TDBが「2024年問題に対する企業の意識調査」を実施 約7割の企業が物流面でマイナス影響があると回答

ECのミカタ編集部

「物流の2024年問題」約7割の企業でマイナス影響見込む 運賃の値上げやスケジュール見直しなどで対応

株式会社帝国データバンク(以下:TDB)は、2024年問題に対する企業の見解とTDB景気動向調査2023年12月調査を実施、結果を公表した。本記事では一部内容を抜粋して紹介する。

調査概要

◆調査期間:2023年12月18日~2024年1月5日
◆調査対象:全国2万7143社
◆有効回答企業数:1万1407社(回答率42.0%)
◆調査機関:TDB

◆出典:TDB景気動向オンライン「2024年問題に対する企業の意識調査」

約7割が物流の2024年問題で「マイナス影響がある」と回答

「2024年問題」全般について「マイナスの影響がある」企業は59.9%となった。他方「影響はない」は22.3%「プラスの影響がある」は1.6%。

物流の2024年問題に限ってみると「マイナスの影響がある」企業は68.6%となった。特に「卸売」(79.6%)や「農・林・水産」(78.9%)など6業界で7割超の企業がマイナスの影響を見込んでいる。企業からは「物流コストが増加すれば、製品単価の上昇につながり、景気は後退する」(繊維・繊維製品・服飾品卸売、大阪府)や「現状も部材不足の納期遅延が多い。物流問題が生産計画に波及し、さらに悪化するかもしれない」(電気機械製造、群馬県)といった声があがっている。

他方、企業の1.5%では「プラスの影響がある」としており「長い目で見れば自由な時間が増えるため、若い人も入りやすくなり、運送業界にとっても良いはず」(鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売、東京都)といった前向きな声も寄せられた。

4割以上が「運送費の値上げ」を受け入れる

「2024年問題」全般に関する具体的な影響については「物流コストの増加」が66.4%と最も高かった(複数回答、以下同)。次いで「人件費の増加」(41.0%)「人手不足の悪化」(40.0%)が4割台「配送スケジュールの見直し」(32.4%)が3割台と続く。

業界別では「物流コストの増加」は「製造」(80.4%)で8割を超え「卸売」(79.2%)と「農・林・水産」(75.2%)が7割超と高い数値となった。

「物流の2024年問題」への対策については「運送費の値上げ(受け入れ)」が43.3%でトップ(複数回答、以下同)。

次いで「スケジュールの見直し」(36.3%)や「運送事業者の確保」(24.9%)「発着荷主と運送事業者双方での連携強化」(24.2%)DXなど「業務のシステム化や効率化の推進」(20.0%)が上位に並んだ。

具体的な対策が見つからず、対応を決めかねている企業も

一方、物流の2024年問題へ「特に対応しない」企業も26.4%存在する。その理由については「これまで通りで問題が生じず、対応する必要がない」が34.6%でトップとなり、「2024年4月以降、問題が生じた際に対応を検討する」(33.6%)が続いた(複数回答、以下同)。

2024年4月が目前に迫る状況であっても、具体的な対策が見つからず、対応を決めかねている様子がうかがえるだろう。

迫りくる2024年問題に対して、既存のサービスを維持するための対応策が進められる。現状の課題解決に資する対策だけでなく、DXなどの力強い推進や新技術の開発・利活用など将来を見据えた効率化や業務改善が必要となるだろう。

政府には十分な金銭的な支援だけでなく、個社だけの対応や一部の業界だけが負担を被ることにならないような制度や体制づくり、企業の取り組みを継続的に後押しする政策が求められる。

2024年問題は事業者だけの問題ではなく、消費者の日常生活にも変化が生じることが考えられる。一人ひとりが考え方を改め、新しい制度に順応する姿勢がより一層求められるだろう。


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