佐川急便が東京・竹芝エリアでソフトバンクなどと連携し、自走ロボットによる実証実験を実施へ

ソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)と佐川急便株式会社は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO」)の「自動走行ロボットを活用した新たな配送サービス実現に向けた技術開発事業」に係る公募において、NEDOから事業実施者に選定されたことを公表した。

東京・竹芝エリアで2020年9月以降に実施

選定により両社は、東急不動産株式会社(以下「東急不動産」)やアスクル株式会社、MagicalMove株式会社などの協力企業と連携し、東京都が実施する「スマート東京」の実現に向けたプロジェクトとして、東急不動産とソフトバンクが最先端のテクノロジーを街全体で活用するスマートシティのモデルケースの構築に取り組んでいる竹芝エリアで、自動走行ロボットによる配送サービスを実現するための実証実験を、2020年9月以降に実施するという。

今回の実証実験では、ソフトバンクと佐川急便が屋外と屋内の2つの配送シナリオに沿って、技術面やサービス実用性についての検証・評価を実施。屋外の配送では、自動走行ロボットと信号機の連携システムを開発し、自動走行ロボットが信号機の表示に従って交差点を横断し、竹芝エリアの公道を安全に走行しながら荷物を配送する実証実験を実施する。また、走行時における荷物の温度変化や、段差などによる衝撃についても検証する

屋内の配送では、ソフトバンクの新本社となるオフィスビル「東京ポートシティ竹芝オフィスタワー」に、自動走行ロボットと館内エレベーターの連携システムを導入し、自動走行ロボットがエレベーターに乗降して異なるフロアへ荷物を配送する実証実験を行う。また、オフィスビル・商業施設においてロボットでの自動配送の有効性についての検証も実施。その他、今回の屋外・屋内の実証実験では、自動走行ロボットの現在地を確認したり目的地に到着したことを通知したりする機能などを搭載したアプリケーションを開発して、検証・評価を行う。

実施企業・協力企業

実施企業・協力企業

<実施企業>

◆ソフトバンク

-公道走行における保安基準に対応した自動走行ロボットの開発、改修
-自動走行ロボットと信号機の連携システムの開発、検証
-館内における配送プラットフォームの環境構築
-自動走行ロボットによる配送サービスに必要なインターフェースの開発、検証
-自動走行ロボットの屋内外配送の有効性の検証

◆佐川急便

-自動走行ロボットの屋外配送時の荷物の温度変化や衝撃の検証
-自動走行ロボットの屋外配送の有効性の検証
-館内物流における配送プラットフォームの有効性の検証
-物流事業者の観点からの開発成果の評価

<協力企業>

◆東急不動産

-配送拠点協力
-不動産事業者の観点からの開発成果の評価

◆アスクル株式会社

-物流サービスに関する知見協力
-物流事業者の観点からの開発成果の評価

◆タリーズコーヒージャパン株式会社

-配送拠点協力
-飲食事業者の観点からの開発成果の評価

◆MagicalMove株式会社

-配送アプリケーションに関する技術協力
-物流事業者の観点からの開発成果の評価

自走ロボット配送サービスの早期実現を目指す

今回の公表に際し、同社では次のように述べている。

「近年、物流業界では宅配便の取扱量の増加による人手不足が課題になっています。また、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から接触機会の削減が求められています。こうした課題の解決に向けて、ソフトバンクと佐川急便は、今回の実証実験を通して、自動走行ロボットによる非対面・非接触での配送サービスの早期実現を目指していきます」

同社も述べているように、物流の現場では逼迫した状態が続いており、また新型コロナ対策として、非接触型のサービスが求められている。その切り札となるのが、AIを搭載した自動走行ロボットだ。各方面から物流業界での自走ロボットを活用した配送の営業レベルでのサービスインが待たれているが、現状では国内で、まだいずれの事業者も、その実現には至っていない。安全性や法規との整合性などの課題をクリアしつつ、本格的なサービスの開始に向けた成果が今回の実証実験によってもたらされることに期待したい。

ECのミカタ通信19号はこちらから