iPhone7がECも変える理由〜BASEやminneはApplePay対応表明

石郷“145”マナブ

Appleが起こすECへの変化

 本日、Appleは新しいiPhone「iPhone7」を発表した。これはEC業界に少なからず与える影響があると思われていて、その最たる理由は、ApplePayが搭載されるからだ。

 ApplePay?そう思われた人も多いだろう。簡単に言うと、ApplePayでクレジットカードを設定すれば、QUICPayまたはiDに割り当てられ、日本全国の店で支払いができるようになるのだ。実店舗にあるカードリーダーに、touchIDに指を乗せて、かざすだけで、ピッ!決済完了である。主要のクレジットカード発行会社と連携しているので、ポイントなどのメリットもこれまでのクレジットカードと変わらなく使える。

iPhoneがSuica代わりに使える

 どういうことか?新しい決済手段として、手持ちのiPhoneが使われるということなのだ。クレジットカードを使うことなくiPhoneさえあれば。果たしてそれだけで浸透するのか、という声が聞こえてきてもおかしくないが、ここで大きいのがSuicaの搭載だ。

 手持ちのSuicaをiPhone7にかざせば、定期券、チャージ金額の情報は転送され、その後、そのiPhone7自体がSuicaとして、タッチ&ゴーすれば、改札も通れるようになる。しかも、このApplePayで登録されたクレジットカードから、Suicaにチャージできてしまう。これだけ利便性に一役買えば、それがたちまち広がる可能性もある。何気なく日常で、“お金を払う行動=iPhoneを使う”が浸透し、iPhoneが決済方法の当たり前となれば、ネット通販でも、このApplePayを決済手段として使う日が来たとしても、何らおかしなことはない。

 では、EC側はどんな動きをしているのだろう。早速、BASEはiPhone上にあるBASEのショップで、ApplePayが使えるとした。その数は20万店舗だ。

ECの購入シーンがApplePayでなぜ変わる?

ECの購入シーンがApplePayでなぜ変わる?

 例えば、 BASEで商品を購入したとして、その際に、わざわざクレジットカードの情報を入れることなく、iPhoneのtouchIDを使うだけでいい。つまり、ホームボタンに自分の指を置くだけで、決済が完了するということなのだ。

 特に、会員登録していない店舗においてはクレジットカードの情報入力が障害となるわけだが、自分の指紋を自らのiPhoneに認証させるだけで、購入できてしまうのであれば、その障害が一気になくなり、購入率は高くなる。

 BASEだけではない。多くのハンドメイド作家を販売主に持つGMOペパボのminneもApplePayに対応させることを発表した。

 BASEやminneがいち早く動くのもうなづける。なぜなら、まだ日の目を見ていないものの、才能があり、可能性を持ったクリエイターがここには続々生まれる環境があり、そこに光をあて、新たなビジネスチャンスを与えようとする姿勢があるからなのだ。

直感的に、スリリングにECを楽しむ。傍らにはiPhoneを。

 思うに、日本のネット通販においては、なぜか会員登録をすることが当たり前になっているが、商品を購入することは、そればかりではないように思うのだ。生まれたばかりの斬新な商品を、新進気鋭といわれるようなまだ名もないショップで、直感的に心に響いて、衝動的に購入するというショッピングがあってもおかしくないはずだし、それができたとすれば、ECがどれだけスリリングな体験となると言えるだろうか。

 浸透するかはわからない。だが、それがECの新しい一面を引き出し、人々を新たな興奮と、好奇心を引き出すものであるとしたら、それに期待をしたいのだ。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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