ユーザー数は2ヶ月で倍増!WeChatの新施策「ミニプログラム」が今熱い

利根川 舞

株式会社bolome 代表取締役 水野裕哉氏 株式会社bolome 代表取締役 水野裕哉氏

中国でのECといえば、”ライブコマース”のイメージが根強い。しかし、中国でもはやインフラ化しているWeChat(微信)は次のステージへ移っているようだ。ライブ動画型の越境ECアプリ『bolome』を運営する株式会社bolomeの代表取締役 水野裕哉氏に、今WeChatが注力する「ミニプログラム」についてお話しを伺った。

WeChatが今注力する「ミニプログラム」とは?

 WeChat(微信)はメッセンジャーアプリとして登場し、その後決済機能WeChat Payが搭載されました。そして、3つ目の軸としてテンセントが今着手しているのが「ミニプログラム」です。

 このミニプログラムとはWeChat上で動くアプリケーションのことで、日常的に利用する中国版Uber「滴滴出行」やデリバリー、銀行、ゲームアプリ等のアプリが約58万登録されています。ファストフードのミニプログラムであれば、並んでいるうちにミニプログラムで注文し、商品を受け取れますし、銀行であれば窓口に並ばずに予約をすることができます。

 今年1月にはミニプログラムのユーザー数は4億人を突破しました。面白いのが、実は2017年11月時点ではユーザー数は2億人だったので、たった2ヶ月で倍増になっているのです。WeChatの月間アクティブユーザーは9.5億人ですから、まだまだ伸び代があるということです。

 ではなぜユーザー数が激増したのかというと、まずはテンセント社が注力し始めたから、というのはもちろんのことですが12月のアップデートでWeChat内のミニプログラムへの導線が大幅に強化されたことが影響しています。現在テンセント社はWeChatミニプログラムを一覧化したダウンロードサービスの提供は行っておりませんが、今年にはApple社の「App Store」のような「ミニプログラムストア」がWeChat内に登場するのではないかと予想しています。ミニプログラムはWeChatに組み込まれダウンロードもインストールも必要がないため、すべてのサービスをWeChat一つのアプリから必要な時にだけ使える世界を実現しようとしています。WeChatはスマートフォンのホーム画面と同様な立ち位置を目指しているのではないでしょうか。

ユーザー数が着々と増える「ミニプログラム」どのように活用すべきなのか

 もちろん、ミニプログラムの中にはEC系のミニプログラムも増えているのですが、個店でミニプログラムを作成する場合、サービス設計が肝になります。現在はWeChat公式の「ミニプログラムストア」が提供されていないため、ユーザーがミニプログラムを知るきっかけとしては、WeChatの公式アカウントからが25%、友人のシェアからが23%と言われていますから、いかに公式アカウントやシェアで知ってもらうかが課題なのです。

 公式アカウントと言っても2つの種類があります。1つ目がサービスアカウントです。これはLINEの公式アカウントと同じような形式です。2つ目は購読アカウント(サブスクリプション)アカウントで、RSS的な仕組みで1日1回ブログ的な記事を配信できるものです。

 現在、7億人以上のユーザーがWeChatの公式アカウントを利用していると言われており、中国のテレビ局上位30社、新聞社上位100社は全社がこの購読アカウントを持っているほどです。テンセント社はミニプログラムと同様公式アカウントにも力を入れているというのもありますが、中国の広告市場ではモバイル広告のシェアが大きいため、広告の投下先としてもモバイルが、そしてユーザー数の多いWeChatが選ばれているというわけです。 

WeChatのKOLは「かわいい・キレイ」で終わらない

 もちろん、公式アカウントでも日本でいうインフルエンサー、KOL(Key Opinion Leader)が活躍し、ビジネスをしています。中国版Twitterと言われるWeibo(微博)でのKOLはどちらかといえば見た目が重視されていますが、WeChatの購読アカウントではブログを書くようなものですから、より商品の特徴を伝えられる企画力、見せ方、文章力と、求められる能力が異なっています。Weiboとは情報の重みが違うため、メーカーとしても非常に魅力的で、KOLを使ったプロモーションが増えています。

 日本国内のメーカー様もKOLを使ったプロモーションをしたいという声は多いのですが、実はKOLが仕事を受けてくれない案件も増えているのです。というのも、企画力や文章力があるとはいえ、よほどの特徴やストーリーが無いとKOLも商品の魅力を伝えにくいのです。

 また、今までのような1本の記事に○○万、というようなビジネスモデルですと、1日に1回しか配信できない購読アカウントでは、収益に限界が来てしまうわけです。

 こうした日本のメーカー側とKOLの問題を解決すべく、ミニプログラム、公式アカウント2種を掛け合わせ、中国の消費者にアプローチできる『WeStock』というサービスを昨年12月にβ版をリリースしました。

広告費を掛けずにプロモーションが可能に

 弊社ではもともと『bolome』というライブ中継に特化した越境ECアプリを運営しています。しかし、所謂"爆買い"商品ばかりが売れてしまったり、ライブ配信は刹那的なものであり、且つアプリのサービスですので、『bolome』内のユーザーへの訴求力は非常に高いですが、『bolome』の外部には広がりにくいという課題を持っていました。そういった経験も踏まえて『WeStock』を運用しています。

 『WeStock』は広告費の代わりにKOLにプロモーションして欲しい商品をご提供いただきます。その後、弊社が抱えるKOLに声を掛け、購読アカウントで情報配信をしてもらうのです。そして購読アカウントの記事から各KOLのミニプログラム上のECサイトへと誘導し、購入につなげることが可能で、KOLによる情報配信から商品購入までが、WeChat上でシームレスに完結できるのも強みです。KOLのECサイトのミニプログラムは弊社が自社開発したASPサービスを利用しており、システム提供のみならず、商品のMD、在庫管理、入出庫管理、日中輸出入の通関業務、商品配送、CS、販売促進のキャンペーン運用まで、ECサイト運営に必要な全てのサービスをKOLに提供しています。

 KOLとしては商品が売れれば、弊社からレベニューシェアを支払います。また、『bolome』がこれまで培ってきた日本・韓国の商品を越境方式で中国に届けるサプライチェーンを活かし、日韓1万SKU以上の商品のドロップシッピングサービスもKOLに提供しています。KOLは自分で商品を仕入れることなく多くの商品を販売できますし、それらの商品がメーカー様から直接調達していますから、正規品であることは100%保証できます。つまりKOLは『WeStock』でECサイトを開設すれば、今日からすぐにでもミニプログラム上で日韓の爆買商品を取り揃えた越境ECショップをスタートすることが可能になります。

 一方でメーカー様にとっても広告費を掛けずにプロモーションができますし、プロモーションの場と売り場が一緒であるため、購入にも繋がりやすくもあります。また、ミニプログラム経由のため、WeChatに登録されている顧客情報も手に入り、マーケティングの場としても活用できるのです。そして何よりも大きいのが、弊社が代理運営していることにより、価格の統制が可能になります。中国の販売チャネルでは価格統制が難しいのですが、KOLには価格決定権がないため、値崩れしません。

 現在、『WeStock』では独占契約した80名のKOLを抱えており、そのKOLフォロワー数はトータルで3800万フォロワーにも上ります。今はフォロワー数の多いKOLと優先的に独占契約していますが、そのKOLに影響を受けたKOLが日々問い合わせをしてくれる、というような好循環ができていますから、今年の6月までにはトータルで1億人、2018年度末までには1.8億人にまで増やしていく予定です。

 冒頭でもお話ししたように、ミニプログラムのユーザーはまだまだ4億人ですから、WeChat上でさらに導線が強化され、公式の「ミニプログラムショップ」もスタートすればさらなる集客は見込めるでしょう。弊社でも、中国でのプロモーションをお考えのメーカー様とのタイアップを増やし、日本の商品を発信していきたいと思います。

記者プロフィール

利根川 舞

メディア編集部所属
ロックが好きで週末はライブハウスやフェス会場に出現します。
一番好きなバンドはACIDMAN、一番好きなフェスは京都大作戦。

ECを活用した地方創生に注目しています!
ECに関わる素敵なサービス、面白いものを伝えられればと思います。

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