日々難しくなる新規顧客の獲得、リピート顧客が店舗を救う

ECのミカタ編集部

新商品を作る事も、仕入れる事も大事ですが、勝ち組の多くはそれと同時に、買ってくれたお客様のことを他の店舗よりも多く考えています。購入者の分析とそこへの仕掛けもできる時代になった今、それこそがECの強みとなって、店舗を力強く成長へと導きます。リピートに繋がる一歩をこの特集では取り上げます。

”関係構築”に重きを置いたECの重要性

これまでネット通販においては新規獲得こそが全てだという雰囲気が確かにありました。しかし、刻々と時代は移り変わり、既存顧客の重要度が年々増しています。

理由の一つに、新規獲得が難しくなってきたという当たり前の現実があります。これは、多くの人がネット通販を使うようになり、EC市場の成長とともに増え続けていた新規の利用者が以前ほどいなくなっているからです。

新規顧客を得ることに労力をかけるならば、既存顧客のケアを徹底したほうがいいという店舗も多くなりました。何度も買っていただく関係性が築ければ、売れる数の予測もしやすく、事業計画も立てやすくなります。それゆえ、店舗は一度購入してくれた休眠顧客を掘り起こしてまで、継続へと導くための施策を取るところが多く見受けられます。

関係性を築ける手段も増加

また、スマートフォンの台頭やテクノロジーの進化に伴い、ネット通販が人々の生活に浸透し、密着することで、顧客一人一人の情報を収集しやすくなりました。それを統合して活用できるツールも開発され、それらのデータは顧客の人物像を浮かび上がらせる事も可能になりました。

店側もあれこれ想いをめぐらせ、品揃えに反映できたり、既存顧客が教えてくれる情報に気づきを得る機会も増加しました。気持ちが通い合う既存顧客との関係性ができるようになり、直接のアクションに深い意味をもたらせるようになりました。よりリアルに近づいて潜在的な顧客の購買を触発することも可能になるだけでなく、顧客満足度を向上させて、信用を生み出せば、一度は躊躇した顧客すらも「この店なら」と背中を押され買うことになるでしょう。

店側で準備できる事も

また、ネットでの表現の幅が広がったことで、店としての見せ方も多様化しました。お客様のニーズを自分たちの店舗に取り込みやすくなり、自分たちにふさわしい表現のあり方を模索することができるようになれば、その店への長い愛着を深める要素にもなります。最近ではABテストを行うことで、その精度を確かめ、顧客の満足度につなげて、店のブランディングの最適化をさせる動きもあります。これらは全て継続的に顧客が買い続けるための大事な礎になっています。 

それだけではありません。消費者と接するフロント業務も盤石になれば、信用の度合いはさらに高まります。何気ないことですが、一人一人の問い合わせに対して、丁寧なアプローチを迅速にミスなく、誰でもできるようになることは、顧客が「この店で買って良かった」「この店で買いたい」という気持ちを後押しし、守りの部分で店のファンに直結させていくことができるのです。

自分たちを知る事も大切

現在では、継続的な顧客を作るための仕組みづくりをトータルで、サポートする企業も出てきています。細部にわたり自分たちの弱みをピンポイントで、アプローチできる企業もある一方で、俯瞰的に見てこれらをパッケージで補う企業もあります。EC事業者の方々がどこの部分で強化していくのか、それは自分達の事業と環境を考慮し判断するとして、なにより必要なのは、売るという姿勢は勿論、そもそも自分達の店舗のどこに魅力があって、どんなファンを集めたいかを知る事ではないかと思います。

多くのお客様を見ることが大事、されど、一人のお客様にずっと買っていただく土台づくりが大事なのです。
つまり、お客様を見て自分達の店舗のカラーを打ち出し、それをベースに集めた顧客を自らが形成する世界観の中で、安心感を持って訪問し、再び購入してもらう環境を作り上げていくかということです。これだけ多くのデバイスで商品を購入できる世の中において、一つ一つの出会いをどう大事にできるかが要となるでしょう。

リピート施策はより商売の本質に近づいていくことになりますが、そのことは同時に、きっと自分達がこの仕事をやる意味を感じる契機となることも事実です。事業者にも、会社にも、リピート施策は大きな利益をもたらすのではないかと思います。


<ECのミカタ通信 2018 SPRING vol.15より抜粋>

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