EC業界News1週間まとめ〜楽天2016第2四半期決算、ヤマト決算発表、AI接客の浸透
EC業界News7/31〜8/6、ギュギュッとまとめました
こんにちは。メディア編集部の石郷です。
ふと、休日に目にしたのが、小学生の落書きのような手書きでした。
東京・渋谷のヒカリエで開催の「ドラゴンクエストミュージアム」で見た資料。
「壁」とか「人」とか書かれたお世辞にも綺麗とは言えないその地図は、やがてゲームになり、
そして、そのゲームは社会現象を起こし、30年愛され続けるものになりました。
ビジネスって可能性を信じることなのかなと。新たなことを切り開く自信と勇気とともに。
さて、余談はさておき、今週、よく読まれたのは、下記の記事になります!
【速報】楽天 2016年度第2四半期決算発表
https://ecnomikata.com/ecnews/10433/
Yahoo!しか出来ない快進撃、EC業界全体を天下統一?
https://ecnomikata.com/ecnews/10387/
【第六回】ヨナーイ佐々木のEC内緒話~どん底から這い上がった男の成功運営ノウハウ
https://ecnomikata.com/column/10330/
ヤマトホールディングス、平成29年3月期 第1四半期決算発表
https://ecnomikata.com/ecnews/10352/
【まとめてみた】日本郵便のゆうパケット、新料金表
https://ecnomikata.com/ecnews/10376/
「うちでのこづち」と「リピスト/PRECS」が提携! LTV向上・CRM強化を狙う!
https://ecnomikata.com/ecnews/10446/
楽天2016年第二四半期決算発表〜売上収益3689億円で11.1%増
楽天の2016年第2四半期の連結業績は、売上収益3689億500万円(前年期同四半期11.1%増)、営業利益487億8400万円(前年期同四半期-11.8%)、税引前利益471億2100万円(前年期同四半期-12.9%)、四半期利益265億4900万円(前年期同四半期-4.2%)、四半期包括利益合計額443億2400万円となる。
今回の業績のハイライトとしては、Non-GAAP営業利益(ノンキャッシュアイテムを除いた、過去との連続性を重視した営業利益)が、前年同期比 +2.5%と伸びています。楽天カードは、営業利益は前年同期比+26.4%と堅調に成長している他、楽天銀行は「マイナス金利」環境下においても好調な成長を維持しています。国内EC流通総額は、前年同期比+10.9%で、その他海外含め、インターネットサービスは、 前年同期比で損失が半減しています。
ここで強調されていたのは、スーパーポイントアッププログラムです。キャンペーンとは違って、ある一定期間お得というわけではなく、楽天カード利用で、4倍ポイント、楽天市場アプリでの購入で5倍と言った具合に、条件を満たせば、時期に関係なく、買い物がお得になるプログラムのことを言います。それにより、お客様はその条件を活用することになりますから、楽天での買い物を優先するようになります。
現にその効果は、どのように現れてきているかというと、新規顧客の獲得や、休眠顧客を復活させるといった点での効果がでており、それもあってか、ECの流通総額+10.9と伸びています。ここでの流通総額というのは、楽天市場で買うことのほか、ID決済などで楽天ポイントを活用する場合も含まれてきますので、あらゆる場面で、このプログラムが、楽天グループのメリットをお客様に感じてもらうきっかけになっているわけです。だから、今度は、この流通総額を増やすために、楽天は、楽天ID決済などのように、日常の中で、もっと楽天との関わりが生まれる場面を増やしていくことになりそうです。そう考えると、楽天Musicなど、ライフスタイル全般に浸透していく意味も見えてくるように思います。
楽天の言う「vision2020」でSPUの果たす役割
思えば、楽天は、ここ最近、「vision2020」という方針を打ち出していますが、これは必要なものに投資をし、必要でないと判断したものは縮小していこうというものです。その中にあって、このスーパーポイントアッププログラムは積極的に注力すべきことと位置付けていて、それは上記のように、楽天のビジネスの根幹を支えるものだからなのです。単純に、セール時のポイント還元とはちょっと意味合いが違う点に配慮する必要があると思います。
楽天としては、市場は大事です。が、そこだけにこだわることなく、例えば、アプリでの利便性を向上させ、アプリを使えばプッシュ通知での告知で、お客様との接点を増やし、購入のきっかけを作れるでしょう。また、楽天カードを使う機会が増やすことで、楽天市場での収益以外でも得られるものがあるでしょう。最終的にはそれらが、循環すれば、経営を安定させる基盤になるというわけで、これらを全て循環させるために、スーパーポイントアッププログラムの浸透につながっていくわけです。言ってみれば、楽天の事業の“血管”なのでしょう。
よく最近、楽天は金融に力を入れているという声も少なからずショップからは聞かれますが、とはいえ、上記のことから考えれば、楽天市場という場があってこその金融なのであり、むしろ、ショッピングモールというよりは、楽天は総合的なサービスプラットフォームとして形を変えつつあるということなのではないでしょうか。これをもってして、事業を安定化させ、新たな市場にも着実に投資していこうということなのだと思います。別に、楽天をフォローするつもりはありませんが、でも、派手さはなくても、これはこれで、一つの企業の堅実な成長のあり方として、ありなのではないかなと思います。
うちでのこづちとリピスト連携に見る、リピート通販の重要性
その他のニュースでは、ここ最近特に、接客の重要性が増していますが、それが会社を超えた連携につながっているのもチラホラ見られます。例えば、「うちでのこづち」と「リピスト/PRECS」が提携のニュースがありました。これも当然と言えば当然で、リピストはリピート通販が生まれやすいように構築された“売り場”なんですね。売り場があっても、ちゃんとした“店員さん”がいなければ、そもそもきてくれたお客様がリピートしないわけで、「あー来てよかった!また来たい」と思わせるのが、「うちでのこづち」なわけです。だから、両社が連携することで、その店がやろうとしていることが最大化できるようになるわけです。非常に相性の良い連携だと思います。
以前は、出せば売れるという時代もあった中で、それであれば、とにかく売れそうな商品を仕入れて売れば、それでよかったのかもしれませんが、それで疲弊して、なにより長期的な視点で見ていない店舗も少なからずあったのも事実です。一人のお客様を長く、愛して買っていただくようにすることは、とても大事なことであり、この両社の提携のきっかけを通して、今こそ、自分たちの戦略を考え、何を誰に対して、どう売っていくのかという部分について考えてみるのも良いかもしれません。
リアルに負けない接客は?そしてヤマトの経営戦略、教えちゃいます。それは次のページで
Veとsocketも連携して、お客様を購入へ力強く後押し
接客という意味では、Veとsocketも面白い。以前、メガネスーパーの川添さんが、実店舗も見た上で、店員がお客様に投げかける「何かお探しのものはございますか?」の言葉に敵うものはないといっていたことがありました。だからこそ、どうやってそのリアルな世界に匹敵するようなお客様との向き合い方ができるかは、これからのECを考える上で重要なことだと思います。
その中で、サイト内接客に強みを持つのが「Flipdesk」であり、ここでお客様の気持ちに即した接客をし、その気持ちを購入の際の離脱防止に強みを持つ「VePlatform」が連携することで、確実にお客様の気持ちを購入まで離さないということなんですね。まるで、駅伝の襷のように大事につないで、購入に導くわけです。そのくらい、人は繊細なのだと思うし、そこまで配慮してこそ、お店に対してのファンができるのだと思います。
最近では、Emotion intelligenceの「Interest Widget(インタレストウィジェット)」が提供され、お客様の動きを機会学習 AIで学ばせて、属性に頼ることなくデータを出して、何に関心を強く持ったのかという技術を応用しています。Interest Widgetは、AI的なところをレコメンド的に、過去これに興味持ってましたよ!と指し示す機能なんです。お客様との向き合い方が、多様化しているだけに、店の個性に合わせて、いろいろ考えてみたいところではあります。
ヤマトの決算も営業収益 前年同期比3.9%増。ECとの連携で光
さて、ヤマトHDも決算発表を行いました。それによれば、平成29年3月期 第1四半期は、営業収益3418億7600万円(前年同期比3.9%増)、営業利益74億3300万円(前年同期比80.0%増)、経常利益76億6600万円(前年同期比60.7%増)、四半期純利益36億6100万円(前年同期比91.8%増)となりました。
ヤマトHDの発表によれば、景気長期経営計画 「DAN-TOTSU経営計画2019」および中期経営計画「DAN-TOTSU3か年計画 STEP」の達成に向けて、高品質で効率的な物流ネットワークの構築、また、グループの経営資源の融合による高付加価値モデルの創出に取り組みました、とあります。
これまでの発表を調べてみると「DAN-TOTSU経営計画2019」というのが経営の根底にあるようです。これが、2019年までHOP、STEP、JUMPの三つのフェーズに分けて、経営計画を立てるというもの。厚木ゲートウェイ・羽田クロノゲートの竣工、沖縄国際物流ハブを活用した国際小口輸配送ネットワークの拡充など、事業基盤やネットワークの強化を図ること。そして、今は、STEPのフェーズまで来ていて、次なるステージとして、ネットワークを強化するとともに、シームレスに連携していくことなどをあげていて、価値を高める動きをしています。インフラの業態でありながら、常に挑戦し、変化していこうとする姿勢がうかがえます。
これは、決算の中でも上げていますが、デリバリー事業においては、「宅急便コンパクト」、「ネコポス」の利用窓口拡大に取り組んだことに加え、通販事業者への拡販を進めたことで、取扱数量が増加し、収益が好調に推移したのは、こうした変わることのない「変革の姿勢」にあるからだと思います。
CtoC市場にもいち早く、顧客の利便性を高めるために、らくらくメルカリ便を変化させ、集荷に来てくれるなど、これが直接、関連事業の発展に大きく寄与しているのは、EC業界にとっても明るい話だ。DAN-TOTSU経営計画から、派生する細かな施策は、EC業界にもプラスに寄与するものと考えられ、注目したいところです。
というわけで、いろいろなニュースがありましたが、今日はこの辺で。
どうか笑顔溢れる素敵な一週間でありますように。