EC業界News1週間まとめ〜Amazon dashボタンで広がるIoT/DeNA騒動のポイント/ヤフー勢いの理由

石郷“145”マナブ

12月4日〜12月10日までのEC業界Newsをギュギュっとまとめました

こんにちは。メディア編集部の石郷です。
今週読まれた記事はこちら。
「Amazon Dash Button」発売!ボタンを押すだけ注文完了
https://www.ecnomikata.com/ecnews/12541/
速報 DeNAがキュレーションの緊急会見 MERYも非公開に
https://www.ecnomikata.com/ecnews/12591/
【直前】楽天スーパーSALE!準備でお得にショッピング
https://www.ecnomikata.com/ecnews/12492/
ヤフーの展望は?メディア懇親会後、執行役員小澤氏に直撃
https://www.ecnomikata.com/ecnews/12615/
女性が選ぶクリスマスプレゼント、人気商品と予算は?【(株)アイ・ディ・アクセス調べ】
https://www.ecnomikata.com/ecnews/12560/

Amazon Dash ButtonにIOTを想う。生活を変える第一歩

Amazon Dash ButtonにIOTを想う。生活を変える第一歩

 今週のニュースは、まずはAmazon Dash Buttonですね。皆、興味深く受け止めているのか、EC関連の企業の多くは、早速もう手に入れたというような声も多く聞かれました。ちなみに、価格は500円だが、500円分は初回注文で差し引かれるので、実質ゼロ円といっていいだろう。

 これは、手のひらに乗るほどの小さなボタンで、近くにあるWifi経由でネット接続をするようになっており、それによって、ボタンを押すだけで、日用品を注文できるというわけだ。例えば、冷蔵庫の横に、ボタンを貼っておき、例えば、水がなくなれば、そのボタンを押して注文するというわけだ。

 感心したのが、顧客満足度に繋がるよう、Amazon Dash Replenishmentというサービスも並行して開始しています。つまり、このサービスは、メーカーの作る機械の中に、Amazon Dashと同様の機能を入れるというものです。各社のインターネット対応機器とAmazonのクラウドサービスをつなぎ、その機器で消費される商品がなくなりかけると、Amazon経由でその商品が自動的に再注文される仕組みになっています。

 しかも、メーカーが予め、ソフト開発の際、いちから全てを作ることなく、APIを利用して、もともとあるプログラムを呼び出し、その機能を組み込んだソフトを開発することができる環境をすでに構築しているので、容易に取り入れられるというわけです。要するに、商品と身近なモノがAmazonを介して、つながるというイメージです。そこには、Amazonの物流力が背景にあるからこそ、であって、今までやってきたことが着実に生かされています。

 これは、思うに、着実に、IOT(Internet of Thing)」を使った環境ができつつあるを感じさせるニュースです。IOTは、何気ないモノがただ存在するだけでなく、ネット環境と緊密に接続することで、生活に便利さや快適さをもたらしてくれるもので、ライフスタイルに大きな変革をもたらすものだと思っています。

 洗濯機の横に柔軟剤のAmazon Dash Buttonがあれば、押すだけでネットに接続し、注文ができるし、リビングに行ってAppleTVがあれば、身近なテレビが大きなインターネットデバイスになって、動画配信コンテンツなどを、大迫力で見ることだってできます。おそらく、これからは、部屋の鍵を閉めたり、電気をつけたりするのも、インターネットを介して行われて、生活スタイルが一変することでしょう。ネットに接続するということは、間違いなく、ECの関わりも身近になるということであり、こうした変化は我々EC業界にとっても遠い話ではないように思うのです。

 ちなみに、先日、ソフトバンクグループの孫正義社長がARMという会社を3.3兆円も出して買収しました。ARMという会社はまさに、IOTを実現させる上で必要な半導体を生産するメーカーであり、この半導体が次の時代に必ず生きてくるだろうと予測しての事だと思われ、そのIOT時代の到来をその事実が裏付けしてくれているように思います。どれだけ、その現実をリアリティをもって受け止められるか、が大事なのではないでしょうか。

DeNAのキュレーション騒動に見る企業の危機管理能力

DeNAのキュレーション騒動に見る企業の危機管理能力

 さて、続いて、DeNAが緊急に記者会見をしたことが話題になりました。EC業界にとっても、いかにシーン提案ができるかという部分において、キュレーションメディアは大きな役割を果たしうるものだと思っています。ただ、リスクヘッジが不足していた。問題点に関しては先週のまとめでも書いたので、今週発表でわかったところに絞ります。

 今回の発表では、DeNAのキュレーションサイト9サイトの全記事を非公開にして、この理由として、「WELQ(ウェルク)」と同じ編集方針、組織体制であったことをあげましたが、実際には、MERYに関しても、違う組織体制でありながら、問題がわかり、全記事の非公開となりました、という話になります。例えば、MERYでも、美容健康に関して問題となる540ワードを抽出し、例えば、ダイエット、効果、抜群、などが詳細説明、タイトルに含まれるものを調べたところ、その記事の数は8万件といった具合に、突き詰めて検討した結果、全体の8割強に何らかの配慮が不足しているとの結論にいたり、全非公開となった事実を重く受け止め、全記事の非公開となったわけです。

 ここまでくると、社内体制、風土も問われてしまい、その中で、代表取締役社長兼CEO 守安功氏の言葉が印象的でした。「2012年以降、事業として伸び悩み始めていました。ゲーム事業を立て直しとともに、新規事業に取り組んできた。ただ、期待通りに成長できなかった中で、メルカリ、スマートニュースなどが成長していたのを横目で見ながら、どうやって成長していくかを常に考えていました。その中で、キュレーション系の勢いを見て、そこを買収したわけです。キュレーション企業にはスタートアップの良さがあったので、それをなるべく失いたくないというのと、上場企業として姿勢とで、揺れていた。本来、そこでのバランスをとらなければならなかった。」と。

 勢いで進んでしまうと、チェック体制が完備されないまま、成長して無秩序に拡大して、社会的責任が重くなって、結果、取り返しがつかなくなるということをこのことが示しています。これは、どの企業でも他人事ではないように思います。特に、ネット企業においては、急速な拡大もあり得る話で、たとえ、どの段階においても、そのチェック体制の完備が重要なのではないかと思います。

ヤフーの小澤さんの話で見える!綿密に考えられたY! ショッピングの未来

ヤフーは、ストアと施策を通して向き合うことで、成長するストアを応援する

ヤフーは、ストアと施策を通して向き合うことで、成長するストアを応援する

 さて、最後に、Yahoo!ショッピングの話になります。メディア懇親会に潜入し、執行役員でショッピングカンパニー長の小澤隆生さんとお話しさせていただく機会があり、すごく非常に勢いを感じました。きちんとショッピングの中での施策を考えることで、店舗に未来を提示しながら、気持ちを惹きつけ、結果を検証して、次に繋げているという印象を受けます。

 何気なく、「出店するストアの数も、45万店舗となると、店舗とのコミュニケーションが不足しませんか」という話をさせていただいたところ、「実際、そこまで増えれば、全てに同じように接するのは無理があります。でも、例えば、ヤフー自体が、プレミアム会員が確実に購入してくれる環境を作るなど、多くの施策を平等に提供させていただいて、意欲ある店舗にはメリットが得られる環境を提示しています。平等に全店舗にとって頑張れば、ちゃんと成功できるよという場を提供することのが大事」と。

 つまり、ヤフーとしての立場を把握した上で、その時々で戦略を打ち出し、そこに沿った形で、全店舗にとってメリットある施策を打ち、あとは、それを活用するかしないかは、店舗次第。売上高を見ると、そこにプレミアム会員が占める取扱い高の割合が6割を占めてきたから、広告のメリットを店舗が感じるわけです。なぜなら、リピーターになる可能性が高くなれば、LTVだって高くなる。また、売り上げが伸びない店舗には、力を入れる時期を「5のつく日」を用意することで、ヤマ場を普段から作れるように配慮している。

 すごく小澤さんの話を聞いて納得できたし、この説得力と、ちゃんとお店のことを考えていることが伝わってくるその姿勢が、今の勢いにつながっているのかなと思いました。

 さて、今週はこの辺で。
また、来週お会いしましょう。
笑顔あふれる素敵な一週間でありますように。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

石郷“145”マナブ の執筆記事