価格競争が激化する原因は『業界(商品)ライフサイクルが進んでいる』からです。
世の中の多くの業種・業態では『成熟期~展開・安定期』に入っているので、価格競争からは誰も逃れることは出来ません。家電など身近な商品を想像すれば容易に分かることですが、世の中には『同じ品質やスペック』の商品が溢れかえっています。ですから、それがどのような商品か消費者も分かっているので過去の購買経験からおおよその相場(自分が買うとしたらいくら出すか?)が分かってしまいます。
リリース当初は最新機能が付いていたり、コンパクト・スリムだったり、省エネだったりで競合他社の製品と差別化出来ています。しかし、数か月もすれば競合もこぞって同じ機能の製品を『更に安い価格』でリリースしてきます。相手が東南アジアなど人件費の低い国のメーカーだったりするので対抗のしようもありません…。
なので昨今では『差別化しろ!』とか『オリジナリティーを磨け!』というような事が言われていますよね。しかし、ちょっとやそっとの差別化ではたちまち包み込まれてしまいます。そうは言っても、商売を続けて生き残るためには避けて通ることは誰にも出来ません。
では、どうすれば良いか? 答えは『価格競争と上手く付き合う』しかないのです。皆さんの会社(ECショップ)はどのような状況でしょうか?
●自社の商品を全部安くして売っている
⇒小売業界に素人でECを始めた方に多いです。しかしこれでは会社が潰れます。
●低粗利覚悟でやり続けている
⇒体力が有れば問題ないのですがずっと続けるのはシンドイですね…。
●大量仕入れで原価を安くしている
⇒これも資本力が必要だし在庫リスクが高いですね…。
●特定の単品・ジャンルに絞って安く売っている
⇒『集客』や『安さ感の演出』として『目玉商品』的に特定の商品に絞って安くする手法で、多くの方が実践されているのではないでしょうか?
●勝てる単品・ジャンルに絞って安く売っている(競合が弱いジャンルに絞る)
⇒絶対に勝てると勝算のある単品・ジャンルに絞って大量仕入れで原価を安くしているパターンです。これもポピュラーな手法ですね。
●強みを磨いて差別化を図る
⇒これは絶対に必要な取り組みですね。しかし、先述したようにちょっとやそっとの差別化ではすぐに真似されてしまいます。
●世の中に流通していない商品を探す(作る)
⇒これも欠かせないチャレンジです。が、これを継続するのは大変です。オリジナル商品を作る以外に無いように思います…。
私の顧問先でもこれらの手法で運営している企業がたくさんあります。しかし、最近はこれらの手法と併せて次のようなやり方も導入してもらっています(※業種によって対応可能な場合と、そうでない場合があります)。
●本体を安く売って付属品(備品)で利益を出す
●セット商品化する(個別商品での価格を見えなくする)
●修理・修繕や保守・メンテナンスで利益を出す
●今までに無いスペックにする(大きくする/小さくする、長くする/短くするなど)
●勝てる商品に限定してオリジナル商品を作る
●接客力(人間力)や梱包の仕方や同梱物や短納期化などサービス面を磨く
●ロングテイル商品はあえて高くする
●『送料無料』や『ポイント付与』の価値をもっと伝える
先述しましたが、価格競争からは大企業を含め誰も逃れることは出来ません。『価格競争と上手く付き合う』ためには『過去の購買経験から相場が分かってしまう』状況から脱する必要があるのです。