リリースから1年。日本企業がAmazon Businessを選ぶ4つの理由

利根川 舞

Amazon.com Amazon Business バイスプレジデント スティーブ・フレイザー氏

2017年9月20日にリリースされた法人・個人事業主向けのマーケットプレイス「Amazon business」。アマゾンジャパン合同会社(以下、Amazon)は1周年を目前にメディアブリーフィングを開催した。
世界8カ国にてサービスが提供されている「Amazon business」はこの1年間でどのような成長をたどり、今後どのように展開されていくのか。グローバル、そして日本での展開についてが語られた。

世界8カ国で展開のAmazon business、世界のニーズに対応

世界8カ国で展開のAmazon business、世界のニーズに対応

AmazonにおいてAmazon Businessを担当する バイスプレジデント スティーブ・フレイザー氏。グローバルでの最新ビジネス状況についての説明がなされた。

2017年9月にリリースされたAmazon Businessは現在、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランス、日本、インド、イタリア、フランスの計8カ国で展開。販売事業者は中小企業から大企業まで数十万社にものぼり、商品数は数億点と、通常のAmazonマーケットプレイスとほぼ変わらぬ商品数だ。

このような実績から、米国においては現在100の教育機関のうち8割、100の病院グループのうち半数がAmazon Businessを利用しているという。

「マーケットプレイスの規模の大きさ、商品カテゴリの幅の広さ、そしてお客様がシンプルなプロセスで商品を発見できる点が他社サービスと異なる部分です」とフレイザー氏は語る。事実、この膨大な商品数と利便性の高さは購入者にとって大きな変化をもたらしている。

「毎年、多くの企業は非計画購買(都度購買)をしています。非計画的であるがゆえに、サプライヤーを管理する手間やコストが膨大になります。しかしAmazon Businessはこの非計画購買の課題を解決するソリューションであると考えています。Amazon businessは購入プロセスを単純化し、透明性を高くし、結果的に購買のトータルコストを下げるからです。」とフレイザー氏。

具体的には、Amazon businessには分析用のダッシュボードがあり、様々なサプライチェーンの購買プロセスを把握することができる。実際の購買活動や購買のトータルコストを個人やグループ単位で把握することも可能なのだ。その他、石橋氏の話の中でも紹介されるが、日本においても数多くの企業の購買活動に変化を与えている。

最後にフレイザー氏はAmazon businessの未来について、次のように語った。

「Amazon businessというのは既存のサプライチェーンモデルを加速させるだけでなく、販売事業者がAmazonマーケットプレイスに出品することによって、さらに成長し、さらに成功することを手助けするものです。我々はこのビジネスをサプライヤーなくして展開することはできません。Amazon businessはマーケットプレイスであり、サプライヤーとお客様をつなげることを目指して設計されています。

販売事業者は我々の世界売上100億ドルのうち50%以上を占めています。これは以前までは出会うことがなかったサプライヤーにお客様がアクセスし、発見することが可能になったことを指しています。さらに自社の購買システムをスケールアップして、購入活動を円滑にすることも手助けしています。

Amazon businessはまだ始まったばかりだと考えていますし、今後の未来を本当に楽しみにしています。」

日本から見たAmazon Businessの魅力とは

日本から見たAmazon Businessの魅力とはアマゾンジャパン合同会社 ディレクター Amazon Business事業本部 事業本部長 石橋 憲人氏

続いて、登壇したのはアマゾンジャパン ディレクター Amazon Business事業本部 事業本部長 石橋 憲人氏だ。

日本においてもITサービスから製造業まで幅広い企業がAmazon businessを利用しているというが、そうした企業はどういったところに利便性を感じているのだろうか。

石橋氏曰く、日本の法人・個人事業主には次の4つの特長が好まれているのだという。まず1つ目に、請求書。8カ国の中でも日本は請求書の利用がトップとなっており、日本のニーズにも対応した月末締めの翌月支払いという請求サイクルとなっている。

2つ目は豊富な品揃えだ。先にも語られたように、Amazon.co.jpとほぼ同じ品揃えであり、Amazon Business開始から1年間の間にすでに1万品目以上の商品を購入したユーザーもいるという。

3つ目は労働時間の削減。例えば、社員が立て替えで商品を購入した場合、そのレシートや領収書を経理担当者に渡し、都度清算する必要があるが、Amazon Businessであれば請求書決済のため、いちいち精算する必要がなく、月末にまとめて請求されるため、請求書の処理に関しても削減できる。また、経理の見える化が可能になるため、多店舗展開していても購買を一元化できる。

最後は法人価格での購入だ。Amazon.co.jpを主に使っていた個人事業主も法人価格に魅力を感じ、Amazon Businessでの購入に移行していることも多いという。

実際にAmazon Businessを利用している株式会社ナビタイムジャパンでは承認フローの利用で、購入スピードや購入フローは半分になりコストの削減を実現。また、デイサービスや訪問介護を行うヒューマンライフケア株式会社ではAmazon Businessの利用で年間約9,000時間の労働時間削減を見込んでいるのだという。

購入者側のメリットもさることながら、販売事業者のビジネスにおいてもAmazon Businessは貢献しているという。「全世界では売上の半分以上が販売事業者様が提供している商品から成り立っています。この販売事業者様もAmazon Businessが始まって以来、利用者と同じように右肩上がりで数を増やしています。」

販路の拡大や顧客層の拡大、定期的な注文の増加などがあり、昨年の開始以来Amazon Businessを利用しているロジテックINAソリューションズ株式会社では売上が80倍以上に伸びているのだという。

常に進化するAmazon Business

常に進化するAmazon Business

「Amazonとしてはお客様のお困りごとを解決するためにお客様の声に真摯に耳を傾け、それらのサービスを提供して参りたいと考えています。」と石橋氏が語るように、Amazon Businessでは利用者の声を受け、様々な機能を追加している。

最近ではボリュームディスカウントのための「オンライン入札リクエスト」機能や、社員の購買をコントロールする「推奨商品・推奨販売者」「制限カテゴリー」などの機能を導入している。Amazon Businessではグローバルで共通の機能を導入していく方針とのことで、今後もバージョンアップしていくとのことだ。

これまでもAmazonは決済やFBAなど、Amazon独自の利便性を提供してきた。また、Amazon Payなどの推進でAmazon.co.jp以外の部分にも利便性を提供し続けている。Amazon Businessは購買者である法人・個人事業主にとって業務フローを大きく変化させるサービスであり、販売事業者にとっても販路拡大に大きな貢献をしている。

サービス開始当初の予想通りの成長曲線を描いているとのことだが、デジタル化が進む昨今、Amazon Businessの成長はまだまだ止まることはないのだろう。

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記者プロフィール

利根川 舞

ECのミカタ 副編集長

ロックが好きで週末はライブハウスやフェス会場に出現します。
一番好きなバンドはACIDMAN、一番好きなフェスは京都大作戦。

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