Amazon ECサミット2022開催!進化を続けるAmazon Fashionと成功事例とは

ECのミカタ編集部

10月12、13日の2日間、オンラインでAmazonの最大級イベント「Amazon ECサミット2022」が開催された。Amazonに出品を検討する事業者に参考になるヒントがたくさん詰まったサミットで、この中で、コロナ禍において急成長を果たしたファッションのECに対する取り組みについて、成功事例を含む3つのセッションをレポートする。

急成長を遂げるファッションプレーヤーとしてのAmazon Fashion

アマゾンジャパン株式会社のセラーサービス事業本部、逢坂嘉世ファッション事業本部長は、「我々が今年販売事業者さまや、販売をご検討していらっしゃる皆さまに最もお伝えしたいこと」について、「ファッションに対して本気」ということ、本気度を伝えるためにAmazon Fashionの現状とこれからの可能性、成功のポイントについて語った。

Amazonジャパンが日本で事業をスタートしたのは2000年だ。2007年からファッションアイテムの取り扱いを開始し、2年後の2009年にはジュエリーの取り扱いを開始した。Amazon Fashionとして活動をはじめたのが2014年。4年後の2018年にはAmazon Fashion専用の撮影スタジオを東京の品川にオープンした。2年後の2020年にはブランドや作品の制作者となるクリエーターがオリジナルの作品をアップロードし、Amazonが商品上にプリントしてお客さまにお届けするオンデマンドサービスである「Amazonマーチオンデマンド」の立ち上げなどを行った。

2018年に立ち上がった「Prime Try Before You Buy」サービスは、Amazon Fashionが提供する数千のブランドの中から対象のファッションアイテムをまとめて取り寄せて、自宅で試着後に購入を希望する商品のみに対し代金を支払うサービス。時間を気にせず、ゆっくりと試した後に、気に入ったアイテムのみを購入できるため、「自宅が試着室に」なったような買い物体験を実現した。お客さまはサイズ違いや、色違いなど最大4点までまとめて取り寄せ、配送完了の翌日から最長7日間試着することができ、試着後に気に入った商品だけを購入できる。

取り寄せると返送用の伝票が入っており、実際に試着してフィット感やサイズを確かめ、返品するものは送られてきた箱にそのまま入れ、返送用の伝票を貼って送り返すだけ。すごくユニークなところは、返品するまでの間は支払いが生じないので、実際にキープしたものだけ支払いをすることになるところだ。

さらに、今年から一部販売事業者に対して使ってもらえるようにサービスを拡大しているところだ。

現在はより多くの販売事業者にメリットのある販売手数料の特別プロモーションを実施している最中。元々15%だった販売手数料を服、ファッション、小物カテゴリーでは1商品あたりの売上合計が3,000円以下の場合商品代金の12%、3,000円を超える場合は8%となる。

シューズ・バッグのカテゴリーでは1商品あたりの売上合計が7,500円以下の場合商品代金の12%、7,500円を超えると6%。ジュエリーのカテゴリーでは商品当たりの売上合計が10,000円以下の場合商品の10%、10,000円を超えると6%と価格帯によって手数料のプロモーションがある。

また、FBA(フルフィルメントby Amazon)においてもファッションアイテムを販売しやすいように、新商品やブランドオーナーに対して在庫保管手数料、在庫の返送、廃棄手数料、購入者返品手数料の優遇を実施している。現在は日々の運営の中で少しでもAmazonでファッションアイテムを販売するメリットを感じてもらえるような取り組みに注力しているところだ。

現在アメリカで導入されている「ブランドショッピングページ」という機能は、お客さまがファッションオーナーのブランドを検索した際、通常の検索結果ではなくカテゴリーやコレクションラインなど、キュレーションされたブランド体験を紹介できるようなシステムとなっている。日本への導入を検討中で、Amazonでは引き続きお客さまニーズに応えるために取り組んでいるところだ。

Amazon Fashionでは、多くのお客さまと販売事業者からの支持と協力で急成長を遂げてきた。今後も成長のスピードを緩めることなく進むためのキーとなるのがプライム会員のお客さまと位置付けている。現在、プライム会員向けに様々なサービスを用意しているが、会員の中にはまだAmazon Fashionでファッションアイテムを購入したことのない人もおり、そんな会員さまにAmazonでファッションを購入する楽しさをもっとお届けすべく、販売事業者らと一緒にAmazon Fashionの品揃えを益々高めたいと考えている。品揃えの多さはすなわち顧客接点の数にもなる。品揃えの数と売上高は比例して増加傾向にあるとしている。

合わせて、出品された商品の提示を魅力的にしていくことも重要とする。外部機関の調べによると、Amazonでは検索から入って買い物する人が75%と言われている。それだけ、商品ひとつひとつの検索を意識した詳細ページの充実は売り上げ拡大のキーとなる。

オンラインにおけるファッションアイテム購入の難しいポイントは、サイズ感が分からないことと言われる。着用画像を多く入れ、少しでも分かりやすくすることで売り上げ転換率の増加や返品率の低下を実現できた事例もある。

最近の成功事例として、商品紹介コンテンツを使って比較法を入れることで、同じブランドの他商品をお客さまに紹介することができ、その結果ブランド全体で売上転換率が上がったことがあった。

多くの品揃えと魅力的な商品詳細ページに対して、広告やセールクーポンを使ってお客さまに見つけてもらいやすくする、つきつめると非常にシンプルなアクションだが、これが更に成長していくための重要なポイントだと説明する。

もちろん、FBAを利用いただくことでプライム配送を提供できることを意味する「プライムマーク」が付くようにしておくことも忘れてはいない、と続けた。

ファッション業界から見るECアパレルのトレンドとAmazon Fashion

ファッション業界から見るECアパレルのトレンドとAmazon Fashion

続いては、ファッション業界を牽引するトッププレイヤーであるお三方、ファッションジャーナリストの渡辺三津子氏、トップモデルの冨永愛氏、冨永愛氏からすると、彼女が言うと世界中から服が集まるというスタイリストの仙波レナ氏による対談をレポートする。

さて、コロナ禍で、ファッションのEC業界がとても変わってきたと思えるが、一般的に服の買い方が変わったのだろうか。

渡辺氏は、率直に「変わった」と話す。コロナで家にいなくてはならない状況になり、行動も制限される中でも、ファッションに対する欲望や楽しいもの、美しいものを見たいという気持ちはある。実際、自身もコロナ前はECで一度も購入したことがなかったが初購入した。そもそも、見て買いたいタイプで、画面だけでは納得できないと思っていたが、デジタルデバイスを見ているとウィンドウショッピングのように楽しくなってしまう自分がいた、と続けた。

対しては、冨永氏は「私は買わなくなりました」。毎日家にいるからパジャマでいいと思った。ただ、「これまで、気分も自分の人生も上げてくれる洋服のマジックのようなものは感じていた」。その中で、「もう一度この魔法を感じたい」と思っていた。「ECは、ちょうどその頃から伸びてきたのではないでしょうか」。元から、ファッションに関しては試行錯誤していたイメージがあり、コロナの時に変えていこうという意欲が見えて、その頃から「私もECで買うようになりました」。すごく変革の時代だったのではないかと振り返った。

仙波氏も「やはり変わったと思います」。自分自身は以前から海外に行ってブランドを知る度に、日本に入ってきていないブランドを手に入れるにはECを利用していた。それでも「私も渡辺さんと一緒で、どうしても見て、触って、試着して買いたい気持ちがとても強く、よほど手に入らないもの以外はECを利用していなかった」。それが、コロナになって家にいるようになり、実際お店が閉まってしまうようになって、ECで買い物をするようになった。
加えて、スタイリストとしての仕事柄、撮影のスケジュールが先延ばしになったものもあり、準備はしたいがお店が閉まっている時に「ECサイトで購入すれば洋服が用意できる」と皆さんに相談しながら、実際に仕事で購入した経緯もあった。「そのような選択肢もある、ということは自分でも大きく変わったところだと思います」。

店舗と購入するときと違うと思うが、ECで購入するときに困ったこと、良かったことはあるか。

渡辺氏は「やはりサイズ感ですかね」。見た目だけだとその服のデザインが素敵でも、自分が着たときのサイズ感がどうなのかというのがわからないのが最大の悩みと話す。素材感もある。「服はモノなので、その素材の素敵さがどうなんだろう、自分で納得できるかというのが大きなハードルです」。

この点について逢坂氏は、Amazon Fashionならではの試着サービスを挙げる。サイズ感やフィット感、素材感を実際に家に取り寄せて試着し、気に入ったものだけをキープして残りは返すというサービス。「コロナ禍でユーザーが使っていただきだしたところ」と説明する。
他に良かった点として、冨永氏は「日本にないものが手に入るのはすごくありがたいこと。私たちの場合、大体その服をもう仕事で見てサイズ感もわかっているので、日本にはないものでもECサイトで買えるのはとてもありがたいです」。

逢坂氏は「Amazonは海外ブランドが多く、特にアメリカで非常に人気のあるECサイトであり、グローバル展開しているブランドも多々あります。日本のAmazon.co.jpでも海外ブランドを購入できる機会がたくさんあります」。特にプライム商品なら翌日に商品が届くので、軽く購入できるとアピールする。

また、他にもこんなサービスがあったらよいという点について、仙波氏からは洋服を扱っている仕事上、サイズ感は結構重要で「『お直し』できるサービスがあったら嬉しいですね」。冨永氏も「ウエストだったら、センチ出ししてほしいというパターンもあるし、そういうサービスがあったら嬉しいですね」。特に、センチだけ書いて送って、ぱっと返ってきたらすごく嬉しいとのことだ。

コロナ禍のデジタルシフトでECが拡大していく中、ファッションメディアの変化なども感じるようになってきた。

この点につて、 渡辺氏は確実に色々と変わってきていると話す。デジタルの浸透によって、紙の雑誌がどんどん部数も減っていく反面、紙は紙で良さがあり、それはデジタル時代になって明らかになってきた部分もある。一方、それとは別にデジタルの良さは情報の速さや、幅広くスピーディに共有できる利便性という現代社会に欠かせないものになってきている。いいところをバランスよく組み合わせていくことがコロナ禍で明らかに見えてきたように感じる、と説明する。

メディアも紙だけでなく、ウェブサイトも同時に運営するところが大多数となったが、どちらもそれがECにすぐつながるような紹介の仕方や、見る方が欲しいとなったらすぐに手に入るような方法など、結びつく作りに意識が進んでいると続けた。

ECサイトでファッションアイテムを購入するときに気にするポイント、気を付けるポイントについてはどうか。

仙波氏は「やはり、自分の物を購入するときは、まずブランドです」。服を見る機会が多いことから、なんとなく表示や写真で素材はわかるが、特に知らないブランドはどういったデザイナーなのか、どういう観点で作られたのかとか、ブランドの説明を読んでしまうと言う。
渡辺氏も「知りたいですね。納得して買いたいですし、ブランドのストーリーを知ると新たな関心も生まれますし」。

冨永氏は「私がECサイトで買うときは大体その服を知っている時です。サイズも素材も分かった上で、ECサイトで買っています」。わからない場合、やはり返品できるかどうかがポイントと話す。ただの無駄になってしまうと困るため、返品できるかどうかがECサイトを選ぶ上で重要なポイントとした。

この点について逢坂氏は「お客さまから伺うこととすごく似ています。例えばそのブランドのヒストリーです。どういうブランドでどういう生い立ちで、どういうこだわりを持ってブランドが成り立っているのかという情報を求めているお客さまが多々おられるので、販売事業者から情報ビデオやブランドのビデオをAmazon Fashion上のプロダクトページに出していただいています」。

ブランドやものに対する信頼感はとても重要で、情報を知ることができるのはとても大切だ。

冨永氏は、それが、わかりやすいかわかりやすくないかも結構重要だとする。深堀していかなくてはならなくなると面倒になって見るのをやめてしまいがち。「パッと見て、動画があるとわかりやすくていいなと思います。それから、私は素材のアップの写真が欲しいです。どういう織り方をしていうのかとか素材感とか糸の感じもわかりますから」。

仙波氏も「素材のアップの写真は必要ですね。プリントだと思ったら刺繍だったとか、写真上は光って見えていたけれど、光っていなかったとかがありますから」。

このほか、AmazonではDEI(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)に力を入れており、多様性、包括性、平等性ではなく公平性に注力している。そこで、業界トップの女性リーダー陣に、女性として第一線で長く活躍していて大変なこと、重要視していることなどは何か聞いた。

渡辺氏は、男女の格差なく仕事をできている意識や経験のようなことを他のジャンルの女性たちとも共有して、どんどん社会に女性が出ていくような意識をお互い高め合うような取り組みができたらいいなと思うことがあると話す。

ファッション業界は比較的他の分野に比べて女性が多く活躍しており、メディアにしてもブランドにしても、フリーランスにしてもリーダーシップを発揮している女性が多くいる。「そういう状況でありながら、ニュースなどでいかに日本に女性リーダーが少ないかとか、賃金格差があるとか聞くと私たちはものすごく恵まれた業界で仕事をしていると感じます」。女性がプロジェクトをリードしたり、組織の中で意思決定をしたりする場が少ないと聞くが「恐れないでほしい」と続ける。ファッション界を見ていると色々なことをリードしているし、やってしまえば何とかなることもある。願わくは「リーダーシップを恐れない」ということを共有できればいいなと話した。

冨永氏は「第一線というより、続けることが大変です。今年25周年を迎えるのですが、女性に限らず年齢によって体調の変化も体力の変化もあるので、それを意識しながらどのように健康管理をしていったら良いのか、どういうふうにトレーニングしたらいいのか、どういう食事をしたらいいのか、というのを常に試行錯誤しながら体作りをしていかなければなりません。それでも諦めないで継続していくのが一番大変です」。

仙波氏は「女性が活躍できる業界だからこそ、何かこちらから、こういうことが普通だということを言える状況をもっと先陣を切っていければいいなと思うことは確かにあります。段々自分が年齢を重ねていくと、結婚されて出産される方もいて、どうしても女性は仕事をセーブしないといけない時期がありますが、今は少し環境がよくはなったものの海外に比べると女性の仕事と子育ての両立に寛容ではないと思うので、業界で先陣を切って変えていきたいと思うのです」。

株式会社ウィゴーに聞く売上急成長の秘密

株式会社ウィゴーに聞く売上急成長の秘密

ウィゴーは1994年、大阪の古着屋から創業して現在180店舗、売上規模が367憶円、従業員2,500人規模となったアパレル企業だ。主に10代後半から20代前半のお客さまに人気のカジュアル専門店を運営している。

今回、話してくれた濱中氏は2020年7月、ECモール本部の責任者として初めて参画し、現在のDigital Growth本部の本部長としてECモールだけではなく、自社ECサイトとウィゴー以外のブランドの運営も含めたサイト運営を中核としたサイトの責任者を務めている。
ウィゴーが、Amazonに出品したのは2012年からのスタート。当時すでにAmazonの知名度は非常に高く、ファンの拡大を狙って出品、それから10年経過している状況だ。実際の数字を少しだけ紹介すると、ウィゴーの売上推移は、今年の前半は昨年対比でプラス150%の絶好調な数値という。

ここまで好調な理由について濱中氏は、次のように語った。元々、AmazonにおけるウィゴーのEC運営は、実店舗と同じようにロングテール型の販売を取ってきた。それを2020年7月以降ロングテールの強みをしっかり残しつつ、上位集中戦略を取り入れてウィゴーの看板商品作りに取り組んできた。サイト分析から始まり、在庫の持ち方、販売戦略商品などを徹底的に紐づけ、数値に基づいた根拠あるアクションを取ってきた。その成果が直近になって大きく出始めたのが2021年の秋ごろ。現在はそれらの取り組みの中で徐々にヒット品番が出てきた。それでも「まだ成長過程のファーストステージだと認識している」。

EC運営における戦略転換した理由については、店舗では「通路から見たときに比較的品揃えを広く見渡せる」ことに対して、Eコマースでは「1人が接触する商品数が非常に限られる」ことから。一人当たりのPV数が限定的な中で、ロングテールの戦略だけでは売り上げは頭打ちになりやすい。更にAmazonサイトの仕組みを分析すると、検索対策が上手にできている商品ほど常にランキング上位で売れ続けていることに行き着いた。ランキング上位で売れ続けるアイテムを生み出していくために、様々な面で単品集中した運営にシフトすることが必要と判断した結果だ。

具体的なヒット商品としては、シェフパンツというメンズボトムスがある。コットンとポリエステルの混紡、いわゆるツイルという生地を使い、非常に丈夫で柔らかく履きやすく通年売ることができる定番のボトムスで、一番注力して販売を強化しているという。このようなボトムスは比較的季節性がなく、気に入ると色違いで購入することが多いリピート商材になりやすいこともあり、ボトムスは全般的に重要な戦略カテゴリーと位置付けているとのことだ。

戦略カテゴリーとして、どのような強化アクションを取ったか気になるが、まずは広告を活用したSEO対策を軸に据えたと話す。実際には、シェフパンツにフィットしそうな検索ワードをAmazon上で探し出し、それを商品名や商品説明欄にしっかり入れることからスタートした。Amazonサイトの検索ロジックは、商品名の影響度が高いため、商品名は特に気を付けてメンテナンスしているという。商品紹介コンテンツを使い、サイズ、所品のディテール、それらがわかる画像を多く入れる。

 「やはりアパレルにおけるECのデメリットはサイズがわからない。そこは画像の質とボリュームでできるだけカバーしたいと考えています」。

一方で、Amazonが提供するスポンサープロダクト広告を活用して、上位表示を獲得したい検索キーワードの1ページ目上部、1商品目に露出を仕掛けて検索対策も行っている。このコンバージョン対策された商品がお客さまの目に留まるようになる。Amazonでは商品育成する上で広告活用というのは必要不可欠だとする。Amazon主催のセミナーにも参加しながら理解を深めてスタッフの運営スキルにも着手し、戦略商品として育てるアイテムはある一定の期間は利益を度外視してでも投資するように心がける。このシェフパンツは、これらのアクションがうまくいくことで、強化してから約3カ月でランキング上位に入ってくるようになった。一度ランキング上位に入ると、更にそこからお客さまの流入が増えて売上が伸び、好循環を生み出すヒットアイテムに育ってくれたと述べた。

事実、このシェフパンツは現段階で700件近いレビューが入っている。レビューを獲得するために何かアクションをしているのか気になるが、「注力商品に関しては、注文をいただいたお客さまに対してのみAmazonのレビューリクエスト機能というのを使ってレビューの投稿を促しています。残念ながら定量的なデータはないのですが、シェフパンツの販売増加に比例してレビュー獲得数はガンガン増加している印象があります」。


また、レビューは次期商品開発に生かすケースが非常に多い。レビューを読むと、内容の多くがサイズ感と生地についての意見で、サイズ感についてはジャストサイズと高評価をいただいているが、一部の人からは「もっとゆったり履きたい」という意見もあるとか。自社がターゲットとする若いお客さまの間で、ワイド系のパンツが非常に流行っており、これらの意見に基づいてワイドシェフパンツという商品の開発に生かせた。生地については概ね高評価で、ワイドシェフパンツもシェフパンツと同じ生地で開発するなど生の声を活かした商品開発に努めているそうだ。

このほか、現時点で全体のSKUの10%ぐらいを強化商品に定めており、この10%で売上の70%を作っているという構造。これをシーズンごとに見直しながら、去年の強化商品を残しておくケースと、今期から新しい商品に切り替えていく場合と二通り大きく分けて進めるような状態になっている。

ロングテールから強化商品に舵を切る一方、品揃えについては、「まず売上向上のために商品を決める。そして縦売れさせるということが重要な戦略の一つ」と話す。一方で、大きく二つの理由からロングテールの品揃えも重要な取り組みになると考える。

一つは、顧客接点の確保で、Amazonにいるお客さまにも様々な接点を用意して、トラフィック面を抑えておきたいというときにロングテールの品揃えというのは多変機能をしていく。

二つ目は、お客さまの選ぶ楽しさをしっかり提供するという側面。どんなに売れ筋の商品であってもその単品の中から選ぶことはされず、複数の選択肢の中からお客さまが選べるという楽しみを提供することが、お客さま満足度向上に結び付くというふうに考えている。これらの理由から縦売れとロングテールの両面での戦略が、今のウィゴーのスピード成長を支える柱の一つになっているようだ。

色々なことに取り組む同社だが、運用面は何名で行っているのか。

Amazonの運営に関しては「実は非常に少なく、今2人体制で行っている」と話す。部署内には商品企画、MD、ディストリビューター、撮影、PRなどの機能が一気通貫であるようなチームになっており、このチームで販売の強化に取り組んでいる。例えば、先のシェフパンツで言えば、女性が着用した商品を入れた方が良いという意見が担当から出たら、商品企画がきちっとスタイリングを組んで、撮影まで一気通貫で即新しい画像をAmazonにアップする用意をできる体制になっている。さらに、今はチームでAmazonに来店されるお客さまの嗜好に合った品揃えとビジュアルにこだわって改善していこうと考えている。

また、FBAを使うことでウィゴーのメンバーは売上に繋がる業務に集中でき、結果として2人体制で運営が可能となった。お客さまからみても、FBA対象の商品はプライムの取り扱いになるため、配送やCSに関するお客さま満足度も高く、「安心してお買い物いただくための環境が整っていると感じている」。こうしたサポートが手厚いことで、スタッフ1人1人の生産性を高く保つことができ、極めて効率の良い運営が完成できていると説明する。

実際、これだけ売り上げが伸びていると、社内やチームからの反応はどうか。「正直なところ、売上が伸び始める前は弊社の商品がAmazonで今の売上高まで伸びるとは誰も想定していなかった」。現在は、社内の注目度とともに期待度が年々高まり、直近のプライムデー、大きなイベントごとに売上を更新し続け、今後さらに重要な位置づけのECサイトになると確信していると述べる。

ウィゴーにとってAmazonとはどのようなマーケットプレイスなのか。Amazonは最高の可能性を秘めたECサイトと捉えていると話す。Amazonで商品が大きく売れることは、店舗に来店する10代後半から20代前半のお客さまに偏ることなく、幅広いお客さまに対しての宣伝効果もあると捉えており、これを踏まえてAmazonで売上を上げていくことがとても重要であるとする。

最後に、これからのAmazonに対する期待や要望を聞いた。

濱中氏は、現状の売れ筋は先のシェフパンツのような比較的ベーシックな商品群だが、自社の強みを生かせるファッションは10代後半から20代前半のファッション感度の高いお客さまが多く、ファッション感度の高い取り組みに期待を寄せる。また、ファッションの領域は今後も強化していく部分があり、サイト内外でファッションに特化した新たな取り組みを実施し、ファッション事業の拡大を期待している。

今後の目標としては、Amazonのファッションジャンル全体を牽引できる存在になっていきたいと願う。そのために販売戦略×商品最適化の制度を磨き上げてきており、更に飛躍的に売上を成長させていく考えだ。商品面でも、お客さまニーズに適した商品開発を進めていくことが今後ますます重要になると考える。2022年のプライムデーが非常に良い結果だったことを受け、この冬のブラックフライデーは全力で参加する予定だ。是非ご期待ください、とまとめた。

ご参考
※Prime Try Before You Buy URL
https://www.amazon.co.jp/tbyb/huc?_encoding=UTF8&ref_=202210mik

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