書籍EC市場のいままでとこれから

1998年に米国で書籍を中心にネットで販売をするAmazonが登場して以来、本を売る現場が一変しました。今や本をネットで購入するのが当たり前になった現代において、一体、書籍の市場規模はどうなっているのか。この記事では、その部分を追いかけてみました。

経済産業省が毎年出している、「電子商取引に関する市場調査の結果」によると、日本での書籍のBtoC-ECの歴史は古く、インターネットが普及し始めた1990年代半ばには既存書店によるサービスが開始されています。その後、書籍におけるBtoC-EC市場は右肩上がりでの成長を続け、経産省の概算によると約4,300億円の市場規模になっている。

書籍の市場規模は?

書籍の市場規模は?

では、書籍全体の市場規模はどのようになっているのでしょうか? 公益財団法人 全国出版協会の調査によると、2017年の出版市場は紙と電子を合わせて前年比6.9%減の1兆5,916億円と公表されています。2015年は1兆6,722億円、2016年は1兆6,618億円と年々市場規模が減少していることがわかります。

一方で、書籍市場を紙と電子で分けてみると紙は2015年1兆5,220億円、2016年1兆4,709億円、2017年1兆3,701億円と年々減少しているの対して、電子は2015年1,502憶円、2016年1,909億円、2017年2,215憶円と年々増加していることが明らかです。

2022年には約3,500億円の市場規模へ

2022年には約3,500億円の市場規模へ

書籍市場全体が縮小している中、電子書籍市場は拡大しているため、EC化率は増加傾向にあります。では、EC市場の中身はどのようになっているのでしょうか?

インプレス総合研究所の調査結果によると、電子書籍の市場規模は2011年の651億円、から2017年には2,556億円、将来予測として2022年には3,495億円にまでに成長するとしている。

更に、電子書籍市場の内訳をみると、2017年で電子書籍が2,241億円、電子雑誌が315億円になっています。

電子書籍専用端末での利用はごくわずか

消費者は、電子書籍をどのような方法で利用しているのでしょうか?

電子書籍を利用するためには、Amazonが提供しているkindleや楽天のKoboなどの電子書籍専用の端末を利用するか、電子書籍を閲覧することができる、アプリをダウンロードする必要があります。

マイボイスコム社が実施した、「電子書籍に関するアンケート調査」によると、電子書籍の利用端末として「スマートフォン」が43.3%、「タブレット端末」「ノートパソコン」「デスクトップパソコン」が各2割、「電子書籍専用端末(Amazon Kindle、ソニーReader、楽天Koboなど)」が1割弱となっています。

この結果をみると、消費者は電子書籍専用端末ではなく、自らが保有するデバイスで電子書籍を利用していることがわかります。

これからもいわゆる「本」がなくなることはないかと思います。しかし、その「本」の読み方や流通の仕方はテクノロジーの変化とともに変わっていきます。小売業界で、今後は買い物をしているときの購買体験をいかにして提供するかが重要だと言われています。書籍においても、消費者にどのような読書体験を提供していくかが重要といえます。