ヤフー・ZOZO共同記者会見実施 子会社化における4つのポイントとは?

利根川 舞

9月12日の朝、ヤフー株式会社(以下、ヤフー)が株式会社ZOZO(以下、ZOZO社)を子会社化することが発表された。夕方には共同記者会見が実施され、壇上にはヤフー 代表取締役社長 CEO 川邊 健太郎氏、ZOZO社の創業者であり前代表取締役社長の前澤 友作氏、新たにZOZO社の代表取締役社長 兼 CEOに就任した澤田 宏太郎氏が登壇した。

ヤフー川邊氏が語る4つのポイント

まず登壇したのはヤフーの川邊氏。ヤフーはTOBでZOZO社の50.1%の株式を取得し連結子会社化目指すとし、今回の子会社化における4つのポイントについて解説した。

<ポイント1>ZOZOTOWNがECモールに初出店

現在、ZOZO社が運営するZOZOTOWNには7300以上のブランド、1200店以上のショップが出店している。そのZOZOTOWNが2019年秋にリリースが予定されている「PayPayモール」へ出店することにより、現在ZOZOTOWNへ出店しているブランドを「PayPayモール」へ取り込む意向だ。しかし、ヤフーが定める出店基準を満たしたストアのみ出店可能ということで、出店するブランド・ショップは個別に協議の上決定するという。川邊氏は「今ZOZOTOWNに出店している全店舗に出店して欲しい」と語った。

<ポイント2>購入者数 爆増

Yahoo! JAPAN、PayPay、SoftBankという国内最大級の利用者数を誇る「情報通信グループ」からZOZOTOWNに送客することで、購入者数の爆増を目指す。また、Yahoo! JAPANのメイン利用者は30〜40代の男性、一方でZOZOTOWNは20〜30代の女性が中心ということで、それぞれ利用者層の属性が異なるため、両社ともに顧客基盤の拡大を見込んでいる。

<ポイント3>eコマース取扱高(物販)爆増

両社とも市場を上回る勢いで成長をしており、現在の両社のeコマースにおける取扱高を合算すると2兆円を超えることとなる。

また、ヤフーは2015年にホテル・旅館予約サイトの一休を子会社化しており、その際に相互送客とヤフーと一休の商品を連携することで両サービスの取扱高を増加させた経験がある。今回の資本提携契約によって当時のノウハウを徹底的にZOZOに注入し、成長を促進させる。そして、2020年前半にはヤフーの悲願の目標である、国内No.1のeコマース取扱高(物販)を目指すという。

<ポイント4>コマース事業 営業利益 爆増

2020年以降、ZOZO社の営業利益を1年分連結した場合、コマース事業の営業利益は1.8倍の規模感となる。メディアとコマースの2本柱により、さらなる営業利益を増加を目指す。

その他にも二次流通事業の連携やヤフーショッピング 事業のファッション分野における協業などを始め、様々な分野で連携を検討していくとしている。

川邊氏は「お互いの理念を尊重しあい、影響しながら新しい文化を、ZOZOとヤフーにしか作れない”カッコよくて便利な世界”を作っていきたい」と締めくくった。

ZOZOは組織の力を生かす経営に移行

続いて登壇したのは前澤氏。「この日を迎えられたことを大変嬉しく思うとともに、両社の成長を心から願っている次第です。」と語り始め、澤田氏の紹介に移る。「澤田社長はZOZOTOWNの事業責任者を務め、ZOZOTOWNについては深く把握している。そして、社員からも懐かれており、そういう意味でも次期ZOZOを任せるには適任だと思っている」と信頼を言葉にした。

そして、新社長の澤田氏が登壇。自身と取締役副社長兼CFO 栁澤孝旨氏、取締役 伊藤正裕氏の取締役兼COO就任に対しては「3人とも長きにわたり前澤を実務面で支えてきており、会社を隅々まで知っている安全盤石のメンバーです。提携成立後にはヤフーより2名の取締役をお迎えすることにより、ZOZOとヤフーのシナジー効果が生まれると確信しています」と意気込みを語った。

また「今後のZOZOについてはっきり言います。トップダウン経営から社員の力を生かす、組織の力を生かす経営に移行していきます」と澤田氏。この後に前澤氏が再登壇した際、前澤氏は自身の経営手法に対して「自身の感性に基づく経営手法でありチーム力や総合力を生かすことができなかった」と語ったが、前澤氏とは毛色の違う経営手法でZOZOのさらなる成長を目指すようだ。

しかし澤田氏はこうも語っている。「つまらない大人になる気は毛頭なくて、これまで同様、やんちゃな大人になるつもりです」と。前澤氏が築きあげたカラーは前澤氏不在だとしても脈々と引き継がれていくのだろう。

今回の退任についてはZOZO社の社員にとっても急な話であったそうだが、ZOZOTOWN内にはすでに「ゾゾは新時代へ(社員が主役編)」と題されたページが作られており、すでにスタートダッシュを切っている。


アパレル業界にとってもEC業界にとっても今回のニュースは非常に大きなものであり、まさに新時代の幕開けといえる象徴的なものになるだろう。今後のZOZOに期待が高まるばかりである。


記者プロフィール

利根川 舞

ECのミカタ 副編集長

ロックが好きで週末はライブハウスやフェス会場に出現します。
一番好きなバンドはACIDMAN、一番好きなフェスは京都大作戦。

ECを活用した地方創生に注目しています!
EC業界を発展させることをミッションに、様々な情報を発信していきます。

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