EC業界News1週間まとめ〜実は違う?楽天&ヤフー&少しKDDI決算に見るEC戦略

石郷“145”マナブ

こんにちは。
編集長の石郷です。

今週、読まれた記事はこちら。
■楽天「2018年度第2四半期決算」発表
https://ecnomikata.com/ecnews/19640/
■エブリーの企画力とWowma!の商品力がライブコマースで一つに
https://ecnomikata.com/ecnews/19619/
■ワコールがオムニチャネル化を加速!
https://ecnomikata.com/ecnews/19634/
■スタバ、アリババとの業務提携を発表 ネットでスタバを注文できるように
https://ecnomikata.com/ecnews/19618/

楽天は敢えていうと金融としての色合いを感じる

楽天は敢えていうと金融としての色合いを感じる

 今週は楽天の決算発表がありました。決算発表会の当日に決議された内容として発表されたのが、分社化の話です。楽天という会社のもとに、複数の子会社が構成され、創業事業とも言える楽天市場を扱う会社はその中の一つ、楽天イーコマース株式会社(仮称)という企業になるそうです。

 これは楽天がECだけではなく金融などを巻き込んで総合的なグループを形成しようとする動きを明確にしたものでしょう。楽天には70以上のサービスが存在し、そこの中で楽天IDを使って、ポイントを管理し、ECを含めた複数のサービスを利用して、お客様には楽天で買う価値を感じ、ECでの利用機会を増やすのが狙いのようです。

 実際、楽天が決算で話していたのは、この一人一人の楽天IDを持ったユーザーに楽天のサービスを複合的に利用して、楽天におけるライフタイムバリュー(顧客生涯価値)を上げていくことでした。

 ゆえに、楽天はこれまで以上に、あらゆるジャンルで楽天IDを持つ人の“消費行動”に関わりを持たせようとしていくことになるでしょう。フリマなどにも積極投資するのは楽天IDを持つ人にとっての消費活動になりうるからだと思います。ここでの価値を触発させて、ポイントにつなげて行く。

 消費活動につながるサービスは今後も、楽天の傘下に置いて行くと思われ、だからこそ、グループのブランドに対しての信頼は重要。なので、Rakutenというブランドの向上のために、スポーツなどへの進出に積極的なのもうなづけます。

 EC単体でとらえるのではなく、グループでとらえ、ポイントを活用してそこでの投資を金融でフォローして、お客様にはその経済圏の中でのお得さを訴求し、満足度を向上させることで複数のサービスでリピートしてもらう、という具合に好循環を生み出して、楽天の成長を目指しているように思えます。

ヤフーは敢えていうとメディアとしての色合いを感じる

ヤフーは敢えていうとメディアとしての色合いを感じる

 また、ヤフーも先日、決算を行っており、eコマースに関してはこちらもポイント施策でユーザーを惹きつけていますが、楽天とは違うのは、ECの要は「広告収入」だと説明していて、それらがポイント施策と結びつくことで自分たちの成長につながっていることを強調しています。

 具体的には『ショッピング広告テイクレート(=ショッピング広告売上高÷ヤフーショッピングの取扱高)』で表現をしています。つまり、売上が上がり、その売上は広告に基づいていて、それでまた売上が上がる、という具合。ここで大きいのは売上高が上昇しているけど、この割合が高水準を維持しているということにあって、この仕組み自体が、ヤフーのコマース内でも良い循環を生んでいるということになり、取扱高が伸びる程、ヤフー本体の売上も伸びるようになっています。

  広告をベースとしているのはヤフーがメディアで広告でノウハウがあるという意味でも効率が良いですし、ここでの成功事例が他にも応用が利きます。

 ちなみに、この「ショッピング広告テイクレート」のパーセンテージの範囲内でヤフーはポイントを放出していて無理がなく、それが消費者にも還元され、また還元されている人の数が増えるから、リピーターが増えるという形で、ここでも好循環が生まれています。

 なので、ヤフーはショッピングで扱う商品の多様化を意識していくでしょうから、ショッピングサイトそのものを買収する可能性もあるように思えます。少し前の話ですがヤフーがコマース21を買収したのも、あらゆるショッピングの内容にも幅広く応えられるようにするためでしょう。

KDDIは敢えていうと携帯電話会社の心意気を感じる

KDDIは敢えていうと携帯電話会社の心意気を感じる

 ちなみにですが、KDDIは携帯電話(スマートフォン)を重んじているのは当たり前なのですが、そこで獲得したユーザーのARPU(顧客一人当たりの売上高)を上げたいと考えているのではないかと最近思います。そこにWowma!や電力などで形成する経済圏「ライフデザイン構想」があるのではないかと感じています。色んなサービスを「auかんたん決済」でまとめて支払う、というイメージです。おそらくですが、Wowma!での購入者、実は「auかんたん決済」を使っている方が多いのでは無いでしょうか。

 語弊があるといけないですが、Wowma!はドコモやソフトバンクユーザーなどにも使われていますが、やはり他のキャリアの人たちとauとの接点を作る窓口のように思います。まずはそうやってコンテンツの充実に重きを置いて、場合によっては何かのきっかけで、ドコモやソフトバンクユーザーにそれが魅力的なコンテンツだと気づいてもらって、お客様には携帯会社を乗り換えるよう促すことができれば、理想でしょう。

 だとすると、KDDIが新規事業にも積極的なのも理解ができてきます。DELISH KITCHENのエブリーとの提携の話もそうで、スマホ周りの世界観をもっと魅力的にしていき、それとの接点がKDDIが持っていれば、そこから新たなユーザーを引き込むことができます。他のキャリアからauユーザーに導き、先ほどの計画とともに、一人一人のARPUを上げて、全体の売り上げを上げていくというイメージを僕は抱いていたりします。

 決算の話から各ショッピングモールの話になってしまいましたが、今一度、それぞれのショッピングモールはロイヤルカスタマーの育成に向かっており、いずれそれぞれのモールのお客様の世代や趣味嗜好は違って来るように思っていまして、モールに出店されている人たちは、自分たちの商品なり施策をアジャストしていくことが大事なのかもしれないな、と思っています

素敵な商品はECに宿る

 お盆は夏季休暇の時期でもあり、体を休め、頭の中身を整理するには良い時期でもあります。我々も原点に帰って、店舗さんとともに寄り添いたいと思っており、そんな中でとある喜びの声を耳にしましたので、シェアします。

 ECサイトでも人気の高い「水郷のとりやさん」の千葉の実店舗が、先日、BS朝日「土井善晴の美食探訪」で紹介されたそうです。水郷どりの良さ、手ばらしとそうでない鶏肉との違いなどの説明に触れ、商品を一目見たいと、放送翌日から台風の悪天候にも関わらず、たくさんのお客様が来店したそうです。

 番組の効果は絶大で焼き鳥刺しが間に合わなくて、放送後の木曜も一日中、焼き鳥を刺していたとか。同店の須田さんは「土井さんが地元を愛して、その地元の美味しいものを進化させ伝えていく商売の姿勢が素敵だと言ってくれて、本当に嬉しかったです」と話してくれました。

いうまでもなく、こちらはECサイトでも全国どこでも買えるわけですが、この事は改めてECで扱う商品の質の高さを示す事になっているように思います。ちなみに、余談ですが僕はここの手羽餃子が大好きです(笑)。ECサイトで扱う商品には素敵な商品が溢れていて、知らない人へ認知させたいと思うし、我々もそういう方の商品に光を当てられたらと思っています。

 ということで、今日はこの辺で。
笑顔あふれる一週間でありますように。
また来週お会いしましょう。


記者プロフィール

石郷“145”マナブ

キャラクター業界の業界紙の元記者でSweetモデル矢野未希子さんのジュエリーを企画したり、少々変わった経歴。企画や営業を経験した後、ECのミカタで自分の原点である記者へ。トマトが苦手。カラオケオーディションで一次通過した事は数少ない小さな自慢。

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