キャッシュレス決済「消極派」が急増?スマホ決済に対する意識調査が実施される

ECのミカタ編集部

シニア女性誌「ハルメク」を発行する株式会社ハルメク(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:宮澤孝夫)は、消費増税を前に55~79 歳のシニア女性321名を対象に「スマホ決済」と「買い物」に関するwebアンケート調査を実施した。ここではその概要についてポイントを絞って見て行く。

出典:「ハルメク 生きかた上手研究所調べ」

調査概要

[調査の方法]
webアンケート方式

[調査の対象]
ハルメク読者55~79歳のシニア女性

[有効回答数]
321名(うちスマホ保有者257名) (※参考:前回調査230名)

[調査実施日]
2019年9月5日~9日 (※参考:前回調査 2019年3月29日~31日)

[調査主体]
(株)ハルメクホールディングス 生きかた上手研究所

キャッシュレス決済の利用経験者は1.5倍に

キャッシュレス決済の利用経験者は1.5倍に

キャッシュレス決済を利用したことがある人は、前回調査230人中97.4%→今回調査257人中98.9%とほぼ変わらない水準になった。スマホ決済の利用経験率は前回22.6%→今回32.7%と約1.5倍に増加。PayPay などのQR コード決済の利用経験率は前回8.3%→今回31.9%と急増した。

第1位「d払い)」・第2位「PayPay」

第1位「d払い)」・第2位「PayPay」

今回調査でQRコード決済利用経験者82人の利用サービス上位は、第1位「d払い(35人)」、第2位「PayPay(34人)」という結果になった。

キャッシュレス利用「消極派」が急伸

キャッシュレス利用「消極派」が急伸

QRコード決済利用への意識は「利用経験者」の中でみると「消極派」が前回調査31.6%→今回調査54.9%に急伸。「未経験者」の中でみると「不明派」が前回16.6%→今回28.6%に増加した。

「管理しきれない」「ひとつに統一したい」

「管理しきれない」「ひとつに統一したい」

買い物に対する意識をたずねたところ、増税後のキャッシュバック施策をきっかけに、「10月以降、新しい買い物の仕組みに積極的になる」と答えた人は32.1%となった。

増税後のキャッシュバックで「買い物するお店を変えるかどうか」については、「変えると思う(12.1%)」、「変えないと思う(60.7%)」と、買い物行動の変化には戸惑いがあるという結果だった。

またQRコード決済は「種類が多くてどれがお得か分からない」といった情報の消化不良による弊害から「管理しきれない」「ひとつに統一したい」というコメントが目立った。

QRコード決済は“絵空事”?

ハルメク生きかた上手研究所長 梅津 順江(うめづ ゆきえ)氏は次のようにコメントしている。

「生きかた上手研究所では、2 回にわたり【スマホ決済】の調査を行いました。
これだけあらゆるメディアで『キャッシュレス決済』の話題を取り上げているからでしょう。シニアの間でも、QR コード決済は『小銭を持たなくてよいのでレジでもたつかない』『ポイントが溜まってお得』という声が聞かれるようになり、半年前と比べ利用経験者が著しく増えました。

しかし今回の調査で『不安の根源は消えていない』『むしろ半年前よりも混乱している』ということが明らかになりました。この半年、あらゆる●●ペイが登場し、くっついたり、消失したりしました。また各々が独自の特徴や利点を競い、差別化を強調してきました。

種類も情報量も増えた結果、シニアは『どれを選べばいいか分からない』『管理しきれない』と尻込みし、『いずれ統一されるだろう』と消極的なスタンスになったのです。キャッシュレスの仕事に携わっている私でさえ、目まぐるしい変化についていけないので、シニアが理解できないのは当然です。

また目で確認できないことの不安は、いくら『お得感』を見せられてもなくなることはなさそうです。QR決済を“絵空事”と表現する60代女性がいました。“絵空事”とは現実にはあり得ないことです。実態がつかめないので、自分の生活のなかで利用するイメージが湧かないのでしょう。『そんなお得なことがあるわけない』という疑念も働き『今でも不便はないから、しばらくはこれまで通り』と半歩引いて、成り行きを静観しているのではないでしょうか」

シニア層は一般的に若年層などと比べると保守的とされるが、キャッシュレス決済についても同様の傾向が読み取れるようだ。一方で、セブンペイにおける悪意ある第三者による不正利用が発覚し、サービスそのものが短期間で廃止されるなど、多くの消費者の中でセキュリティに対する懸念が増大したのも事実だろう。

こうしたシニア層のキャッシュレス決済に対する「一歩引いた態度」はなにも同層だけのものとは言い切れないのかも知れない。今後さらなるキャッシュレス決済の浸透を図るには、サービスの連携や統合、そして安全面の担保など、さまざまな課題があるとも言えそうだ。


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