【意識調査】宅配便の再配達問題に思うECの未来と当事者意識(株式会社プラネット調べ)

ECのミカタ編集部

 株式会社プラネット(所在地:東京都港区)は、日用品にまつわるトピックスを配信している『Fromプラネット』の第61号として、宅配便に関する意識調査の結果を発表した。その内容が興味深かったので、ご紹介しておく。EC事業者はもちろん、宅配便を利用する方にはぜひ目を通していただきたい。

「あなたはどんなときに宅配便を利用しますか」

「あなたはどんなときに宅配便を利用しますか」

 始めに、どんなときに宅配便を利用するかという質問。すると、やはり最も多かったのは「インターネット・通信販売で購入したとき」で、87.1%と圧倒的であったという。

 性年代別で最も高かったのは女性の50代で、なんと91.9%。男性では40代〜60代で、女性では30代〜60代で85%を超えており、ネット通販を特に利用している年齢層であることが伺える。時間を選ばず好きな時間に買い物ができ、ほしい物を検索できるため探す手間を省ける利便性が、仕事でも家庭でも忙しく時間に追われる年代の需要に応えているのかもしれない。

 一方で、「宅配便は使わない」が、男性の20代と30代で特に高く15%を超えていた。男性の20代と30代は、他の性年代に比べて数値の低い項目が目立ち、宅配便を利用する機会が少ない年齢層と言えそうだ。

「あなたはインターネット・通信販売を利用する際、宅配にかかっている労力やコスト(距離、再配達)を意識していますか」

「あなたはインターネット・通信販売を利用する際、宅配にかかっている労力やコスト(距離、再配達)を意識していますか」

 宅配便の荷物量の増加に影響していると言われているネット通販。そこで、配送にかかるコストを意識しているかどうかを聞いてみた。すると、「意識している」と答えた人は64.3%、「意識していない」と答えた人は35.7%。「意識している」人のほうが多いものの、3人に1人以上は「意識していない」と答えた。男女別に見ると、「意識していない」が男性では61.9%に対し、女性では67.9%となった。

 年代別に見ると、おおむね年代が高くなるほど「意識している」割合が高くなる傾向が見られた。男性では70代以上で71.9%と最も高く、女性では60代と70代以上で8割を超えている。これに対して、女性では30代で60.7%と最も低く、男性では30代で48.9%と5割を切った。

 若年層ほど、宅配便のコストをあまり意識せずにネット通販を利用する傾向があることが伺える。宅配便のなかった不便な時代を知る年代の人ほど、ネット通販の便利さ、宅配便のありがたみが身に染みて感じられるのかもしれない。

「不在で荷物を受け取れなかった際の理由を教えてください」

「不在で荷物を受け取れなかった際の理由を教えてください」

 不在で宅配便を受け取れなかった理由を尋ねたところ、1位は「荷物の配達を知らなかった」54.0%、2位は「時間指定ができなかった」34.3%、3位は「配達方法・時間の指定ができなかった」23.6%。上位は、“いつ届くかわからなかった”という理由が占めていた。

 性年代別に見ると、女性の20代から50代で特に「時間指定ができなかった」と回答した人の割合が高く、特に30代女性で47.8%と最も高くなっていた。30代女性は30代男性とともに、6位の「残業や急な予定で、指定時間に帰宅できなかった」の項目でも他の年代に比べて数値が高くなっているという。

 反対に、女性の60代・70代以上と男性の70代以上では「時間指定ができなかった」の数値が低くなっていた。高齢層の人は在宅率が高く、時間指定サービスを利用している人はそれほど多くないと考えられる。

ECの未来のために持っておきたい当事者意識

ECの未来のために持っておきたい当事者意識

 ネットショッピングの利点は、24時間いつでも買い物できること、また実店舗で見つからない商品や近くの店では手に入らないものを買えること。であると思うが、配送とセットになっているからこそECは成り立っているという点を忘れてはならない。

 旅行・帰省・出張時の手荷物やお土産の発送、米や飲料といった重いものやかさばる商品も、宅配便は自宅まで届けてくれる。体力のない高齢者や乳幼児を抱えた母親、不便な地域に住む人など、そのメリットを享受している方は多いだろう。

 身近になった宅配便であるからこそ、単なる「値上げ」という策で対応することに寂しさを覚える。コストが上がればネットショッピングの機会損失も起こるだろう。ユーザー負担も増える。もはや配送業者だけの問題ではない。ユーザーもEC業者も配送業者も、各々が問題意識にしっかりと目を向けて、解決していかなければECの未来は霞んでしまうだろう。

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