楽天・Amazon・ヤフーの最新出店動向を比較 サヴァリが2019年度版『ジャンル別市場動向レポート』を公表

ECのミカタ編集部

ネットショップ運営代行・ECシステムの運営支援・越境ECサポートなどを行うなどサヴァリ株式会社は、2019年度版「楽天市場・ヤフーショッピング・Amazonジャンル別市場動向」レポートを公表した。ここではその概要についてポイントを絞って見ていく。

楽天

楽天

サヴァリ社によれば、楽天市場の楽天の2019年度(2019年1~12月期)国内EC流通総額は前期比13.4%増の3.9兆円に成⾧(国内EC流通総額は「楽天市場」の流通総額に加え、トラベル(宿泊流通)、ブックス、ゴルフ、チケット、ブランドアベニュー、ドリームビジネス、ラクー、ビューティ、マート、デリバリー、楽天ダイレクト、カーライフ、クーポン、ラクマ、楽天デリバリープレミアム、Rebates、Raxy、楽天西友ネットスーパーなどの流通額を合算した数値)。

楽天24・爽快ドラッグ・ケンコーコムを中心とした楽天直販店(RakutenDirectなど)の流通高が全体を牽引した。

カテゴリ毎の店舗数分析では、「食品」「日用品雑貨・文房具・手芸」「バッグ・小物・ブランド雑貨」は店舗数が多く、競合店舗が500以下のジャンルも多数存在する。また全ジャンル通じて大きく店舗数を増やしたジャンルはない。

レビュー数TOP2とTOP3は次の店舗だ。

◆2位
ケンコーコム 
レビュー数:399650

◆3位
Joshin web 家電とPCの大型専門店
レビュー数:306448

各ジャンルのトップ店舗は、その多くをShopOfTheYear店舗が占め、設立10年以上の店舗が多く、昨年とほぼ同じストアとなった。TOP10内には爽快ドラッグ、ケンコーコム、楽天24といった楽天直販系店舗が上位に食い込んでいる。

また「Shop Of The Year / Month」では、ダブルイヤー賞受賞(2018年と連続での受賞)は、42社中11社となった。全134社のうち、2019年初受賞は66社だった。

Yahoo!ショッピング

Yahoo!ショッピング

Yahooショッピングの取扱高が2.5兆円に成⾧。FY2019_3Q(2019年10~12月)は前年同期比およそ14%(+900億円)の伸び率で著しい成⾧を見せた。PayPayモール開始、ZOZOTOWNの連結子会社化による影響が大きいと分析している。

全体のストア数は87万店舗とも言われているが、同社による独自調査で情報に
リーチできたストアの数は【64000ストア前後】だったとしている。

カテゴリではYahooショッピング全体で店舗数が伸びており、特に「ファッション」「スマホ、タブレット、パソコン」「コスメ、美容、ヘアケア」ジャンルの伸びが著しかった。

PayPayモールの「BEST STORE AWARDS 2019 ベストストアアワード」では、2位がJoshin web、3位が家電と住設のイークローバーとなり、総合賞受賞は家電部門の店舗が多かった。総合1位の「コジマPayPayモール店」は「家電」「パソコン、周辺機器」の2部門を受賞した。また「ヒマラヤ Yahoo!店」は「スポーツ」「アウトドア、旅行用品」の2部門を受賞した。

レビュー数TOP2とTOP3は次の店舗だ。

◆2位
ケンコーコム
レビュー数:240,519

◆3位
SUPER CAKE produced by OCS
レビュー数:199,034

ここでも爽快ドラッグ/ケンコーコムは1-2位に食いこんだ。オーガニックサイバーストアを除くと、アイテム数の多いショップが目出ち、楽天市場とは異なる傾向が見られた。

Amazon

Amazon

アマゾン日本事業の流通総額は公表されていないが、同社では約1.7兆円と推測している。アマゾン日本事業の2019年売上高は約1.7兆円だった(同社報告書より)。2018年と比較して約13%伸⾧しており、着実な成⾧が伺える。

Amazonでは「ホーム&キッチン」「本」などのセラー数が多い傾向で楽天およびYahooと比較すると「ビューティー」などの女性向けカテゴリにストアが少くなっている。

レビュー数TOP2とTOP3は次の店舗だ。

◆2位
買取王子【送料無料】(元:エルウェーブ3号店)
レビュー数:68,506

◆3位
ゆめみてい
レビュー数:64,591

まとめ

同社では今回のレポートの公表に際し、次のように述べている。

「日本国内全体の小売市場停滞の中、体力のある国内・外の大手企業は伸びしろのあるEC市場への投資がさらに本格化してきています。新規参入にあたり、所属ジャンルの研究、コンセプト・商品MDの差別化、ターゲットの選定、PR・広告・SEOなどマーケティング面の戦略・戦術、人材面においての体制作りと十分な準備を心掛けることが大切です。ジャンルの傾向、競合店、競合商品をしっかり研究し、テストマーケティングをしてからの新規参入をお勧めいたします。EC成功の3条件、『勝てる布陣』をどう整えるのか、計画的かつ慎重なEC事業への取り組みが必要です。

運営面ではノウハウ・人材面を恒常的に伸ばす組織・チーム作り、専門の外部パートナーの選定、商品MDにおいては、他社に真似できない独自商品をもつことが、利益の確保、競争力をもつという面で重要です。狙うマーケットに関しても、競合が手を出しにくい小さな市場独占を狙うことが求められます。EC市場における3大モールの動きとしては、モール自体が直販する比率が高まってきています。メーカー直販型店舗の比率が高まる中、仕入れ型のネットショップは、一部の特化型のロングテール店舗を除いては、今後さらに厳しい戦いが続くことが予想されます」

このように国内3大ECモールの最新動向が明らかにされた。競争が激しくなる同市場において、大企業がEC化を加速させ、各モールにおいても直販の比率が高まっている。そうした中でいかに差別化とユーザーの囲い込みを行っていくかは、ビジネスの成功を考える上で、より一層、重要となってきそうだ。

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